鑑賞記録(2022.6.23)
杉田協士監督
『春原さんのうた』2021
@元町映画館
『春原さんのうた』2021/120分/日本/カラー/スタンダード/5.1ch/DCP
前作『ひかりの歌』で口コミなどの評判により全国各地での公開へとつながった杉田協士監督待望の長編第3作。
作家・歌人の東直子による第一歌集『春原さんのリコーダー』(ちくま文庫)の表題歌「転居先不明の判を見つめつつ春原さんの吹くリコーダー」をもとに、ある喪失感を抱えた女性が、日々のささやかな暮らしを続ける姿をただ見つめていく。
撮影を飯岡幸子(『ひかりの歌』『偶然と想像』)、照明を秋山恵二郎(『花束みたいな恋をした』『きみの鳥はうたえる』)、音響を黄永昌(『不気味なものの肌に触れる』『VIDEOPHOBIA』)が務めた。
今作は第32回マルセイユ国際映画祭において、日本映画初となるグランプリとともに観客賞、俳優賞の3冠という快挙を成し遂げた。
31音の短歌から生まれた映画が、マルセイユ(フランス)以降もサン・セバスティアン(スペイン)、ニューヨーク(アメリカ)、釜山(韓国)と世界各国での旅を続け、2022年1月、ついに日本での劇場公開を迎える。
(↑本作チラシより)
受賞
マルセイユ国際映画祭(第32回、2021年)
グランプリ・観客賞、俳優賞(荒木知佳)
STORY
美術館での仕事を辞めてカフェでのアルバイトを始めた沙知(24)は、常連客から勧められたアパートの部屋に引越しをする。そこでの新しい生活を始めた沙知だったが、心にはもう会うことの叶わないパートナーの姿が残っている。(本作チラシより)
感想
せわしなく過ぎ去っていく
現代社会の中で、
ある種挑戦的にというか
かなり一コマ一コマを
ゆっくり丁寧に時間をかけて
撮られている本作。
台詞は台詞としてというよりも
日常の何気ない会話や
実際に話している会話が
ちょっと聞こえてくる
というような感覚。
台詞は
まるごと全部は決まっていないのか
結構アドリブとかなのかと思った。
(キーとなるような台詞はある。↑事実は不明)
短歌からの映画化ということもあってか
おそらく監督の作風?だろうが、
会話は最小限、
情報もかなり少なく、
何があったのかや
どういった過去があるのかは
正直のところ
わからない。
しかし、
登場するキャラクター達
それぞれに
確実に
何かが起こったんだろうことを
感じさせる。
ゆっくりと時間を掛けて
豆を焙煎し、挽き、
丁寧にゆっくりと湯を注がれる
コーヒーを
外をそよぐ風を感じながら
香りを楽しみ、
そして
じっくりと一口ずつ味わっていく。
そんな
ゆっくりとした時間が流れるイメージ。
なんでも時短、
効率化、手軽で簡単、
刺激、情報過多・・・
そんな状態に侵されている?私なので、
(というか、せっかちな性格なだけ?)
ちょっと後半、
集中力が切れそうになりながらも・・・
監督の
大事なものを大事にする姿勢というか
意思というか、
勝手にそんなものを感じた。
スタッフの皆さんも素晴らしい方々。
大好きな濱口竜介監督作を
担当されたこともある
撮影の飯岡幸子さんや、
音響の黄永昌さん。
そして照明は秋山恵二郎さん。
美しい世界観を作り出しています。
黄永昌さんは
元町映画館のOP映像の音響も
手掛けてらっしゃいますね。
名スタッフも支える本作。
一杯のコーヒーを
じっくり味わう様に、
映画もじっくりと
最後まで味わえるような
そんな自分でありたいと思った。
(2022年6月27本目。本年度213本目、映画館93本目)
スタッフ
監督・脚本:杉田協士
原作:東直子
撮影:飯岡幸子 照明:秋山恵二郎 音響:黄永昌
衣装:小宮山芽以 編集:大川景子 音楽:スカンク/SKANK
仕上監修:田巻源太 スチール:鈴木理絵
プロデューサー:髭野純 アソシエイトプロデューサー:川村岬
イラスト:カシワイ 題字:荒木知佳
他
キャスト
沙知:荒木知佳
雪:新部聖子
妙子(おばさん):伊東沙保
剛(おじさん):金子岳憲
他