鑑賞記録(2022.10.22)
神戸発掘映画祭2022
清水宏監督
『明日は日本晴れ』
1948
+解説:大澤 浄
(国立映画アーカイブ)
@神戸映画資料館
『明日は日本晴れ』1948/65分/日本/モノクロ/35mm上映
大船作品。さきに『蜂の巣の子供たち』を製作した清水宏が、松竹における『狐と狸とおかめ』を一時中止してかかった戦後の第二作である。この映画は町と温泉町をつなぐバスの中の物語で、旧作『有難うさん』で実験済みのオールロケーション映画、撮影は杉山公平が担当、京都近郊の山峡が舞台にえらばれる。キャストは、水島道太郎、三谷幸子、日守新一このほか、久方ぶりの国友和歌子、荒木忍のほか多数の素人俳優が配役に加わっているのが特色である。オリジナルタイトルは「秋」。東宝が配給している。(松竹作品データベース、INTRODUCTIONより)
松本常保が設立した独立プロ・えくらん社の第1回作品でもある。バス1台のみを使ってロケーション撮影という、戦前の『有りがたうさん』(1936)を想起させる設定だが、戦争や過去の出来事によって傷ついた人々がふとした仕草や台詞によって実存を輝かせるさまは比類なく、戦後の清水の新たな展開を示す重要作と言えるだろう。(神戸映画資料館 神戸映像アーカイブ実行委員会 神戸発掘映画祭公式サイトより)
一言あらすじ
戦後3年。色々な、多くの客を乗せたバスが、山中で故障し、動かなくなってしまった。前の駅も、次の駅にも、かなりの距離がある。次のバスが来るまでの間、待つ者、歩いていく者、乗客それぞれの過去や現在、思いを垣間見ながら、一時を過ごし・・・
感想
清水宏監督の
山の撮影、好きです!!w
『蜂の巣の子供たち』(1948)も
山中のロケが印象深かったが、
本作も、
オールロケーションとのこと。
”バスに乗り合わせた乗客たち”が
他人同士ながらも
軽快に話す
車中での会話は
とても小気味良い。
現在では
考えられないかもしれないけど、
昭和の感じなら
全然あり得るシチュエーション。ww
知らない人同士が
まぁまぁツッコんで話す様は
とても面白い。
状況としては
山中で故障したバスと
そこで立ち往生する乗客たち
という
ワンシチュエーションながら
多くの登場人物たちの
人生を垣間見るような
群像劇的流れだと感じた。
ガッツリ1人を
主人公とするのではなく、
何人もが
魅力あるキャラクターを演じ
それぞれに思いを抱えている。
冗談や笑いを交えながらも
人の心に刻まれた
それぞれの思いを少しずつ見ることで
多くの登場人物たちの
過去や思いを想像する。
なんだかんだで
優しい行動を行う人々が
なんとも美しく、
笑みが溢れる。
とても面白かったです。
上映後、
国立映画アーカイブの
大澤 浄さんの解説で
貴重なお話を聞くことも出来た。
本作の製作者である
松本常保さん及び、
えくらん社のお話や
本作でかつぎ屋を演じている
(左脚を無くしている)
御庄正一さんは
『蜂の巣の子供たち』にも
出演されているが
(↑子供たちを使っているボスみたいな役)
実際に戦争で
足を失われているお話など
お聞きして、
だからあんなシーンが出来たのかと、
ちょっと複雑な心境と共に
驚いた・・・
私は
『有りがたうさん』(1936)を
(『有難うさん』)
まだ観れていないので
本作が
『有りがたうさん』を想起させるという
シーンがあるというのを知らないが
ぜひそちらも観てみたい。
そして、本作は
東宝の作品だが、
どういう経緯か、
松竹で保管されていたらしく
そういったこともあるんだな〜
と、面白くお話を聞いた。
とりあえず私は
まだ観ていない作品が
まだまだたくさんあるので、
そちらもこれから観ていきたい。
貴重な上映とお話、
有難うございました!
(2022年10月27本目。本年度380本目、映画館205本目)
スタッフ
監督・脚本:清水宏
脚本:関澤新一
撮影:杉山公平
音楽:伊藤宣二
録音:杉山正明
製作:えくらん社(松本常保)
他
キャスト
木野清次:水島道太郎
柳田サチ:三谷幸子
山端ワカ:国友和歌子
按摩・福市:日守新一
山主・金田:坂田源次郎
占い師:間山政次郎
かつぎ屋:御庄正一
かつぎ屋政作:上田熊男
産婆常:石原ミドリ
浮浪児:上田秀男
元老将軍:荒木忍
踊子:明美京子
他