鑑賞記録(2022.6.8)密着17年!!中村裕監督『瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと』2022@シネ・リーブル神戸

鑑賞記録(2022.6.8)

密着17年!!

中村裕監督

瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと

2022@シネ・リーブル神戸

 

 

『瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと』2022/96分/日本/カラー

2021年11月に99歳で没した作家で尼僧の瀬戸内寂聴のドキュメンタリー。大正・昭和・平成・令和と4つの時代を生きた瀬戸内寂聴は、駆け落ち、不倫、三角関係など自らの体験を私小説のかたちで発表し、世間からバッシングを受けながらも、作家としての不動の地位を確立した。51歳で出家してからは僧侶と作家の2つの顔を持ち、2020年1月まで毎月一回行っていた法話には全国から人が訪れるなど晩年まで大きな人気を集めた。女性であるということを忘れずに人生を楽しむ彼女の生きざまを通して、不寛容な空気が充満する現代社会において人間の生命力とは何か、いかに生き、老いていけばよいかというヒントを探る。監督は、17年間にわたり瀬戸内寂聴に密着して撮影を続け、2015年に放送されたNHKスペシャル「いのち 瀬戸内寂聴 密着500日」のディレクターも務めた中村裕(映画.comより)

 

一言あらすじ

本作の監督である”裕さん”と、国民的作家・瀬戸内寂聴の17年に渡る、ドキュメンタリー。

 

感想

密着17年。

 

 

この年月と

身内のような一歩踏み込んだ

 

監督”裕さん”と

瀬戸内寂聴先生としての

 

ふたりの特別な関係性が

この映画を形作る。

 

 

 

お正月も何度も一緒に過ごす間柄。

 

 

飾らない、普段の何気ないおしゃべり。

 

 

 

しかし、

瀬戸内寂聴という人の

 

圧倒的なまでに

魅力ある個性的なキャラクターや

 

一筋縄ではいかない

波乱万丈の人生を背景に

 

 

出てくる言葉は

人の心を捉えてやまない。

 

 

 

 

とにかく

観ていて飽きない彼女。

 

 

 

動物や子どものように

愛嬌ある屈託ない笑顔を放ちつつ、

 

 

発せられる言葉は

苦難を生きる人々にも

 

時にハッキリと、

 

しかしその言葉には

 

愛が溢れ、

暗闇に光を照らす

 

 

 

そんな言葉が

結果的に多くの人を

導いている。

 

 

 

結果的にというのは

彼女が

「こうしてやろう、してあげよう」

なんていうことは

 

良い意味で

ないように思うからだ。

 

 

 

おそらくそれらの言葉はすべて

 

実際に食べたことのない

”誰かが絵に描いた餅”

の話ではなく、

 

 

”私が食べてきた餅”の

お話なんだろう。

(※ことわざとは別)

 

 

 

 

倫理観や社会性、

理論や道徳で物事を語ることは

ひとつもない気がする。

 

 

 

ちょっとくらい

面白おかしく言うことも

あることだろうが

 

 

感受性豊かで

好奇心旺盛で

楽しいことが好きなんだろう

 

彼女からすれば

それもハハッと笑える

小気味いいお話で。

 

 

 

”小説なんか嘘。嘘ばっかり書いてるのよ。”

 

みたいなことを

あっけらかんと言っちゃう。

 

 

でもその通り。

 

 

”虚構”

のことを意味していると思うが、

 

分かりやすく、

かしこまらずに言うと

 

”嘘”だとも言える。

 

 

潔い。

 

 

そして

 

”生きることは愛すること”

 

人は恋愛によって一番成長する。

 

 

そう彼女は言う。

 

 

若い時は特に、

私もそう思ってましたね。www

 

 

 

今は

ひとり平穏に暮らしているので、

あまり波風立てるとしんどいし、

 

結構それなりに満足しているので

パートナーが絶対いないと!!

 

なんて思うことも

今のところありませんが。ww

 

 

 

映画内で

独り身の監督を

ずっと心配されていたが、

 

私もパートナーシップにおける立場は

監督と同じなので、

 

監督のちょっとした返答(言い分)に

めっちゃ同感だったが。ww

 

 

 

まさかの雷に打たれたら

その時はその時でしょう。ww

 

 

(彼女は、

「恋は雷に打たれる様なものだから避けられない」

というようなことを言っている)

 

 

 

とにかく

瀬戸内寂聴さんという

魅力ある方に、

 

長年時間を共有され

特別な関係を築いた

 

中村監督が回したカメラだからこそ

誕生した

 

素晴らしいドキュメンタリー映画。

 

 

 

飾らない本音の言葉と

素敵なお顔を観れ、

 

とっても笑い、癒された

あっという間の約1時間半でした。

 

 

(2022年6月11本目。本年度197本目、映画館82本目)

 

スタッフ

監督:中村裕

プロデューサー:松浦敬、阿部毅、成瀬保則、伊豆田知子

音楽プロデュース:菊地成孔

演奏:菊地成孔、林正樹

語り:中村裕

朗読:奥貫薫

 

キャスト

瀬戸内寂聴