鑑賞記録(2022.3.28)
ウラジミール・コズロフ監督
『クナシリ』2019
@神戸アートビレッジセンター(KAVC)
『クナシリ』2019/74分/フランス/カラー・ビスタ
戦前には四島全体で約17,000人いた日本人も、終戦後の1947年から1948年にかけて強制退去が行われ現在は誰もいない。その後、両国間の平和条約は終結されないまま現在に至る。
旧ソ連(ベラルーシ)出身で現在はフランスを拠点とするウラジミール・コズロフ監督が、ロシア連邦保安庁の特別許可と国境警察の通過許可を得て撮影にこぎつけた国後島の現在とは。
(チラシより)
原題
KOUNACHIR
一言あらすじ
北方領土・国後島の今を映したドキュメンタリー
感想
北方領土問題。
正直、
歴史を全然理解できていない私は
なんとなくの経緯しか
分かっていないが、
現在の国後島って
どんなものなのだろう
という
素朴な疑問から鑑賞した。
そこは、
かつて日本人が住んでいたことが
パッと見は分からないが、
劇中、
土の中や道端から、
日本製の陶器などの破片や
荒れた日本人墓地などが
確認される。
1945年、敗戦した日本国。
それに伴い、
強制退去させられた
当時、国後島に住んでいた日本人たち。
話によると、
着の身着のまま返されたそうな。
その方々は、一体どうしたのか・・・
そして、
国後島の現在は
荒れた土地とゴミが
いたるところに見受けられる。
あるのは、
戦時中使われていた
大砲だとか、砲台、銃などの
軍事関係のものと、
全く整備されていない
自然の中の泥温泉くらいか。
(何かないといけない、なんてことないのだが)
北海道から
わずか16キロしか離れていないが
日本にこんな荒れたところないだろうな
という状態だ。
下水設備もままならず、
海が汚染され
かつていた魚も
いなくなった。
そんな荒れた土地の中、
自力で土地を一部耕す人、
自然に近い生活を求めて
アイヌのように暮らそうとする人、
日本人と共存することを願う人。
現在は2022年だが、
国後島は、
1945年の侵攻を
未だ称え続けるパレードをしている。
時が止まったかのように。
しかし、これが現実だ。
日本が返還を求めても
実質的にロシア人が住み
生活していることや
その他諸々
お互いにとっての折り合いを
どこでどう付けるのか
にっちもさっちもいかないのは
よくわかる。
政治的問題もあるが
まず、
そこに住む人が
実際にいるということ。
もっと歴史を知らなくては。
そして、
知っただけでは
不十分だろう。
お互いに相手を思いやる心。
日本人の美徳であり、
秀でている部分を上手く使い、
(互いの譲歩が必要だけど)
両者にとって
折り合いのつく着地点は
見つけられるのだろうか。
かなり難しい問題だが、
知識と理解を
なるべく深めたいと思う。
こうした、
世界の “今”を知れることは
大変貴重なことだ。
(2022年3月36本目。本年度107本目、映画館40本目)
スタッフ
監督・脚本:ウラジミール・コズロフ
撮影:グレブ・テレショフ
製作:デヴィッド・フーシェ
配給・宣伝:アンプラグド
他