鑑賞記録(2022.1.7)小津安二郎監督『非常線の女』1933 U-NEXT/ 清水宏監督『按摩と女』1938 U-NEXT

鑑賞記録(2022.1.7)

『非常線の女』U-NEXT

『按摩と女』U-NEXT

 

『非常線の女』1933/100分/日本/モノクロ・スタンダード(サイレント)

アメリカ映画に影響を受けた小津安二郎監督による和製ギャング映画。

 

フィルムメモ

東京国立近代美術館フィルムセンターが119分および120分尺の35mmフィルム、120分尺の16mmフィルムの3種類の上映用ポジプリントを所蔵している。(ウィキペディアより)

 

一言あらすじ

腕っ節の強い与太者(やくざ者)の襄二(岡譲二)と、一緒に暮らす時子(田中絹代)。時子は昼と夜の顔を持つ。新たな出会いをきっかけに、襄二は素人の女(水久保和子)に惹かれ、時子もその女をみて、襄二と共に、まともに生きていきたいと思う様になるが・・・

 

感想

和製ギャング作品とあるが

あまりドンパチやるわけではない。

 

でもそういえば、先日観た

『民衆の敵』(1931)なんかも

そんなにドンパチやるわけではなかったな。

(↑が、影響を受けた作品ではないと思うが)

 

ギャングと聞くと

拳銃ドンパチやら麻薬やらって

勝手に想像するけど

そこまでそうじゃないらしい。。

(拳銃は出てくるが・・)

 

まぁ小津作品にしては

確かにアクション??が多い作品なのかも。

(いわゆるアクションの事ではないが)

 

あと、個人的に思ったのは

田中絹代さんは超大好きな女優さんだが

 

一応、情婦ってことになっているみたいだけど

 

田中絹代さんの見た目の雰囲気が

あまりに可憐な少女の様で

情婦はちょっとミスキャストじゃ・・・

 

なんて思ってしまった。。。w

 

しかし同時に思ったのは、

 

こちらも昨年観た『銀座化粧』での

タバコを吸って、ちょっとやさぐれ感のある

田中絹代さんが素晴らしく見事だったのは、

 

こんな昔からこういう役を演じてきた

経験からだったのかな~

 

なんて思った。

 

 

こちらの作品、サイレント映画だけど

U-NEXT版では、音声版としての配信だった。

 

 

タイプライターの音や、音楽あり。

 

プラス、セリフの字幕を読み上げ。

声の主は、竹下恵子さんと中井貴一さん。

 

割と淡々と読み上げてくれる感じが良かった。

 

サイレント映画だけど、情緒たっぷりに

撮り方でこんなに表現できるものなんだと

改めて感心する。

 

 

小津監督がよく使用する

人物以外の描写が印象的に画を繋いでいく。

 

(2022年動画鑑賞9本目)

 

 

ついでに、ちょこっとフィルムの事(早送りみたいに見える、再生速度について)

 

サイレント映画によくあるけど、

(本作もそうだが)

 

早送りみたいに見えるのは

 

例えば16mmフィルムなら、

(16mm=フィルムの幅が16mmです。)

 

1秒間に16コマということなので、

 

そのスピードでの再生が正しいのだが

 

その速度に対応していない機械で再生すると

再生速度が変わり、

早送りみたいになっちゃうらしい。

(映写初期は手動だけど、後は機械で再生)

 

 

例えば、

1秒間に16コマ再生を、

24コマの速度で再生すると、

1.5倍速ってことですかね。

 

ちなみに、

1回しで8コマ進むから、

1秒間に2回回すと16コマ。

ということらしい。

(ちらっと聞きカジッた知識なので、間違えてたらごめんなさい。。。)

 

 

スタッフ

監督:小津安二郎

脚本:池田忠雄

原案:ゼームス槇(小津安二郎のペンネーム。)

(※当初は伏見晃、池田忠雄、小津、北村小松の共同筆名として生まれたが、実際は小津単独の筆名になった。)

 

撮影:茂原英朗 配光:中島利光 美術監督:脇田世根一 舞台装置:大谷弥吉 舞台装飾:星野武 衣裳:斎藤紅 結髪:芳賀治工 

撮影補助:厚田雄春、入江政男、入江良平、広木正幹 木下正吉(後の、木下恵介) 

現像操作:納所歳巳、阿部鉉太郎 字幕撮影:日向清光 タイトル:志賀友易 撮影事務:高山伝 編集:石川和雄、栗林実 監督補助:清輔彰、原研吉、佐野豊臣、平塚広雄

製作会社:松竹蒲田撮影所 配給:松竹キネマ

 

キャスト

田中絹代、岡譲二、水久保澄子、三井秀夫、逢初夢子、高山義郎、加賀晃二 南條康雄、谷麗光、竹村信夫、鹿島俊作、西村青児、笠智衆(ノンクレジット)、他


 

 

『按摩と女』1938/66分/日本/モノクロ

清水宏監督の代表作とされる。

 

一言あらすじ

季節ごとにあちこちの温泉地を渡り歩く、ふたりの盲目の按摩師(徳大寺伸、日守新一)と、温泉地にやってきた、なにか訳ありの東京の女。勘の鋭い按摩師(徳大寺伸)は、東京の女が悩みを抱えていると言い当てる。そんな中、旅館内で窃盗事件が起こり・・・

 

感想

笑いのセンスが超わかりやすい!

 

超ベタベタな笑いだが、

私はめちゃくちゃベタな笑いが好きらしい!w

 

改めて、私はベタな笑いが好きなんだと再確認。

 

按摩師・徳さんを演じる徳大寺伸が

盲目っぷりがすごい。笑

 

実際どうかは分からないけど

盲目の感じはとても出ているように思う。

 

ディスりや差別とかではないつもりで

正直、普通に面白いし。

 

ハイキングの学生のやりとりや

なんかちょこちょこ小ネタを挟んでくる。笑

 

そして、単なるコメディーで終わらないのが

この映画の素晴らしいところ。

 

ちょっとしたサスペンス要素もあり、

美しい描写ありと、

見所がたっぷりだ。

 

 

雨のシーンなんか、めちゃくちゃ綺麗。

 

こんなに雨のしとしと降る雫が美しいとは。

 

水面を小さく弾く雨の雫は、

いつまでも見ていられそう。

 

 

そして高峰三枝子さんの番傘姿の画が

素敵過ぎる!!

 

ただただ、美しい。

 

最後、すべてが

ハッキリスッキリするわけではないが

余韻を持たせながら、幕引き。

 

(2022年動画鑑賞10本目)

 

スタッフ

監督・脚本:清水宏

撮影:斎藤正夫 美術:江坂実 音楽:伊藤宣二 製作会社&配給:松竹

 

キャスト

高峰三枝子、徳大寺伸、日守新一、爆弾小僧、佐分利信、坂本武、春日英子、京谷智恵子、油井宗信、二木蓮、他