鑑賞記録(2022.7.13)深田隆之監督『ある惑星の散文』2018@元町映画館

鑑賞記録(2022.7.13)

深田隆之監督

ある惑星の散文』2018

@元町映画館

 

『ある惑星の散文』2018/98分/日本/カラー/ステレオ/DCP

第33回ベルフォール国際映画祭 長編コンペティション部門ノミネート

濱口竜介監督の「偶然と想像」などで助監督を務めてきた深田隆之の初劇場公開作品

『ある惑星の散文』は横浜本牧という港に近い町から着想された。脚本は本牧に通いながら執筆され土地の空気と物語が呼応した作品となっている。

横浜に通い、ロケハンも撮影もして来た者として、本牧あたりの無機質で何処か人間の存在を小さく感じさせる「あの風景」を写し取る詩的な感性に素直に驚く。ただ、小さくとも人は確かに存在している。やがて、この映画はいつの間にか(と言うほかない)二人の女性の実存を問うものに変貌していく。風景のなかにいた人が、ハッキリと浮き出てくる。この危うく美しい瞬間、この映画は詩であるよりも散文であることを果敢に選び取る。ここに監督・深田隆之の向かう先もあるのではないか。 濱口竜介監督(『ドライブ・マイ・カー』『偶然と想像』)

(↑本作公式サイト&チラシより)

 

散文とは

定型や韻律を持たない普通の文章。小説や評論のように、5・7・5などの韻律や句法にとらわれずに書かれた文章のことである。狭義には、そのようにして書かれた文学。韻文の反意語。散文で書かれた詩のことは散文詩と言う。

(Oxford Languages、ウィキペディアより)

惑星とは

恒星の周りを回る天体のうち、比較的低質量のものをいう。(中略)英語「planet」の語源はギリシア語の『プラネテス』(「さまよう者」「放浪者」などの意)。宇宙のスケールから見れば惑星が全体に影響を与える事はほとんど無く、宇宙形成論からすれば考慮の必要はほとんど無い。だが、天体の中では非常に多種多様で複雑なものである。

(ウィキペディアより一部抜粋)

 

あらすじ

脚本家を目指すルイは海外に行っている映画監督の恋人アツシの帰りを待っている。スカイプ越しに会話を交わす2人は新しい生活への計画に胸を躍らせる。一方、芽衣子は精神疾患によって舞台俳優の活動を離れカフェで働いていた。そこへ急に兄のマコトがやってくるが…。人生の岐路に立つ女性2人が織りなすささやかな物語。(本作公式サイト&チラシより)

 

感想

”ふたりは惑星のように

停滞した時間を彷徨う

自分を記憶する存在を求めて”

 

 

 

港の傍の

コンテナやトラックなど

 

無機質な四角い物体が

横移動で映し出され

 

 

ナレーションと共に映ると

 

まるで地球ではない

他の惑星のようだ。

 

 

 

何処か異質で

人の気配を欠き

 

この景色はいつまでも

どこまでも果てしなくループし、

 

続いていきそうな・・・

 

 

 

そしてそれは

 

主なふたりの時間にも

共通して感じられる。

 

 

 

繰り返されるように感じる時間。

 

 

しかし確実に

 

ほんの少しずつ

 

変わっていく。

 

 

 

それぞれふたりが過ごす

異なる時間と空間が

 

 

些細な偶然から

交錯していく。

 

 

 

ぐるぐると回る

抜け出せない思いの中で

 

 

それでも

時間と共に変化し

 

別の所へと動き出す・・・

 

 

 

本作の不思議な音楽が

 

とても印象的で

 

日常なのに

どこか非日常を思わせる

 

 

地球ではない

何処かを感じ

 

題名と良く合っていると思った。

 

 

 

(2022年7月21本目。本年度247本目、映画館117本目)

 

 

スタッフ

監督:深田隆之

脚本:深田隆之、島田雄史

撮影:山田遼 録音:渡部雅人

助監督:島田雄史

美術・制作:植地美鳩

ヘアメイク:谷川悦子 音楽:アルプ

英語字幕:村上静香 宣伝:夏井祐矢

宣伝イラスト:坂内拓 宣伝デザイン:大澤悠大

配給・宣伝協力:合同会社夢何生 製作√CINEMA

 

キャスト

 相沢 ルイ:富岡英里子

成瀬 芽衣子:中川ゆかり

アツシ:ジントク

マコト:渡邊りょう