鑑賞記録(2022.5.17)
ヘレナ・コーン監督
『オードリー・ヘプバーン』
2020 @シネ・リーブル神戸
『オードリー・ヘプバーン』2020/100分/イギリス/カラー・モノクロ/ビスタ/5.1ch/
歴史に残る映画スター、オードリー・ヘプバーンの初のドキュメンタリー映画。
この作品は、母が目一杯生きた人生の真実の物語です。彼女は自分のことを美しく、特別な人という風に思ったことはありませんでした。みんなと同じように不安や疑心を持っている生身の人間です。だからこそ、彼女は常に努力をし、いつでもプロフェッショナルであり、誰に対しても優しい人でした。この作品を通して、皆さんが出会い、知っていく女性はこのような人物なのです。-ショーン・ヘプバーン・ファーラー(オードリーの長男)
オードリー・ヘプバーンは「ローマの休日」で主演女優として大抜擢、初の主演作で24歳にしてアカデミー賞主演女優賞を受賞し、世界で最も称賛を浴びる偉大なミューズとなった。一世代に一人と言われた圧倒的な美貌、そしてハリウッド黄金期の伝説的スターと称された。
(↑本作チラシより抜粋、引用)
原題
Audrey
一言あらすじ
ー世界中から「愛された」彼女は一方、実生活では愛される喜びを得られなかった。しかし、生涯をかけて「愛すること」を信じ、与えることを貫いた。彼女が今なお我々の中で生き続けるその理由が、今解き明かされるー(本作チラシより)
感想
天真爛漫。
気品に溢れながらも自然体。
外見だけにとどまらず
内面からも滲み出るような
美しさと愛らしさを共存させ
世界中を虜にし
映画史上、
最も輝き、愛された一人とも言える
オードリー・ヘプバーン。
もちろん
私も子供のころから知っていて、
『ローマの休日』(1953)は
テレビでも何度も放送されていたから
度々観たものだ。
子供の時は
あまりよく分かっていなかったと思うが、
それでもお人形のようなビジュアルに
衝撃を受けたように思う。
外国人ってこんなに美人なのかーー!!
なんて思った気がする。笑
映画内でも
いくつかの映画のショットが挿入されているが
惚れ惚れする。
本当に絵に描いたように美しい。
そしてとっても愛くるしい。
笑顔が最高にチャーミング!!
さらには、
衣装も本当に素敵で。
過去に彼女の作品は
それなりに観てきてはいるが、
未鑑賞のものもあるので
ぜひ改めて観たいと思った。
彼女の私生活のことは
私は一切知らなかったので、
今回初めて経緯を知った。
鮮烈な光の背後には
他の誰もが知る由もない
深い影が付いて回る。
一概には言えないが、
美しく才能ある女性の
おそらく少なくない一定数が
パートナー(夫婦)間に問題を抱え
悩む姿を見かける。
これは
美しく才能ある女性に
限った事ではないのだけれど、
フォーカスされるからか
そんな印象がある。
もちろん
美しく才能あり、
生涯の伴侶にも恵まれるという人も
いるはずだけど。
まぁ二人のことは
二人にしかわからないから
外野がどうこういうこっちゃありませんが。
それでも
子供を持ち、孫も持ち
最終的には
信頼できるパートナーも得た晩年は
彼女にとって
本当に大切なものを
手に出来た時間だったのかもしれない。
そして、
映画の後半でも
今度は家族や友人だけにとどまらず、
世界中の厳しい環境にさらされる
子供たちを中心に
愛を与え続ける。
私が幼い頃のオードリーは
ユニセフ親善大使だったことは
よくニュースなんかでも流れたから
そのイメージが強い。
影響力も絶大だ。
今回本作を観て
あらためて凄い人だと思った。
誰もが憧れるだろう
存在の彼女だが
スターはスターなりの
重圧やプライバシーの侵害など
多くの悩みも同時に抱えるのが常。
それでも仕事から得た喜びは
大きかったと彼女は語る。
本当に才能ある映画スター。
戦争を経験し、
ナチス占領下のオランダで育ち、
両親の離婚など
厳しく辛い過去も
彼女の人柄や人生に
さらなる厚みを与え
だからこそ
あれほどまでに輝けたのかもしれない。
しなくていい苦労は
しないに越したことはないと思うが
人としての大きさは
そういった経験により
深みを増すこともある。
光と影は、
表裏一体。
どちらかしかない人間など
いないと思う。
絶望の淵を経験しても尚
彼女が輝き続けたのは
強く信じる心を持ち
愛を与えることが出来る
稀有な存在であったことは
間違いないだろう。
そんな彼女の大きさを見つめると
ある意味ちょっと
自分のあまりの小ささに
落ち込みもするが・・・ww
人と比べても
仕方がないですね。
幸せの定義は
人それぞれだし、
世間への影響力と
幸せであるかどうかは
多分比例しない。
色んな事を考えながら、
そして当たり前だが
本人を直接知るわけではないけど
やっぱり彼女は間違いなく
憧れの素敵な存在。
私もオードリーのように
とまでは言わないまでも
少しでいいので
愛を感じ
無償で与えられるような
そんな器を持てるようになれたら
きっと幸せだろう。
(2022年5月19本目。本年度164本目、映画館60本目)
スタッフ
監督・脚本:ヘレナ・コーン
撮影:シモーナ・ススネア 編集:マーク・ケイディ
音楽:アレックス・ソマーズ 音楽監修:デビッド・フィッシュ、ルパート・ホリアー
振付:ウェイン・マクレガー
製作:ニック・タウシグ、アナベル・ウィゴダー
製作総指揮:フィル・ハント、コンプトン・ロス、ルーシー・フェントン、ネイト・ボロティン、タミル・アルドン、ポール・バン・カーター、イアン・バーグ、アビドゥ・マジード、レイノルド・ダシルバ
他
キャスト
オードリー・ヘプバーン
ショーン・ヘプバーン・ファーラー(オードリーの長男)
エマ・キャスリーン・ヘプバーン・ファーラー(オードリーの孫)
クレア・ワイト・ケラー(ジバンシィの元アーティスティックディレクター)
ピーター・ボグダノヴィッチ(アカデミー監督賞ノミネート)
リチャード・ドレイファス(アカデミー賞受賞俳優『アメリカン・グラフィティ』『ジョーズ』他)
アレッサンドラ・フェリ(バレエダンサー)
フランチェスカ・ヘイワード(バレエダンサー)
キーラ・ムーア(バレエダンサー)