鑑賞記録(2022.2.9)
人間の高潔な精神と苦悩を描く!
黒澤明監督
『静かなる決闘』
1949 U-NEXT
『静かなる決闘』1949/94分/日本/モノクロ・スタンダード
原作は菊田一夫の戯曲『堕胎医』
本作は、東宝を脱退した黒澤明監督が、初めて他社(大映)で製作したもの。
一言あらすじ
戦時中、軍医として働いていた青年医師・恭二(三船敏郎)は、患者の手術中に、指を怪我してしまう。その患者が梅毒だったことから、恭二も感染。戦争が終わり、帰りを待っていた婚約者・美佐緒(三條美紀)にも伝えることが出来ず、結婚する気はないとだけ告げるが・・・
感想
すごい高潔な精神。
しかし、そうは言っても
人間であるから
苦悩する青年。
身を削りながら人を助け
自分の感情や欲望を
押さえつけ蓋をして
歯を食いしばりながら生きる。
そんな姿は誰にも見せず・・・
唯一の救い(慰め?)は、
一人でも二人でも
真実を知ってくれている人が
いるということ。
それだけでも、
(観客としても)救われる・・・
また感染した病気が
梅毒ってところが
なんとも誤解を招きやすい・・・
病と孤独に闘い、
自らの望みは手放し、
それでもなんとか前を向き
懸命に生きていく。
人間の苦悩や葛藤
その中でも前を向く
力強さ。
さすが巨匠、
テーマがガツンと来ます。
心にズシリと来る作品です。
(2022年2月10本目。本年度47本目)
スタッフ
監督:黒澤明
脚本:黒澤明、谷口千吉
原作:菊田一夫『堕胎医』
撮影:相坂操一 音楽:伊福部昭 美術:今井高一 衣裳:藤木しげ 編集:辻井正則 音響効果:花岡勝次郎
企画:本木荘二郎、市川久夫
キャスト
藤崎恭二:三船敏郎(東宝)
松本美佐緒:三條美紀
藤崎孝之輔:志村喬(東宝)
中田進:植村謙二郎
野坂巡査:山口勇
峯岸るい:千石規子(東宝)
中田多樹子:中北千枝子(東宝)
骨董屋:宮島健一
老兵:佐々木正時
巡査:泉静治
アッペの父:伊達正
係長:宮島城之
衛生係長:宮崎準之助
ギブスの青年:飛田喜佐夫
労働者:高見貫
アッペの母:須藤恒子
みいちゃん:若原初子
看護婦今井:町田博子
見習看護婦:松村若代
事務員:池上湧子
アッペの少年:松本茂
少年:工藤洋輔