鑑賞記録(2022.5.6)~そしてキアロスタミはつづく~ アッバス・キアロスタミ監督『風が吹くまま』1999 U-NEXT

鑑賞記録(2022.5.6)

~そしてキアロスタミはつづく~

アッバス・キアロスタミ監督

『風が吹くまま』1999

U-NEXT

 

各都市で行われていた

『そしてキアロスタミはつづく

デジタル・リマスター版特集上映』

は、終了しましたが、

私は、U-NEXTで鑑賞が続きます。

 

 

いよいよラストの7作品目!

 

長かった!!笑

 

(キアロスタミ監督の全作を

観たわけではありませんが・・・)

 

【そしてキアロスタミはつづく】上映対象作品

『トラベラー』(1974)

『友だちのうちはどこ?』(1987)

『ホームワーク』(1989)

『そして人生はつづく』(1992)

『オリーブの林をぬけて』(1994)

『桜桃の味』(1997)

『風が吹くまま』(1999)

 

『風が吹くまま』1999/118分/イラン・フランス/カラー

映画のラストで医者が朗読する詩は、オマル・ハイヤームの有名な詩のひとつで、ハイヤームの詩の中に収められているもの。(『そしてキアロスタミはつづく』パンフレットP.19より引用 ←このパンフレットは、『風が吹くまま』パンフレット(21-22項)より)

 

受賞

ヴェネチア国際映画祭(第56回、1999)

審査員特別賞、国際批評家連盟賞

ベルグラード映画祭(2000)

最優秀賞

 

原題

Bad ma ra khahad bord

(英題:Wind Will Carry Us)

 

一言あらすじ

クルド系の小さな村に訪れたテレビ・クルーの男たち。村の独自の風習で行う葬儀の様子を取材するため、危篤の老婆がいると聞きつけ、職業を電気技師と偽りやってきたが、老婆の容体は変わらず、予定外に生き続けて・・・

 

感想

ここ数回で見慣れた

 

黄緑色の土砂道と

 

緑色にちょこちょこ生える

ブロッコリーみたいに可愛い木々。

 

 

風景が、

この度も抜群に美しい。

 

 

 

今回は、

結構動物もやたらと画面に映り、

 

ほっこりと面白い画になっている

場面多数。

 

 

村の案内役である

ファザード少年の

ハニカミ笑顔もとってもキュート!

 

 

いつも子供がかわいい。

 

 

 

人生における

名言となりそうな言葉も多く、

 

 

そして

複線かな?とも思える

いくつかの状況や

小道具など??の登場

 

 

 

その点は

さすがキアロスタミ監督といったところ。

 

 

 

後半、

 

辺り一面の麦畑の穂が揺れる

美しさは必見。

 

 

 

 

 

(以下、ネタばれ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勝手な私の解釈だが

 

思う様にことが進まない

テレビ・クルーのディレクターで

今回の仕事の発案者である

 

ベーザードのイライラを

観客にも伝えるためか、

 

 

何度も電話が鳴っては、

 

電波が悪いため

丘まで車を走らせる。

 

 

 

これが何度も繰り返される!!!

 

 

 

もうこのシーンわかったからー!!ww

 

 

と、言いたくなるほど、

 

観ているこっちにまで

ストレスが共有される!!!笑

 

(私の気が短いだけかもww)

 

 

 

(どアップのひげそりシーンも結構長い!ww)

 

 

 

 

ベーザードは、

 

死ぬはずの婆さんが死なない!!

おかげで仕事は一向に進まない!!

 

(そんな露骨に言葉にはしないが・・・)

 

と、イライラが募る。

 

 

 

仕事のためとはいえ、

 

他人の死を、

まだかまだかと待つなんて、

 

まるで死神のようですが・・・爆

 

 

 

苛立ちながらも、

電話で丘に行くたびに

 

 

丘(墓地)でひとり、

仕事で穴を掘っている男性と出会い、

(声のみで顔は映りません)

 

 

 

たびたび会話をして

ちょっと知り合いみたいになった頃、

 

 

事件が起こります。

 

 

 

 

穴が崩れて生き埋めになり、

男性が閉じ込められます。

 

 

 

慌てて人を呼びに行くベーザード。

 

 

 

今まで散々死を待っていたけれど、

 

 

さすがに放置して

死なせるわけにはいきませんね。

 

 

 

という所から、??

 

死を待つのをやめたベーザード。

(その前から薄々罪悪感があったかも・・・)

 

 

 

 

男性は助かり、

 

ベーザードは

老婆にも医者を寄こします。

 

 

 

人生の喜びや、

 

自然と同じく

生命の美しさ、

 

 

そういったことを

考えさせられます。

 

 

 

正直、

エンタメ映画を見慣れると、

 

ちょっと集中力が切れてしまい、

 

途中で眠くなったり、

 

静止して他のことをやり始めてしまう・・・爆

 

 

 

 

こういう時、

 

映像美もそうだし、

 

拘束される映画館って

 

やっぱりいいよな~なんて思います。笑

 

 

 

 

エンタメ映画も大好きですが

 

頭がジャンクになると、

 

本作のようなナチュラルテイストが

しっかり味わえなくなるような気がして、

 

 

ちょっと気を付けたいところです。笑

 

 

 

 

自然の味こそ

 

本質を知るための力が

必要になってくると思うので、

 

 

どちらも味わえるように

 

理解できる感性や知識を

磨いておきたいものです。

 

 

Q:スクリーンに登場しない人物がたくさん存在しますが、それはなぜですか。

(キアロスタミ監督):出演者の何人かが出てこないのは、考えたうえでのことです。例えば、井戸掘りのシーンでは、わざとライトを使用しませんでした。暗い中でも、彼の人間性がきちんと出ると思ったのです。そうすることで、観客がより彼のことを信じられると思ったのです。このように、それぞれのキャラクターが画面に現れないのには理由があるのです。

映画の後、観客はスクリーンに出てこなかった出演者を、出ていなかったと思わないでしょう。これは観ている人のイマジネーションが、それぞれのキャラクターを作り上げるからです。恐らくこれは、何でも見せる現在の映画への自分なりの一つのリアクションだと思っています私の映画は、観客のイマジネーションをもっと刺激して、観ていない部分を創り上げてもらう映画です。それぞれのイマジネーションで創られたキャラクターの顔は、映画を観た観客の数だけあるのです。

(『そしてキアロスタミはつづく』パンフレットP.19より ←このパンフレットは、『風が吹くまま』パンフレット(21-22項)より)

 

 

巨匠、

 

その理念、大好きです。

 

 

私もそういう映画が

素晴らしいと思います。

 

 

もっとしっかり味わえるよう、

精進いたします!!ww

 

 

(2022年5月5本目。本年度150本目)

 

スタッフ

監督・脚本・製作・編集:アッバス・キアロスタミ

原案:マハムード・アイェディン

撮影:マームード・カラリ

音楽:ぺイマン・ヤズダニアン

サウンド編集:マハマッド・ハッサン・ナジム

録音:ジャハンギール・ミルシェカリ

助監督:バフマン・ゴバディ

製作:マリン・カルミッツ

 

キャスト

ベーザード・ドーラニー

ファザード・ソラビ