鑑賞記録(2022.6.10)受賞多数のドキュメンタリーアニメーション!!ヨナス・ポヘール・ラスムセン監督『FLEE フリー』2021@シネ・リーブル神戸

鑑賞記録(2022.6.10)

受賞多数のドキュメンタリー

アニメーション!!

ヨナス・ポヘール・ラスムセン監督

FLEE フリー』2021

@シネ・リーブル神戸

 

『FLEE フリー』2021/89分/デンマーク・ スウェーデン・ ノルウェー・ フランス/アニメーション

20年の時を経て祖国アフガニスタンからの脱出を語る青年アミンの姿をとらえたドキュメンタリー

主人公をはじめ、周辺の人々の安全を守るためにアニメーションで制作され、アカデミー賞で史上初めて国際長編映画賞、長編ドキュメンタリー賞、長編アニメーション賞の3部門ノミネートを果たした。また、アヌシー国際アニメーション映画祭でも最高賞となるクリスタル賞ほか3部門を受賞している。(中略)

監督は自身も迫害から逃れるためにロシアを離れたユダヤ系移民であるヨナス・ポヘール・ラスムセン。(映画.comより)

監督は約4年もの長い時間をかけて断続的にインタビューを敢行した(MOVIE WALKER PRESSより)

 

受賞

サンダンス映画祭(2021年)

ワールド・シネマ・ドキュメンタリー部門 グランプリ

 

アヌシー国際アニメーション映画祭(2021年)

最高賞(クリスタル賞)、オリジナル音楽賞、ガン財団配給賞

 

他、アカデミー賞3部門ノミネートなど

受賞、ノミネート多数。

 

一言あらすじ

アフガニスタンから脱出した青年アミンが20年の時を経て、初めて語る、秘密にしてきた自分と家族の壮絶な話・・・

 

感想

アニメーションでドキュメンタリー??

 

と、観る前はちょっと思っていたが

 

観始めてすぐに、

 

まぎれもないドキュメンタリーであることを

体感する。

 

 

それは、

 

”声”にある。

 

と、私は思った。

 

 

アニメーションに

書かれた台詞を当てるのではなく、

 

実際に話している言葉に

アニメーションを付けている

 

といったところだろうか。

 

 

 

冒頭に、

 

『これは実話である。

登場人物の安全を考慮し、

名前と一部地名を変更している。』

 

とあった。

 

 

なるほどと、

始まってすぐに、唸る私。

 

 

 

本来なら

カメラを回して映像を撮っているところを

 

アニメに差し替えている感じ。

 

 

 

過去の話は、もちろん過去なので

物語的に語られて、

台詞として登場人物たちが話しているが、

 

 

監督が、

インタビューしている現在は、

 

リアルにそこで話されているのを感じた。

 

 

 

アニメーションも

とても入り込みやすく、

 

 

そしてとにかく

日本では馴染みが少ないが

 

壮絶な祖国の脱出劇。

 

 

 

どこで生まれたかというだけで

これほどまでに人生が左右される。

 

 

 

去年、映画館で観た

アフガニスタンからヨーロッパまでの脱出劇を

スマホ3台で撮ったドキュメンタリー

 

『ミッドナイト・トラベラー』

(2019年/ハッサン・ファジリ監督)

 

 

という映画があったが

まさにそれを思い出した。

 

 

 

壮絶な彼らの脱出劇。

 

 

心に抱えた恐怖や悲しみは

消えて無くなることはないだろう。

 

 

 

今でも苦しんでいる人達が

大勢いる。

 

 

 

戦争、政治、腐敗、金、

性的志向、難民、故郷、家族・・・・

 

 

 

あまりに大きく

そして多くの問題があって

 

 

今こうして

何の不自由なしに生活している自分。

 

 

 

胸が苦しくなりつつも、

 

今この時代に

日本に生まれていることに

 

正直、胸をなでおろす思いだ。

 

 

 

しかし、もし

私がアミンのような環境に置かれたら?

 

 

もし日本が、

または訪れた旅先で

 

そのような状況に巻き込まれたら??

 

 

 

何一つ解決できる気がしない・・・

 

 

 

アミンはたまたま脱出できたが、

そうじゃない人も多いだろう。

 

 

 

私のつたない頭と精神とでは

 

ただただ茫然としてしまうが

 

 

世界でこういうことが

実際にあるということだけは

 

心に留めておきたいと思う。

 

 

 

何が出来るかとかなんて

とてもじゃないけど

 

言えない。

 

 

それでも

この映画を観れて

良かったと思う。

 

 

ドキュメンタリーとしても

映画としても。

 

 

(2022年14本目。本年度200本目、映画館85本目)

 

 

スタッフ

監督:ヨナス・ポヘール・ラスムセン

脚本:ヨナス・ポヘール・ラスムセン、アミン・ナワビ

アニメーション監督:ケネス・ラデケア

アートディレクター:ジェス・ニコルズ

編集:ヤヌス・ビレスコフ・ヤンセン

音楽:ウノ・ヘルマーソン

製作:モニカ・ヘルストローム、シャルロット・ドゥ・ラ・グルネリ、シーネ・ビュレ・ソーレンセン

製作総指揮:リズ・アーメッド、ニコライ・コスター=ワルドー、ダニー・ガバイ、ナタリー・ファーリー、ジャナット・ガルギ、ヘイリー・パパス、トマス・ガメルトフト