鑑賞記録(2022.7.11)
【デジタルリマスター版】
シャンタル・アケルマン映画祭!
シャンタル・アケルマン監督
『囚われの女』2000
@CinemaKOBE
『囚われの女』2000/117分/フランス・ベルギー/カラー
マルセル・プルーストの「失われたときを求めて」の第五篇、「囚われの女」の大胆で自由な映像化。ジャン=リュック・ゴダールの『軽蔑』(63)やアルフレッド・ヒッチコックの『めまい』(58)をも想起させるこの傑作は公開年の「カイエ・デュ・シネマ」ベストテンで2位に選ばれた。(『シャンタル・アケルマン映画祭』チラシより)
そして、アケルマンは90年代に入ると、いよいよ満を持して、『ジャンヌ・ディエルマン』の頃から構想していたマルセル・プルーストの『失われた時を求めて』の第5・6篇の映画化『囚われの女』(2000)に着手する。このアルフレッド・ヒッチコックの『めまい』(58)をベースにしたような、スタニスラス・メラール演じる主人公シモンが半ば軟禁状態においている恋人、シルヴィ・テスチュー演じるアリアーヌへの常軌を逸した妄執を描くには、例えば「見る/見られる」関係を表象する映画的話法である切り返しのショットなどは必須だ。アケルマンは、いわばこの作品を撮るための様々な話法を獲得するために、80年代から90年代にかけて、あえて多種多様な作品にトライしてきたと言っては言い過ぎだろうか。その撮影は、マノエル・デ・オリヴェイラの作品で知られるサビーヌ・ランスランが担当した。(『「部屋」から世界へ 移動し続けた映画作家シャンタル・アケルマン』小柳帝 ライター・編集者 『シャンタル・アケルマン映画祭』チラシより一部抜粋)
原題
La captive
一言あらすじ
祖母とメイド、そして恋人のアリアーヌとともに豪邸に住んでいるシモンは、アリアーヌが美しい女性アンドレと関係を持っていると信じ込み、次第に強迫観念に駆られていく・・・(『シャンタル・アケルマン映画祭』チラシより)
感想
シャンタル・アケルマン映画祭
いよいよラストの5本目。
音楽による演出が
サスペンス感を
際立たせる。
こういう音楽を
ここで流さなければ
ここまでシリアスな雰囲気には
ならないんじゃないかと思うほど
音楽の効果が印象的です。
展開も面白く
わからないところがありながら
徐々にお話が進み
何となく状況が掴めてきます。
主人公シモンも
何やら意味ありげな表情。
アリアーヌの表情からは
シモンが想像するのは
致し方ないと思えるようなものがあり・・・
そして2人の
どこか一定距離を感じる
微妙な関係・・・
何気ない顔をしているけど
彼女は全てを話していない・・・
はずだ・・・
真相は、わからない。
まさに現実にありそうな
人間心理・・・
ジェンダーレスな
恋愛関係を想像するからか
わからないが
より一層
一筋縄ではいかないところも
ありそうな・・・
シモンの決断も頷ける部分あり、
そして・・・
あんな音が鳴り響く海・・・
海から始まり
海に終わる・・・
嫉妬や妄想、信頼、欲望・・・
おそらく
ほとんどの人間が持ちあわせる
深層心理を
巧みにドラマとして描き出す。
『オルメイヤーの阿房宮』(2011)
を先に観たので、
スタニスラス・メラールが若い!!ww
どちらも
悩み、絶望する男性ですね・・・
(2022年7月18本目。本年度244本目、映画館114本目)
スタッフ
監督・脚本:シャンタル・アケルマン
原案:マルセル・プルースト
撮影:サビーヌ・ランスラン
製作:パウロ・ブランコ
他
キャスト
シモン:スタニスラス・メラール
アリアーヌ:シルヴィ・テスチュー
アンドレ:オリヴィエ・ボナミ
他