鑑賞記録(2022.5.12)映画館にて3回目の鑑賞!濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』2021@シネ・リーブル神戸

鑑賞記録(2022.5.12

映画館にて3回目の鑑賞!

濱口竜介監督

『ドライブ・マイ・カー』2021

シネ・リーブル神戸

 

『ドライブ・マイ・カー』2021/179/日本/カラー

74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門へ正式出品され、脚本賞、国際映画批評家連盟賞、エキュメニカル審査員賞、AFCAE賞を受賞。

87回ニューヨーク映画批評家協会賞では、日本映画として初めて作品賞を受賞したほか、ロサンゼルス映画批評家協会賞と全米映画批評家協会賞でも作品賞を受賞これら3つ全てで作品賞を受賞した映画ととしては『グッドフェローズ』『L.A.コンフィデンシャル』『シンドラーのリスト』『ソーシャル・ネットワーク』『ハート・ロッカー』に次ぐ6作品目で、外国語映画では史上初の快挙となった。

79回ゴールデングローブ賞では非英語映画賞(旧外国語映画賞)を受賞、日本作品としては『鍵』(1959年、市川崑監督)以来62年ぶりの受賞となった。

94回アカデミー賞では、邦画初となる作品賞を含む4部門にノミネートされ、2009年の『おくりびと』以来となる国際長編映画賞を受賞した。(ウィキペディアより)

劇中の『ワーニャ伯父さん』の屋外での稽古時、地面に落ちていた落ち葉は、劇中劇の本番のセットでも、その落ち葉が使われているらしい。

 

受賞

カンヌ国際映画祭(第74回、2021

コンペティション部門

脚本賞:濱口竜介、大江崇允

国際映画批評家連盟賞、エキュメニカル審査員賞:濱口竜介

AFCAE(フランスの独立興行主たちの連合組織が選ぶ賞)

 

ゴールデングローブ賞(第79回、2022年開催)

非英語映画賞

アカデミー賞(第94回、2022年開催)

国際長編映画賞

 

他、多数

 

英題

Drive My Car

 

劇中MEMO以下、すべて本作パンフレットより】

SAAB 900(サーブ900)

家福の愛車として登場する車。スウェーデンの航空機メーカーてあるSAAB(サーブ)が1937年に設立した自動車部品のブランドで、航空機のフォルムを応用した独創的なデザインや機能が話題となった。日本でも1980年代に輸入され人気を博したが、紆余曲折を経て2017年にブランドが消滅。約70年の歴史に幕を下ろした。原作では黄色のサーブ900コンバーチブルという設定だが、映画ではより風景に映える赤い車体のサーブ900ターボのサンルーフが使用されている。

ゴドーを待ちながら(作者:サミュエル・ベケット)

アイルランド生まれのフランスの劇作家ベケットが1952年に発表した2幕からなる戯曲。1953年パリのバビロン座で初演。賛否両論を巻き起こしながらも前衛劇としては異例の成功を収めた。存在するのかしないのか、来るのか来ないのか分からない「ゴドー」という人物を永遠に待ち続けるという設定は、人生の不条理さを浮かび上がらせ、観る者に普遍的問いを投げかける。現代演劇に大きな影響を与えた不条理演劇の元祖にして最高傑作。

ワーニャ伯父さん(作者:アントン・チェーホフ)

ロシアを代表する作家チェーホフによる四大戯曲の一つ。「田園生活の情景」の副題をもち、4幕からなる。1897年に地方で初演され、翌年モスクワ芸術座の上演で成功を収めた。絶望に陥りながらも死ぬことではなく、苦悩に耐えながらも生きることを選ぶ登場人物たちの姿を通し、人生とは、幸せとは何かを観る者へ問いかける演劇史上の傑作。

広島国際会議場

家福が演出を手掛ける演劇祭の会場として登場。広島平和記念公園敷地内にある国際会議場で、国立代々木競技場、東京都庁舎など数多くの国家プロジェクトを手掛けた巨匠・丹下健三が1955年に設計した「広島市公会堂」を、89年に建て替えた施設。公共建築百選にも選ばれている。

広島市 環境局中工場

みさきのお気に入りの場所として登場する、実在のごみ処理施設。設計は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)新館や葛西臨海水族園、GINZA SIXなどを手掛けてきた世界的建築家・谷口吉生によるもの。広島市内から伸びる吉島通りの終点で、瀬戸内海に面した場所にある。建物の中央には「エコリアム」と呼ばれる貫通通路があり、通りの起点である広島平和記念公園から瀬戸内海までを遮ることなく繋いでいる。

呉市 御手洗

家福が広島滞在中に宿泊する場所として登場する、瀬戸内海に浮かぶ大崎下島の港町。絵ぢ時代から天然の良港として栄え、明治・大正・昭和初期には多くの建造物が建てられた。当時の面影が色濃く残る街並みは、1994年に重要伝統的建造物群保存地区として選定。1937年に映画館として開設された昭和モダン建築の乙女座や船宿、お茶屋などが並ぶレトロな街並みと瀬戸内海の美しい景観を見に、観光地として訪れる人も多い。

北海道 赤平市

みさきの実家の跡地として登場。北海道のほぼ中央に位置する町で、明治以降は石炭産業で栄えた。旧北炭赤間炭鉱の石炭くずを積み上げたズリ山には777段の階段が設けられ、炭鉱の街のシンボルになっている。ズリ山階段としては日本一のスケールを誇り、撮影地にもこの斜面が使用された。

以上、すべて本作パンフレットより)

 

一言(冒頭)あらすじ

俳優兼演出家の家福(西島秀俊)は、妻・音(霧島れいか)と満ち足りた生活を送っていた。ある日、海外出張の為のフライトが突如1日延期になり帰宅すると、音が・・・家福はそっと扉を閉じ、その後何事もなかったように振る舞う・・・傷を抱えて苦悩しながら生きるひとりの男が、自分と向き合い、生きていく・・・

 

感想

 

(すべて私物左奥:ドライブ・マイ・カーパンフレット、右奥:キネマ旬報20224月上旬号、左手前:月刊シナリオ202111月号、右手前:『女のいない男たち』村上春樹;文春文庫)

 

 

 

今回で映画館にて、

本作3回目の鑑賞。

(すべてシネ・リーブル神戸にて鑑賞)

 

 

 

今日でいよいよ

ロングランもラストということで

もう一度鑑賞した。

 

 

 

基本的に

私はあまり

同じ作品を映画館では

何度も観ることがないのだが、

 

本作だけは特別。

 

 

 

去年、

1回目を観た時、

 

まるで雷に直撃されたように

物凄い衝撃を受けた。

 

1回目を観た当時は

まだ鑑賞記録は書いていなかった。)

 

 

 

こんな映画が撮れる

日本人の監督が存在するのかと

 

本気で腰を抜かした。

 

 

(濱口竜介監督作品、

好きだから観に行ったのだけど本作が最上級)

 

 

 

鑑賞後すぐ、

もう一度観ると決め、

 

一週間後、

また観に行った。

 

 

 

あまりの素晴らしさに、

 

言葉を失ったと同時に

 

過去最大とも言っていいような

感動を覚えた。

 

 

 

私の一番大好きな

殿堂入り映画は、

 

揺るぐことなく

絶対不動で

 

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』

 

なのだが、、、、

 

 

 

初めて

その地位がグラついた・・・

 

 

 

 

そんなことは一度もなかったし、

 

今後もないだろうと思っていた。

 

 

 

両作品は、

全くもって違う作品だが、

 

私の中の感動ということであれば

 

どちらも、

ずば抜けてピカイチだ。

 

 

 

他にも好きな作品は、

もちろんあるけれど

 

殿堂入りが

 

初めてもう一作出来た。

 

 

 

 

あまりに好き過ぎて、

 

感想を書くのが

億劫になってしまうほどに・・・

 

 

 

 

これほどまでに

緻密に積み上げられた

 

 

言葉、台詞、

ストーリー展開、

画のショット、

キャラクター達の心の動き、

音楽、戯曲の使い方、

ドライブ、等々・・・・

 

 

 

(村上春樹さんの原作を読んでから鑑賞したが、

偶然にも、この原作を読む直前に

『ワーニャ伯父さん』を読んだところだった)

 

 

 

初めて観た時の衝撃は

 

本当にすごいものだった。

 

 

 

おそらくこれは、

 

私がこの年齢になって観た、

 

というのも大きいと思う。

 

 

 

もしこれが20代とかだったら

ここまで感動していなかったかもしれない。

 

 

 

四十にもなると

大切な人たちを亡くしていることもあり、

 

 

主人公の家福や

ドライバーみさきの

負っている傷が

 

 

私の内側にも

少なからず存在すると思うからだ。

 

 

 

またそれを

チェーホフの

『ワーニャ伯父さん』のテキストからも

完璧な形で表わしている。

 

 

さらに

『ゴドーを待ちながら』

というチョイスも完璧で

 

私の心が高まった要因のひとつ!!

 

 

(戯曲はほとんど持っていないけど、

たまたま『ゴドーを待ちながら』も

持っている作品のひとつだった)

 

 

 

どのシーンで

戯曲の、どのシーンの音声が入るかも

(ワーニャ伯父さん)

 

信じられないほど

絶妙にマッチしている。

 

 

 

 

言いだしたら切りがないほど

感動したということだけ

 

ここでは伝えておきたい。

 

 

 

 

思いが溢れすぎて

 

伝えられる気がしない。笑

 

 

 

観るのが、一番。

 

 

説明など不要。笑

 

 

 

もはや、

 

完璧すぎるのが

唯一の欠点じゃないかと思うほど

 

非の打ちどころがない

 

と、私は思っています。笑

 

 

 

明るく、楽しい!!

 

みたいな映画ではないけれど、

 

 

より劇的で、

ドラマティックに描かれた

 

普遍的な、

ある人間の物語。

 

 

 

人間は

 

終りある存在でありながら

 

いつ来るかわからない

 

その日が来るまで

 

過去を背負いながら

 

今を生きていくより

 

他はない。

 

 

 

自分と向き合い、

 

人と向き合い、

 

本当にある

今そこにあることを

 

 

ちゃんとみる。

 

ちゃんと感じる。

 

ゃんと反応する。

 

そうやって、生きたい。

 

 

 

文句なしに、

 

人生、マイベスト映画。

 

 

 

数々の受賞もあるし、

 

もはや、

言うことないでしょうね。笑

 

 

2022512本目。本年度157本目、映画館59本目)

 

 

スタッフ

監督:濱口竜介

脚本:濱口竜介、大江崇允

撮影:四宮秀俊

音楽:石橋英子

編集:山崎梓

助監督:久保田博紀・川井隼人

監督補:渡辺直樹・大江崇允

ヘアメイク:市川温子

装飾:加々本麻未

プロデューサー:山本晃久

配給:ビターズ・エンド

製作代表:中西一雄

制作プロダクション:C&Iエンタテインメント

製作幹事:カルチュア・エンタテインメント、ビターズ・エンド

製作:『ドライブ・マイ・カー』製作委員会(カルチュア・エンタテインメント、ビターズ・エンド、ねこじゃらし、クオラス、日本出版販売、文藝春秋、レスパスビジョン、C&Iエンタテインメント、朝日新聞社)

 

キャスト

家福悠介:西島秀俊

渡利みさき:三浦透子

家福音:霧島れいか

高槻耕史:岡田将生

イ・ユナ:パク・ユリム

コン・ユンス:ジン・デヨン

ジャニス・チャン:ソニア・ユアン

柚原:安部聡子