鑑賞記録(2022.8.20)
スタンリー・キューブリック監督
『バリー・リンドン』1975
『バリー・リンドン』1975/185分/イギリス・アメリカ/カラー
原作はウィリアム・メイクピース・サッカレーによる小説”The Luck of Barry Lyndon”(1844年)。
キューブリック唯一の「伝記的」な様式を持つ作品である。原作の長編小説をキューブリック自身が大幅に圧縮して台本化したが、その際には原作がバリー自身の回想録として一人称で書かれていたのをナレーションに替え、バリーの末路を変更するなど、大幅にアレンジが施された。それでも三時間超を要する大作となった。
キューブリックは当初、ナポレオン・ボナパルトの映画化を目論んでいたが主に予算の都合で断念し、代わって製作されたのが本作である。時代考証はもちろんだが、ライティング、美術、衣装に至るまで、完璧主義者であるキューブリックは見事に18世紀を再現してみせている。またこの時代の雰囲気を忠実に再現するため、ロウソクの光だけで撮影することを目指し、NASAのために開発されたレンズを探し出して使用した。(※さらに改造して撮影現場に導入。←U-NEXT本作「ここがポイント!」より)
軍隊はすべてアイルランド陸軍の歩兵を利用した。映画化の叶わなかったナポレオン時代の戦争に関する研究が広く活かされることになったが、撮影当時は北アイルランド紛争の激しい時で、スタッフ・キャストの移動にも細心の注意をはらったという。
第48回アカデミー賞にて撮影賞、美術賞、衣装デザイン賞、編曲賞の技術4部門を受賞をするなど、評価は高かったものの興行的には苦戦し、制作費回収には年月を要した。著名な原作とスターを起用した娯楽作品による興行的な成功を目指したキューブリックが次の作品として選んだのが、スティーヴン・キングの『シャイニング』である。
民謡とオリジナル音楽以外の音楽は、ほとんどがこの作品の設定と同時代である18世紀頃に作曲されたバロック音楽、古典派音楽のものだが、唯一の例外が19世紀に作曲されたシューベルトの作品である。これは単なる時代錯誤ではなく、キューブリック自身がバロック音楽にロマンティックなものがあまりないと感じたためだとされる。
(↑ウィキペディアより)
U-NEXT視聴期限間近の為、鑑賞。(また復活する場合あり)
受賞
アカデミー賞(第48回、1976年開催)
撮影賞:ジョン・オルコット
編曲・歌曲賞:レナード・ローゼンマン
美術賞:ケン・アダム (美術)、ロイ・ウォーカー (装置)、ヴァーノン・ディクソン (装置)
衣裳デザイン賞: ミレーナ・カノネロ、ウルラ=ブリット・ショダールンド
他、ノミネート多数
原題
Barry Lyndon
一言あらすじ
第一部、”レドモンド・バリーが如何にしてバリー・リンドンの暮しと称号をわがものとするに至ったか”、第二部、”バリー・リンドンの身にふりかかりし不幸と災難の数々”として、バリーの人生を描く。
感想
3時間越えの超大作!!
まさに題名通り、
バリー・リンドンになるまでの第一部と、
なった後にお話が第二部として描かれる。
18世紀のお話を再現するため
キューブリック監督の
相当なこだわり様!!!
特に衣装と
お屋敷やら絢爛豪華な作りの部屋
その他諸々の
大道具から小道具まで
よくまぁ用意出来たなと。
ヨーロッパの宮殿や
美術館を思わせる
豪華な建物。
凄いです!!
蝋燭もとても気になりましたね。
美しいなぁと。
当時を再現するため
蝋燭の光だけで
撮影を行うというのは、
たまにある?様ですね。
年代が現代に近づくほど
カメラの性能が上がるので
今では比較的容易かもしれませんが、
まだこの時代は困難だった様です。
以下、ネタバレ含みますが・・・
特に痺れた!シーンは、
第一部後半、
バリーとリンドン夫人が出会い、
テーブルでゲームを行うシーン!!
”目は口ほどに物を言う”
という言葉を、
見事に体現した
素晴らしいシーンでした!!
バリーとリンドン夫人の視線、
そして
その視線に気付くラント牧師の
3人の無言の目のやり取りが〜〜!!!
これぞ映画の醍醐味ですね。
演出と役者が最高です!!!
リンドン夫人演じる
マリサ・ベレンソンがまぁ美しいこと。
あと、
子供と馬の組み合わせは
映画あるあるで
(実際にあったことと思いますが)
大抵オチが想像付きますね・・・
そして
第二部もなんとなく大筋は
やっぱりなぁ・・・
という運びに・・・
(前置きがあるから想像できちゃう部分はある)
壮大な美しい風景と屋敷、
絢爛豪華な装飾品、
カメラの動きも
そこ長回しにするんだ!とか、
アップからグ〜ッと引くとか
ちょくちょく
おぉ!と思う部分あり。
3時間が意外とあっという間でした。
『2001年宇宙の旅』(1968)や
『時計じかけのオレンジ』(1971)
といった作品の様に
凄いインパクト〜〜〜!!!
みたいなのはないかもしれませんが、
大作であることに
変わりはありませんね。
(2022年8月30本目。本年度299本目)
劇中使用音楽
アイルランド民謡
チーフタンズ
ブリティッシュ・グレナディアーズ
ホーエンフリートベルク行進曲
ヴィヴァルディ:チェロ協奏曲ホ短調RV.409から第3楽章
ヘンデル:組曲第11番ニ短調HWV.437〔第2集第4番〕からサラバンド
J.S.バッハ:2台のチェンバロのための協奏曲第1番ハ短調BWV.1060から第2楽章
パイジエッロ:オペラ「セビリアの理髪師」より
モーツァルト:オペラ「イドメネオ」K.366から行進曲
シューベルト:ピアノ三重奏曲第2番ホ長調D.929, Op.100から第2楽章
シューベルト:5つのドイツ舞曲より第1番ハ長調D90-1
(↑ウィキペディアより)
スタッフ
監督・脚本・製作:スタンリー・キューブリック
原作:ウィリアム・メイクピース・サッカレー
製作総指揮:ヤン・ハーラン
音楽:レナード・ローゼンマン
撮影:ジョン・オルコット
編集:トニー・ローソン
配給:ワーナー・ブラザース
他
キャスト
レドモンド・バリー (バリー・リンドン):ライアン・オニール
レディー・リンドン:マリサ・ベレンソン
ノラ:ゲイ・ハミルトン
ジョン・クイン大尉:レオナルド・ロッシーター
フィーニー大尉(ハイウェイマン※強盗):アーサー・オサリヴァン
グローガン大尉:ゴッドフリー・クイグリー
ポツドルフ大尉:ハーディ・クリューガー
シュヴァリエ・ド・バリバリ:パトリック・マギー
チャールズ・リンドン卿:フランク・ミドルマス
ブリンドン子爵:レオン・ヴィタリ
ブリンドン子爵(子供時代):ドミニク・サヴェージ
ブライアン・パトリック・リンドン(バリー・リンドンの子):デイビット・モーリー
サミュエル・ラント牧師:マーレイ・メルヴィン
ベル(バリー・リンドンの母):マリー・キーン
ナレーター:マイケル・ホーダーン