鑑賞記録(2022.6.4)”SF映画の原点にして頂点” フリッツ・ラング監督『メトロポリス』1926 YouTube

鑑賞記録(2022.6.4)

”SF映画の原点にして頂点”

フリッツ・ラング監督

メトロポリス』1926

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『メトロポリス』1926/145分版/ドイツ/モノクロ・サイレント(視聴はほんのりカラーバージョン)

1926年製作、1927年に公開されたモノクロサイレント映画で、ヴァイマル共和政時代に製作されたドイツ映画である。

製作時から100年後のディストピア未来都市を描いたこの映画は、以降多数のSF作品に多大な影響を与え、世界初のSF映画とされる『月世界旅行』が示した「映画におけるサイエンス・フィクション」の可能性を飛躍的に向上させたSF映画黎明期の傑作とされている。フォレスト・J・アッカーマンは本作をSF映画に必要な要素が全てちりばめられており「SF映画の原点にして頂点」と評価している。また、前年の1925年に製作された『戦艦ポチョムキン』と並んで、当時の資本主義と共産主義の対立を描いた作品でもある。

1924年のクリスマス間近、ラングは初めて見たアメリカの巨大都市ニューヨークの圧倒的な印象に影響を受け帰国し、なんとか映画化したいと相談すると、妻のテア・フォン・ハルボウも熱狂しシナリオを完成させた。ただし、完成したシナリオはラングの構想した物とは若干異なる物だったが(ラングは労働者の勝利による結末を考えていた)、興行的な面などを考え受け入れたという(後年のラングの回想によると、楽観的な結末になったのは当時台頭し始めたナチス・ドイツに妻が傾倒していた影響があったと語っている。ちなみにこの思想的な食い違いにより、後に二人は離婚、さらにラングはアメリカに亡命することとなる)。

(↑ウィキペディアより)

 

原題

Metropolis

 

一言あらすじ

メトロポリスと呼ばれる未来都市では、高度な文明によって平和と繁栄がもたらされているように見えたが、その実態は摩天楼の上層階に住む限られた知識指導者階級と、地下で過酷な労働に耐える労働者階級に二極分化した徹底的な階級社会だった。そんな中、支配者の息子フレーダー(グスタフ・フレーリッヒ)と労働者階級の娘マリア(ブリギッテ・ヘルム)が出会い・・・

 

感想

冒頭

『格言:頭脳と手の間の媒介者は

心でなければならない』

 

から始まる物語。

 

 

この格言を基に、

壮大な物語が始まる。

 

 

 

100年近く前に

これほどの映画を作っていたとは・・・

 

 

壮大さでいえば、

 

D・W・グリフィスの

『イントレランス』(1916)も

相当なものだが

 

 

本作もまた違った壮大さがある。

 

 

 

巨大なセット、衣装、

膨大な数のエキストラ、

創造性あふれる演出、

お話のストーリー、、、、

 

 

本当に見事です。

 

 

『SF映画の原点にして頂点』と

言われるのが分かりますね。

 

 

 

 

しかし・・・

 

お金掛かってそう~~~!!www

 

 

ミニチュアだったりするところもあるけれど、

それでも十分作り込まれているし、

 

 

本当にすごい!!!

 

 

 

サイレントの字幕もちょっと面白く、

 

エレベーターで下に行く時の説明は

下に字幕がおり、

 

 

地上高く上る時は

上に字幕が上がっていく・・・

 

 

そんな遊び心もオシャレ!!

(他でもこのようなのを観たことある気はするが・・・)

 

 

 

 

そして、

サイレントだから

 

動きや表情で芝居を見せることから

中々すごいお芝居なんですが、

 

 

マリア演じる

ブリギッテ・ヘルムがお見事!!

 

 

ネタばれになるので

詳しく言いませんが、

 

見事に演じ分けています!!!

 

 

 

サイレント作品は

本当に芸術的な演出が多くあり、

 

独特な発想に

舌を巻きます。

 

 

すべてが壮大!!!

 

 

 

 

しかし、

 

1%の富裕層と

99%の労働者階級という

 

資本主義的ピラミッドは

 

基本的に変わっていない現代社会。

 

 

 

本作ほどの露骨な

実感はしてはいなくても

 

 

事実上は、

おそらくこうなっている・・・

 

 

 

ましてや

この格差は年々広がっていると思うと

 

 

恐ろしい・・・・

 

 

 

本作では、

 

紆余曲折の後、

一応希望的な方向へと向かいますが

 

それは始まりにすぎないし、

 

その先は誰にもわかりません・・・

 

 

 

こう考えると、

 

まさに社会を反映した作品

でもあると捉えられます。

 

 

 

本当に、

昔の大作は

学ぶべきところが多いですね。

 

 

とても面白いです。

 

 

 

(ちなみに、淀川長治さんの本作のチラッと解説もあったので見ましたが、本作の人造人間(アンドロイド)を真似て作ったのがアメリカの『スター・ウォーズ』(のC-3PO)だと言うてます。(C-3POとまでハッキリ言ってないが)本作では芸術的に素晴らしく美しい人造人間なのに、アメリカ行ったら全然ダメ!!みたいにブった切ってました!!www。まぁ『スター・ウォーズ』はまたそれの良さがありますが!wwフリッツ・ラング監督に直々に会った時、本作のことを褒めたら、本人とても喜んでいたとのこと。さすが日本映画界の永遠の重鎮です!!ww)

 

(2022年6月6本目。本年度192本目)

 

スタッフ

監督:フリッツ・ラング

脚本・原作:テア・フォン・ハルボウ

撮影:カール・フロイント、ギュンター・リター

特殊撮影:オイゲン・シュフタン

美術:オットー・フンテ、エリッヒ・ケッテルフート、カール・フォルブレヒト

編集:ジュリアン・ジョンソン、エドガー・アダムス

 

キャスト

支配的権力者フレーダーセン:アルフレート・アーベル

フレーダー(フレーダーセンの御曹司):グスタフ・フレーリッヒ

発明家ロトワング:ルドルフ・クライン=ロッゲ

マリア:ブリギッテ・ヘルム