鑑賞記録(2022.12.19)
エリック・ベナール監督
『デリシュ!』2020
@Cinema KOBE
『デリシュ!』2020/112分/フランス・ベルギー(フランス語)/カラー/シネマスコープ/5.1ch
監督は、フランスで長く脚本家のキャリアを積んだエリック・ベナール。今作が長編第7作、初の時代劇となる。(公式サイト”Introduction”より)
バスティーユ襲撃(仏: prise de la Bastille)
1789年7月14日にフランス王国パリの民衆が同市にあるバスティーユ牢獄を襲撃した事件である。フランス革命のはじまりの日とされる。(ウィキペディアより)
原題
Delicieux
あらすじ
1789年、革命直前のフランス。誇り高い宮廷料理人のマンスロンは、自慢の創作料理「デリシュ」にジャガイモを使ったことが貴族たちの反感を買い、主人である傲慢な公爵に解任され、息子と共に実家に戻ることに。もう料理はしないと決めたが、ある日彼の側で料理を学びたいという女性ルイーズが訪ねてくる。はじめは不審がっていたマンスロンだったが、彼女の真っ直ぐな想いに触れるうちに料理への情熱を取り戻し・・・(公式サイト”story”より一部抜粋)
感想
なんとも美味しそうな
モノを作りそうな
手!!
ふっくらと大きな手が
粉を混ぜ、揉み込み
出来上がった生地は
もうすでに美味しそう・・・
そして
いくつかの工程と
かわいい細工を施して
焼き上げれば、
”デリシュ”の出来上がり。
ジャガイモとトリュフの
重ね包み焼き。
確かにじゃがいもは
庶民が食べるイメージがありますが、
この頃は、
じゃがいもは
まだ食べられておらず、
(ハンセン病になる
悪魔の食べ物とされていたらしい)
フランスで実際に
食べられるようになるのは
100年も先になるそうな。
今ではおそらく世界中で
一般的に食べられる
食材となっていますが
当時は、
超最先端だったのですね。
最先端すぎて
受け入れられるまでに
時間はかかったようですが・・・
シネマスコープの大画面
いっぱいに広がる
美しい大自然と、
思わずゴクリとする
美味しそうな料理の数々。
そして、
革命のアイデンティティ!
フランス革命直前、
既存の貴族と民衆という
状態が崩れようとしている
まさにそれと時同じくして、
フランスの食文化にも
今までにはなかった
新しい革命を起こした物語。
貴族は
絢爛豪華な美食に舌鼓を打ちながら、
その裏で庶民は
満足に食べることすらままならない。
そんな極端な差が
当然の如くあり、
もちろん
貴族が庶民と同じ空間で
食事などありえない時代に
その垣根を取り払い
新しい概念とスタイルを作った
主人公たち。
時代は移り変わっていく中で、
人もまた変わっていく。
いつまでも同じところに止まらず、
時代の流れを見極め、
人がきっと喜ぶこと、
美味しいモノを食べて
笑顔になってもらうこと、
そのこと自体に
貴族も庶民もない。
きっと料理人にとって
料理を美味しいと言って
喜んで食べてもらうことが
何よりの喜びでもあるだろう。
時代の革命と共に、
初めての
”レストラン”を生み出す!
いつの時代も
新しい考え方や
やり方が開発され、
イノベーションが起きる!!
本作は、
剣を使わない革命!!
まさにその瞬間です!
劇中のサウンドですが、
5.1chとありまして、
Cinema KOBEさんの劇場の
前方だけでなく
両サイドと後方にも
セットされた
複数のスピーカー(いろんな方向)から
音声が聞こえ、
画面に映っていない人物が
あっちだったりこっちだったりに
いるんだな!ということが
音から判断できます!!
これは映画館ならではの
特別感ですね〜!!
こういう
ちょっとしたこだわりに
すぐグッとくる私。w
ぜひ映画館で
体感してみてほしいですね。
ぜひ、ご覧ください!!
(2022年12月19本目。本年度445本目、映画館253本目)
スタッフ
監督:エリック・ベナール
脚本:エリック・ベナール、ニコラ・ブークリエフ
撮影:ジャン=マリー・ドルージュ
美術:ベルトラン・セーツ
衣装:マデリーン・フォンテーヌ
音楽:クリストフ・ジュリアン
編集:リディア・デコベール
製作:クリストフ・ロシニョン、フィリップ・ボエファール
製作総指揮:イブ・フランソワ=マシュエル
他
キャスト
マンスロン:グレゴリー・ガドゥボワ
ルイーズ:イザベル・カレ
シャンフォール公爵:バンジャマン・ラベルネ
他
ネタバレMEMO
Q.皆はマンスロンが饗宴に加えたジャガイモとトリュフの重ね包み焼きである「デリシュ」を公然と嘲笑します。
18世紀において、料理人はひたすら料理を複製することが求められ、何も発明することができず、イニシアチブもありません。したがって、マンスロンが彼の創造物を提供したことは不服従の罪に当たりますが、彼はより深刻な犯罪、すなわち食用でないだけでなくハンセン病などの病気をもたらすと教会によって断定されていた地中からの作物を使用したという罪を犯したのです。ジャガイモやトリュフは悪魔の産物と考えられていました。当時貴族と聖職者は同様に天国の食べ物ということを未だに信じていました。空中にいるという要素が多ければ多いほど、神聖な存在になるのです。鳩なんかは完璧で、地面に近い牛はちょっと劣る…という具合に。ジャガイモは非常に栄養価が高いですが、フランスで認められるまではもう100年かかります。そして、農民にその価値を理解させるために畑に兵士を配備して守るよう王を説得したという農学者パルマンティエの尽力によって、ジャガイモはフランス人の習慣に定着したのです。(公式サイト”エリック・ベナール監督インタビュー”より)