鑑賞記録(2022.10.29)衣笠貞之助監督『十字路』1928+生演奏付き上映 @シネ・ヌーヴォ

鑑賞記録(2022.10.29)

衣笠貞之助監督

十字路』1928

 

+生演奏付き上映

ピアノ:鳥飼りょう

 

シネ・ヌーヴォ

 

英語字幕のみの上映につき、

始まる前に資料をお配り頂きました!

 

『十字路』1928/87分(18fps)/日本/デジタル/白黒/サイレント/英語字幕版 

※原版は英国ナショナル・フィルムアーカイブより里帰りしたフィルムに付き、[英語版]となります。

柱や梁が曲がっていたり、ふすまが渦巻き模様だったり。ドイツ表現派風のセットで展開する立ち回りのない時代劇。衣笠はこの作品をもって渡欧。モスクワでエイゼンシュテインと歓談し、ベルリンでラングの撮影現場を見学。さらにドイツの俳優たちと自主映画を撮る準備までした。この時、輸出したフィルムの一本が英国で発見され、里帰りが実現した。

(↑シネ・ヌーヴォ公式サイト『時代劇が前衛だった/日本映画の青春期』より)

従来の時代劇映画とは異なる剣戟場面のない作品

本作はフランスやドイツなどでも公開されており、欧米の映画館で公開され注目を集めた最初の日本映画となった。

1926年(大正15年)に衣笠貞之助は、新感覚派映画聯盟製作で前衛映画『狂つた一頁』を発表したあと、松竹キネマと月2本の時代劇映画を製作する契約を結び、同作のスタッフを率いて衣笠映画聯盟を発足した。しかし、同連盟は松竹との大ざっぱな契約により赤字続きとなり、製作費はつねに予算額を超え、松竹への借金が嵩んでいくばかりだった。

1928年(昭和3年)3月7日に松竹下加茂撮影所で撮影が開始し、すべてを夜間撮影で製作した。衣笠映画聯盟は松竹への借金が増えるばかりだったため、製作費を抑えようと撮影所にあった古材を使い、従来の時代劇とかけ離れたセットを組み立てた。また、撮影所内の高さが低く、セット撮影でカメラを引くと天井が写り込んでしまうため、遠近法を誇張したセットを作り、街並みが向こうへ行くほど高くなる傾斜を作った。この2つの制約上の工夫により、表現主義的にゆがんだセットの遠近法が生まれた。また、ロープにカメラを入れた箱をくくりつけて俯瞰の移動撮影を行ったり、波型の移動台を作ったり、カットの間に黒コマを挿入して特殊な視覚効果を狙うなど、さまざまな実験的な試みが行われた。

国内では本作のフィルムは消失したとされていたが、ロンドンのナショナル・フィルム・アーカイブに英語版が保存されていたことが分かり、1959年(昭和34年)に衣笠は第12回カンヌ国際映画祭に出席した帰りにロンドンへ向かい、同行した川喜多かしことともに本作と再会した。このフィルムは先方が希望した溝口健二監督の『山椒大夫』(1954年)と交換する形で日本に返還され、衣笠自らが音楽を加えたサウンド版(47分尺)が作られた。

現在、本作の上映用プリントは東京国立近代美術館フィルムセンターが、以下の4ヴァージョンを所蔵している。

① 87分、16mmフィルム、2343.37フィート、714.25メートル

② 87分、35mmフィルム、5857.11フィート、1,785.24メートル

③ 88分、35mmフィルム、5967.12フィート、1,818.77メートル

④ 65分、16mmフィルム、1757.09フィート、535.56メートル

(↑ウィキペディアより)

一言あらすじ

貧しく暮らす姉と弟。弟の淡く儚い恋を発端に騒動を起こし、それにより姉が思わぬ災難に・・・姉弟の行く末は・・・

感想

狂った一頁』(1926)

に引き続き、

 

鳥飼りょうさんによる

生演奏付き上映の2本目!!

 

 

この度も

素晴らしい演奏をしてくださった

鳥飼さん!!

 

 

先程とはまた全然違って、

 

時代劇ということで??

和テイストな音が入りつつ

モダンな演奏!!

 

 

クライマックスなんか

最高に痺れました!!!

 

 

いつも素晴らしい演奏

ありがとうございます!!

 

 

本作は

以前にも上映があったということで

 

劇場鑑賞されたことがある方も

いらっしゃるかと思いますが、

 

私は初鑑賞。

 

 

『狂った一頁』を

観た直後ということもあり、

 

同じ様な撮り方を

所々を感じながらも

 

全く違った作品となっています。

(上映後、鳥飼さんも仰っていましたが)

 

 

『狂った〜』での

実験があったからこそ

 

出来上がった作品

なんでしょうね。

 

 

大体のあらすじを

先に読ませてもらったこと、

 

英語とはいえ

字幕があったので、

 

ある程度は、

言っていることが

わかったので

 

 

『狂った〜』より

わかりやすく

 

???ということは

あまりなかったですかね。

 

 

しかし、

 

以前に観た

河内山宗俊』(1936)とかも

そうでしたが

(↑こちらが後だけど)

 

 

まぁ弟が大抵

何かやらかす!!爆

 

 

お姉さんが不憫で仕方ない・・・

 

 

結果、姉が・・・!!!

 

 

何ともお気の毒というか・・・

(現実だったらお気の毒じゃ済まないが)

 

 

 

日本的な美術や小道具も

結構観ていて面白く、

 

外国だったら

より一層びっくりでしょうね。

 

 

『狂った〜』に引き続き

面白い映像多数で楽しめました。

 

 

特に古い映画に

時々見かけますが

(邦画洋画問わず)

 

撮影所が相当寒いようで、

(今みたいな暖房器具はないですしね)

 

 

息だけでなく、

身体からも

目に見えて湯気が!!

 

 

なんかフィルムを通して見ると

神秘的というか

 

それすら

意味を成すようにも見えて・・・

 

面白かったです!

 

 

しかし、

やっぱり演奏あった方が

 

観やすいし、楽しめますね!!

 

 

しかも生演奏は

本当に贅沢です!

 

ありがとうございました!

 

(2022年10月39本目。本年度392本目、映画館216本目)

 

 

スタッフ

監督・脚本 : 衣笠貞之助

撮影 : 杉山公平

照明 : 内田昌夫

美術 : 友成用三

助監督:稲垣浩

衣笠映画聯盟・松竹キネマ

提供:国立映画アーカイブ

 

キャスト

姉:千早晶子

弟:阪東寿之助

お梅:小川雪子

十手を持つ男:相馬一平

女を売る婆:中川芳江

二階を貸す爺:関操

間違へられる女:二條照子

喧嘩を売る男:小沢茗一郎

他