鑑賞記録(2022.6.9)
坂本順治監督
『冬薔薇』2022
@kino cinema神戸国際
『冬薔薇』(ふゆそうび)2022/109分/日本/カラー
阪本順治監督が、若手俳優・伊藤健太郎のために書き下ろしたオリジナル新作。
横須賀でのオールロケ。
一言あらすじ
専門学校にも行かず、不良とつるみ、友人からは金をせびり、それでいてデザイナーになりたいと人に話す、何事も中途半端な渡口淳(伊藤健太郎)。両親は細々と海運業を営みなんとか日々を過ごしつつ、淳がどうしているのかも見て見ぬふり。そんな中、叔父とその息子が越してきて、ある事件が起こり・・・
感想
正直、ろくでもない主人公の淳だが
根っからろくでもないんじゃない。
いつからか
こうなってしまったのだろう。
誰のせいだとか
どうこう言うつもりはないが
一種の不幸とも言えるのかもしれない。
他人が今、どんな心情で
その言葉を発しているのか
わからない。
汲み取れない。
わからないことにすら、
気付いていない・・・
どんどん他人と噛み合わなくなり、
どんどん他人が離れていく。
自分ではなぜだか、わからない。
悪気もない、悪意もない。
いつのまにか、誰もいない。
どこか寂しく
かまってほしい。
自分の存在を肯定してほしい。
一緒にいてほしい。
友達でいてほしい。
幼い頃に、むしろ今でも
もっと欲しかった愛情。
性格、環境、過去などすべてひっくるめて
淳という人格を形成している。
分かる気もするし、
分からない気もするし、
でも根っからのワルじゃないのは
確かなんだけどな・・・
そんな青年の陥っていく
少し先の未来は・・・
明るい話では全然ないけど、
個人的には
余貴美子さん演じる母と
石橋蓮司さん演じる長老の船員が
結構面白くて
暗い内容の割に
ひとりクスクスと笑っていたんだが。www
台詞がちょいちょい面白いし、
演じるキャラクターも最高で
この笑いの感じ、好きです。
重かったり、
暗かったりする内容でも
エッセンスとして
笑いを欲する私としては
とても楽しめました。
名優たちで
脇をがっつり固めつつ、
伊藤健太郎さん演じる淳も
ろくでもないけど、
どこか可愛さというか
子どもっぽさ
憎めなさもあり良かったです。
今月の月刊シナリオ(2022年7月号)に
脚本が掲載されているとのことで
本屋さんに取り置きをお願いしました!
映画観てから
脚本読むって中々しませんが、
ちょっと読んでみたいと思います。
脚本ではどうなっていたのか、
楽しみです。
(2022年6月13本目。本年度199本目。映画館84本目)
スタッフ
監督・脚本:阪本順治
撮影:笠松則通
照明:渡邊孝一
録音:照井康政
美術:原田満生、我妻弘之
衣装:岩崎文男
ヘアメイク:豊川京子
装飾:徳田あゆみ
擬斗:二家本辰己
マリン統括ディレクター:中村勝
音響効果:小島彩
編集:普嶋信一
音楽:安川午朗
音楽プロデューサー:津島玄一
助監督:小野寺昭洋
製作担当:米田伸夫
製作総指揮:木下直哉
プロデューサー:谷川由希子、椎井友紀子
アソシエイトプロデューサー:座喜味香苗
他
キャスト
渡口淳:伊藤健太郎
渡口義一:小林薫
渡口道子:余貴美子
中本裕治:眞木蔵人
美崎輝:永山絢斗
君原玄:毎熊克哉
中本貴史:坂東龍汰
美崎智花:河合優実
友利洋之:佐久本宝
澤地多恵:和田光沙
近藤次郎:笠松伴助
永原健三:伊武雅刀
沖島達雄:石橋蓮司
他