鑑賞記録(2022.12.7)
オードレイ・ディヴァン監督
『あのこと』2021
@シネ・リーブル神戸
『あのこと』2021/100分/フランス/カラー/1.37:1/5.1chデジタル
2022年度のノーベル文学賞を受賞した作家アニー・エルノーが若き日の実体験をもとにつづった短編小説「事件」を映画化(映画.comより)
2021年9月6日の第78回ヴェネチア国際映画祭のコンペティションでワールド プレミアに選ばれ、ポン・ジュノ率いる審査員全員一致で金獅子賞を受賞(ウィキペディア、公式サイトより引用)
この映画の主要撮影は 2020 年 7 月 27 日に始まり、夏の間ずっと行われました。この映画は2021 年 1 月にポストプロダクションに入りました。(ウィキペディアより)
原題
L’evenement
(英題:Happening)
あらすじ
アンヌの毎日は輝いていた。貧しい労働者階級に生まれたが、飛びぬけた知性と努力で大学に進学し、未来を約束する学位にも手が届こうとしていた。ところが、大切な試験を前に妊娠が発覚し、狼狽する。中絶は違法の60年代フランスで、アンヌはあらゆる解決策に挑むのだが──。(公式サイトより)
感想
”あなたは〈彼女〉を、体験する。”
本作のチラシに書かれた言葉。
予告編で気になり、
予告編で見た情報以外は
いつもの如く
ほぼ前情報なしに鑑賞。
基本的に、
チラシも先にほぼ読まないので
冒頭の言葉にも
気が付いていなかったが・・・
まさに、
これは観る者の
”体験”である。
中絶が違法だった60年代フランスで
望まぬ妊娠をしたアンヌ・・・
アンヌの壮絶な体験を
私たち観客も
共に体感するかのよう・・・
痛いの、エグいの、コワイの、グロいの
が、苦手な私には、
正直、
中々キツい体験ではあったが、
これは、痛みを伴いながらも
こうした事実を知っておく
良い機会だったのかもしれないと思った。
当の本人の体験は、
当然のことながら、
こんなもんじゃないのは承知だが、
それでも
産むにしても、
産まないにしても、
女性が
命の危険を冒しながら
ことを進めることに対し、
改めて
強く記憶に留めることとなった。
衝撃の映像が
多数盛り込まれ、
決して、
生優しい映画ではない。
しかし、おそらく、
現実になるべく近い状態を
捉えたこの映画は、
アンヌの体験を
擬似体験する映画
と言えるだろう。
正直、
観終わったら疲れました。w
だけど、こんな体験は
しない可能性がほとんどだし、
(もちろんしない方がいいし)
男性だったら、
絶対しない体験なので、
本来体験しな(くてい)いことを
体験したかのように
感じることができることで、
当時の社会システムの
善(正義)という名の
裏側を垣間見、
(中絶を違法とすることで
新たに発生し得る問題について等)
考えさせられる
優れた作品だと思います。
ぜひ、ご覧ください!!
(2022年12月6本目。本年度432本目、映画館246本目)
スタッフ
監督:オードレイ・ディヴァン
製作:エドアール・ウェイル、アリス・ジラール
原作:アニー・エルノー
脚本:オドレイ・ディワン、マルシア・ロマーノ
撮影:ロラン・タニー
美術:ディエーネ・ベレテ
衣装:イザベル・パネッティエ
編集:ジェラルディーヌ・マンジェーノ
音楽:エフゲニー・ガルペリン、サーシャ・ガルペリ
他
キャスト
アンネ:アナマリア・ヴァルトロメイ
ジーン:ケイシー・モテット・クライン
ガブリエル・デュシェンヌ:サンドリーヌ・ボネール
ブリジット:ルイーズ・オリー=ディケーロ
オリビア:ルイーズ・シェヴィロット
ボルネック教授:ピオ・マルマイ
リヴィエール夫人:アンナ・ムグラリス
ラヴィンスキー博士:ファブリツィオ・ロンジョーネ
エレーヌ:ルアナ・バジュラミ
クレア:レオノール・オバーソン
マキシム:ジュリアン・フリソン
レティシア:アリス・ド・ランクザン
他
ネタバレMEMO
(中略)ディヴァン監督は、原作に敬意を払うと同時に、その中に自分自身の居場所も見つけるために、アニー・エルノーと1日一緒に過ごした。エルノーから当時のことを詳しく教えられたディヴァン監督は、「政治的な背景をより正確に理解した上で、女性たちが決意の瞬間に抱いた恐怖に触れることができました」と振り返る。(中略)
ディヴァン監督が本作のアスペクト比を1.37:1にしたのは、カメラとアンヌを完全に同期させるためだ。ディヴァン監督は、「カメラはアンヌ自身になるべきで、アンヌを見ている存在であってはならない」と説明する。(中略)