鑑賞記録(2022.4.6)ジャスティン・カーゼル監督『ニトラム』2021 @シネ・リーブル神戸

鑑賞記録(2022.4.6)

ジャスティン・カーゼル監督

『ニトラム』2021

@シネ・リーブル神戸

 

『ニトラム』2021/112分/オーストラリア/カラー 1.55:1/5.1ch

オーストラリアの観光地で起こった史上最悪の悲劇(ポート・アーサー事件)を基に描いた、実録サスペンス

国内では未だタブーとされるこの事件を初映画化したのは、「現代オーストラリア最高の映画作家」と称される俊英ジャスティン・カーゼル。

(以上、チラシより)

タイトルの「ニトラム」とは、犯人の名前「マーティン」(Martin)を逆さ読みにしたもので、小さい頃に同級生から蔑称で呼ばれていたもの(ウィキペディアより)

 

ポート・アーサー事件(The Port Arthur Massacre) 

1996年4月28日にオーストラリア・タスマニア島の観光地、ポート・アーサーで起こった大量殺人事件である。犯人はマーティン・ブライアントで、死者35人、負傷者15人を出した。

ブライアントは知的障害で知能テストの結果も平均以下であったが、事前に現場を下見していること(銃を入れていたバッグは、その時に施設内の売店で買っていた)、複数のライフルを用意していたことなどで計画的犯行とされ、また精神鑑定で責任能力ありと判断されて、仮釈放なしの35回の終身刑を宣告された(オーストラリアには死刑制度がない)。(ウィキペディアより一部抜粋)

 

受賞

カンヌ国際映画祭(第74回、2021)

主演男優賞:ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ

 

原題

NITRAM

 

一言あらすじ

1996年オーストラリアで起きた無差別銃乱射事件を起こした人物の、事件を起こすまでの彼の背景を描く。

 

感想

怖かった。

 

残念ながら、

やはり怖いと感じてしまう。

 

 

終始得も言われぬ怖さが漂い、

 

ふとした瞬間、

一瞬見せる彼の愛らしさも、

 

それがすぐ消し飛ぶほどの暴力性が

 

また姿を現す。

 

 

 

 

なぜここまでに至ったのか、

 

 

なぜこうなってしまったのか、

 

 

 

 

彼を何とか理解できないかと思って

 

必死で画面を見つめるが

 

結局分からない。

 

 

 

分からないこと、

 

理解できないことへの恐怖。

 

 

 

 

彼を受け入れ

共に暮らしていけるとしたら、

 

それは、おそらく

ヘレンだけだったろう。

 

 

 

 

やっと見つけた光だったが

 

それも束の間、

 

意図せずとも、

自ら消してしまうことに。

 

 

 

 

ただ、

 

人と笑ったり、

遊んだり、喜んだり、

 

何気ないことを

 

 

他の人と同じように

 

したかった。

 

 

 

でも上手くいかない。

 

 

 

そして

 

歯車が噛み合わないまま

 

 

ずれた歯が軋む音は

 

 

段々と大きくなっていく。

 

 

 

もう誰にも止めることは

 

出来ないほどに。

 

 

 

 

実際の事件や人物は

どこまでどうだかわかりませんが、

 

 

 

鑑賞後、

なんだか頭を掴まれたように

考えてしまった。

 

 

 

考えても答えがないけれど・・・

 

 

 

張り詰めた緊張感と

 

何かが起こりそうな

危険的空気が

常にあって

 

目が離せなかった・・・

 

 

 

音も

不協和音のような音が

ずっとどこかで鳴っていて、

 

 

彼や母親の頭の中で

そういう音が

鳴っていそうな感じがした。

 

 

 

不安や恐怖、

孤独、劣等感などの

不快感が

常に付きまとっているかのように。

 

 

 

 

ジャスティン・カーゼル監督、

 

『トゥルー・ヒストリー・オブ・ザ・ケリー・ギャング』

 

(2019)でもそうだったが、

 

怖さを描かせたら凄いですね。

 

 

 

怖いのに、目が離せない。

 

 

個人的には、

『トゥルー~』の方が

人物の心情が

理解できたような気がするので、

 

 

鑑賞後の苦悩!?は、

なかったかも。w

 

 

 

なんだか

心に噛みつかれる様な

映画でした。

 

 

(2022年4月7本目。本年度117本目、映画館44本目)

 

 

 

スタッフ

監督:ジャスティン・カーゼル

脚本:ショーン・グラント

音楽:ジェド・カーゼ 撮影:ジャーメイン・マクミッキング 編集:ニック・フェントン

製作:ニック・バッツィアス、ヴァージニア・ウィットウェル、ジャスティン・カーゼル、ショーン・グラント

製作総指揮:ニック・フォワード、ポール・ウィーガンド、アンソニー・ラパーリア、アリス・バビッジ

配給:マッドマン・エンターテインメント、セテラ・インターナショナル

 

キャスト

ニトラム:ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ

母親:ジュディ・デイヴィス

父親:アンソニー・ラパーリア

ヘレン:エッシー・デイヴィス(ジャスティン・カーゼルの妻)

ジェイミー:ショーン・キーナン