鑑賞記録(2022.1.20)
小津安二郎監督 戦後第一作目
『長屋紳士録』
1947 U-NEXT
『長屋紳士録』1947/71分(U-NEXT版)/日本/モノクロ・スタンダード
シンガポールから引き揚げてきた、小津安二郎監督の戦後第一作目。
脚本は、池田忠雄と小津安二郎。
池田忠雄
日本の脚本家。小津安二郎、島津保次郎、成瀬巳喜男、斎藤寅次郎、吉村公三郎など数多くの脚本を提供。
小津安二郎監督、池田忠雄脚本の作品(共同脚本含む)
『突貫小僧』1929年、『朗らかに歩め』1930年、『東京の女』1933年、『非常線の女』1933年、『出来ごころ』1933年、『母を恋はずや』1934年、『浮草物語』1934年、『一人息子』1936年、『戸田家の兄妹』1941年、『父ありき』1942年、『長屋紳士録』1947年 などがある。
一言あらすじ
東京の焼け跡、わずかに焼け残った長屋街にひとりで暮らすおたね(飯田喋子)と、親とはぐれた坊や(青木放屁)のお話。向かいに住む田代(笠智衆)が、坊やを連れてきてしまい、住人達は大迷惑。近所同士で押し付け合うが、結局おたねが引き取ることになり・・・
感想
戦後すぐで、生活が大変な人々。
しかし、
そこに悲壮感はなく
ささやかながら、日々を暮らす
長屋街の人達の様子。
ご近所付き合いも盛んで、
身内のように話をしている。
(昔ってこんなイメージですね)
余裕があるわけじゃないから
余計にみんな
子供を引き取るのを断る
っていうのは、
きっとそうだろうと思う。
結構みんな露骨に嫌がる!w
ので、その辺容赦ないし、
綺麗事では済まされない感じと
その反面コミカルさが出ている。
おたね演じる飯田蝶子さんが
何度も坊や(カメラ)に向かって、
めっ!しっ!こらっ!あっちいけ!
みたいな顔をしまくる。笑
そりゃ坊や(青木放屁)
結構キツいよな~~笑
そうは言いつつ、
なんだかんだ付いてくる坊やなので
結局、おたねも
ズルズルと面倒を見る。
最初は相当嫌がっていたおたねだが
段々と情が沸いてくる。
おたねと坊やの関係が
絶妙な距離感で描かれる。
お話には小ネタが結構あって
個人的に
笑えるシーンがいくつもあった。
途中、
笠智衆さん演じる田代が
住民たちの集まりで披露する
『のぞきからくりの口上』は
お見事!
歌、お上手ですね。
人生、
自分が思う様に行かないことを
きっかけに
意外な、そして新たな
変化をもたらし
また新しい自分が生まれる。
ぜひご覧になってみてください。
(2022年動画鑑賞24本目)
スタッフ
監督:小津安二郎
脚本:池田忠雄、小津安二郎
音楽:斎藤一郎 撮影:厚田雄春 録音:妹尾芳三郎 照明:磯野春雄 美術:浜田辰雄 編集:杉原よ志 現像:林龍次 焼付:小林四郎 装置:台松太郎 装飾:橋本庄太郎、小巻基胤 衣裳:斎藤耐三 結髪:増淵いよの 擬音:斎藤六三郎 経理担当:土屋健樹 進行担当:渡邊大 製作:久保光三 配給:松竹
監督部:本郷武雄 塚本粧吉 山本浩三 田代幸蔵 武田義晴
撮影部:中村喜代治 川又昂 井上晴三 老川元薫
録音部:高懸義人 日向国雄 金子盈 石原一雄
照明部:須藤清治 美術部:梅田千代夫 装置部:山本金太郎 石原仁六 記録部:岡田敬造
キャスト
おたね:飯田蝶子
幸平(坊や):青木放屁(青木富廣)
父親:小沢栄太郎
きく女:吉川満子
為吉:河村黎吉
田代:笠智衆
喜八:坂本武
とめ:高松栄子
しげ子:長船フジヨ
平ちゃん:河野祐一
おかみさん:谷よしの
写真師:殿山泰司
柏屋:西村青児 ほか