鑑賞記録(2022.5.29)清水宏監督『蜂の巣の子供たち』1948@神戸映画資料館

鑑賞記録(2022.5.29)

清水宏監督

蜂の巣の子供たち』1948

@神戸映画資料館

 

 

『蜂の巣の子供たち』1948/86分/日本/モノクロ/35mmフィルム上映

清水監督は戦災孤児を引き取りともに生活していたが、その子供たちを出演させてオール・ロケーションで撮影した自主製作作品。山中貞雄、小津安二郎、そして溝口健二が天才と呼んだ、清水宏監督の「子ども」と「旅」のテーマが凝縮されている。(2022年5月神戸映画資料館チラシより)

(清水宏監督は)作為的な物語、セリフ、演技、演出を極力排除する実写的精神を大事にし、「役者なんかものをいう小道具」という言葉を残している。 (ウィキペディアより)

 

一言あらすじ

下関に降り立った復員兵が出会った浮浪児たちを連れて広島、神戸と山陽道を歩いて行く。(2022年5月神戸映画資料館チラシより)

 

感想

清水宏監督は

戦災孤児たちと共に

生活されていたんですね。

 

 

知らなかった。

 

 

そういったことは

全く知らずに鑑賞。

 

 

さらにはオールロケ!!

(清水監督はロケ多いようだ)

 

 

 

たしかに

ずっと外っぽいなとは思っていたけど、

やっぱり!!

 

 

 

所々、

遠くから俯瞰的目線で

引いて撮る箇所があり

 

 

ちょっと

アッバス・キアロスタミ監督などの

ロングショットを思い出しました。

 

 

【※ロングショット (Long Shot) は、映画において被写体とカメラの距離が非常に遠いショット。また、被写体の全体が見えたり、被写体が周辺環境で小規模に見えるようなショットのこと。(ウィキペディアより)】

 

 

(キアロスタミ監督の方が後です。)

 

 

 

そして

子どもたちがなんとも

愛嬌があって可愛らしい。

 

 

 

復員兵のオジさんが

真面目で優しく

子どもたちを導いてくれます。

 

 

 

クスッと笑える場面もあり

 

そして

クライマックスは客席から

すすり泣く声も・・・

 

 

 

子どもたちを

かなり多く使っていますが

 

みんな伸び伸びしていて

愛らしいです。

 

 

 

演技が上手いとか

そういうことじゃなく

 

自然な動きなどを重視した

作品作り。

 

 

 

子どもたちが主役の本作。

 

 

これは清水監督が

彼らと一緒に生活していて

 

子どもたちを知り尽くしていたから

出来た作品なのかもしれません。

 

 

 

子どもたちも

きっとリラックスして

動けたんでしょうね。

 

 

 

戦後の厳しい状況の中を

生き抜く子どもや大人。

 

 

 

大人も子供も

生きていくのがやっとの時代。

 

 

 

それでもなんとか

毎日食べ物にありつけるように

 

コツコツ働いて、

みんなでイモを分け合って。

 

 

 

 

本作の直前に観た

(立て続け鑑賞)

 

忘れられた人々』の

(1950/ルイス・ブニュエル監督)

 

えげつない現実を突き付けたものとは

真逆の作品。

(それはそれで凄い)

 

 

 

本作は、

色々ありながらも

 

前を向いて生きていく

心温まるお話です。

 

 

 

巨匠たちに天才と言わしめた清水監督。

 

 

 

私は、

オープニングのショットで

 

その作品の6~7割くらい

(それ以上かも)

 

その先が面白くなるか

好みかどうかが

 

大体分かる気がしていますが

 

 

本作も、

独特で面白いショットでスタートし、

 

”蜂の巣”感を

勝手に感じていました。

 

 

やはりその後も面白かった。

 

 

 

中々観られる機会が少ない

清水宏監督作品ですが、

 

35mmフィルムで観られて

とっても嬉しかったです。

 

 

機会があれば

ぜひご覧になってみてください。

 

 

 

(何度も言ってますが、

清水宏監督作は、

個人的には『按摩と女』(1938)が好き。)

 

 

(2022年5月38本目。本年度183本目、映画館77本目)

 

 

スタッフ

監督・脚本・製作:清水宏

撮影:古山三郎

音楽:伊藤宣二

 

キャスト

島村修作:岩波大介

夏木弓子:夏木絢子

図星の政:御庄正一

普公:久保田晋一郎

義坊:千葉義勝

豊:岩本豊