鑑賞記録(2022.7.12)究極のドキュメンタリー!ピーター・モーティマー&ニック・ローゼン監督『アルピニスト』2021@シネ・リーブル神戸

鑑賞記録(2022.7.12)

究極のドキュメンタリー!

ピーター・モーティマー&ニック・ローゼン監督

アルピニスト』2021

シネ・リーブル神戸

 

『アルピニスト』2021/93分/アメリカ/カラー

本作の主人公は、次々と記録的な登頂を成功させてクライマーの間では有名だが、一般的には無名の天才クライマー、マーク・アンドレ・ルクレール。カナダ生まれの23歳の青年。

現在、登山の世界ではSNSで登頂を世界に向けて発信することが主流になっており、スポンサーと契約を結んで派手な宣伝をしてクライミングに挑むアルピニストも多い。しかし、マークは自分を売り込むことには興味がなく、自分の楽しみのためだけに登山をする

20年にわたってアウトドアのドキュメンタリー映画を共同で監督してきたピーター・モーティマーとニック・ローゼン。ピーター・モーティマーは、これまで数多くの登山にまつわるドキュメンタリー映画を製作。これまで数々の賞を受賞してきたアウトドア・ドキュメンタリーの第一人者。自身も登山経験が豊富でクライミングの魅力や危険性を熟知し、クライミングシーンの映像の素晴らしさは他の追随を許さない。本作でも「クライマーに可能な限り近づき、その心の内まで映像化する」という姿勢を貫いて、マークの驚異的なクライミングを臨場感たっぷりにカメラに捉えている。

マークのように命綱をつけず、たった一人で山に登るスタイルは「フリーソロ」と呼ばれているが、それは最も登山の醍醐味を味わえる手法。しかし、フリーソロを安全に行うためには卓越した技術とセンスが必要だ。本作では、世界中のクライマーを驚かせたパタゴニアのトーレ・エガー登頂の映像をはじめ、卓越した技術を駆使して登頂に挑むマークの究極のフリーソロを間近で目撃することができる。

「現代は自分の人生をSNSで他人の目に晒す奇妙な時代だ。ネット上の写真や発言をフェイクかどうか判断するのが難しい。そんな時代の雰囲気にとらわれることなく、自分が選んだ人生を純粋に生きようとしたマークという人物との出会いは、新鮮なそよ風を吸い込んだような気分にしてくれたよ」(モーティマー監督)

(↑公式サイトより一部引用抜粋)

 

原題

The Alpinist

※アルピニスト=アルプス登山者の意。登山家。特に、高度な技術を要する登山を行う人。

(デジタル大辞泉より)

 

一言あらすじ

若き無名の天才アルピニスト、マーク・アンドレ・ルクレール。彼の天才的なクライミング、過去、ライフスタイルなどを追った究極のドキュメンタリー。

 

感想

観終わって、

呆然とした。

 

 

色んな意味で

信じられなかった・・・

 

 

 

冒頭からそびえ立つ峰々。

 

息を呑む美しさ。

 

 

 

これはとても面白くなりそうな予感

と感じながら

本編を観ていく。

 

 

 

まず、何と言っても

 

本作の主人公・マークの

人柄と類い稀なセンス。

 

 

 

人間的にも、とても魅力ある人物で

 

観ていて飽きない。

 

 

彼は登ることそれ自体が

 

彼の生き様であり、人生なのだ。

 

 

 

そして、いつだって自然体だ。

 

 

 

一般的な社会に溶け込むのが難しかった彼は

SNSなどはやらない。

 

 

ただ、純粋に

登ることそれ自体を楽しんでいる。

 

 

 

誰かに登頂の成功を示すためでなく、

ただ冒険を楽しむために。

 

 

 

彼を観ていると

人生観を見つめ直したくなる。

 

 

 

SNSなどの情報に塗れた

この現代社会で

 

 

彼の生き方に共感する人も

多いのではないだろうか?

 

 

 

 

彼のように

危険なクライミングなんかは

とてもじゃないけど出来ないが、

 

 

 

どのように生きていくかは

選べるからだ。

 

 

 

彼のクライミング自体にも

 

私はマスクの下で

開いた口が何度も塞がらなかったが、

 

 

 

彼が山や岩、

自然と調和しているところを

 

観た気がする。

 

 

 

きっと

山に選ばれた人なんだ・・・

と感じていた。

 

 

 

 

しかし・・・

 

 

 

 

彼も言っていたが

 

 

自分をコントロールすることは出来ても

自然をコントロールすることは出来ない。

 

 

 

これは、自然の摂理だ。

 

 

 

人間にはどうしようもなく

大きく、偉大で、残酷でもある。

 

 

 

 

ドキュメンタリーだから、

 

フィクションみたいに

 

ラストを変えることは出来ない。

 

 

 

起こったことを

そのまま映す他ない。

 

 

 

 

本作の公開にあたり、

色々と苦渋の決断もあっただろうが、

 

 

 

私はこの映画に、

 

マークという1人のクライマーに

 

出会えたことに

 

素晴らしい時間を得られたことに

 

感謝する。

 

 

 

 

観終わった直後なので

何とも言えない気分だが、

 

 

このほんの1時間半ほどで

 

私も彼に魅了された1人だ。

 

 

 

素晴らしい映像と

臨場感あふれる撮影、

編集も好きな感じだったし、

 

とても胸に刻まれる映画だった。

 

 

 

(2022年7月19本目。本年度245本目、映画館115本目)

 

 

 

スタッフ

監督:ピーター・モーティマー、ニック・ローゼン

製作:ベン・ブライアン、マイク・ネグリ、クラーク・フィアンズ

製作総指揮:ピーター・モーティマー、ジョシュ・ローウェル、ニック・ローゼン、スコット・ブラッドフィールド、フィリップ・マンダーラ

撮影:ジョナサン・グリフィス、オースティン・シアダク、ブレット・ローウェル

編集:ジョシュア・スティール・マイナー、ピーター・モーティマー、ジョシュ・ローウェル、フェルナンド・ビレナ

制作:レッドブルメディアハウス

配給:パルコ、ユニバーサル映画

宣伝:ELECTRO89

 

キャスト

マーク・アンドレ・ルクレール

ブレット・ハリントン

アレックス・オノルド

ライン・ホルト・メスナー

バリー・ブランチャード