鑑賞記録(2022.10.22)神戸発掘映画祭2022 島耕二監督『今日われ恋愛す 第一部 愛慾篇/第二部 鬪爭篇』1949@神戸映画資料館

鑑賞記録(2022.10.22)

神戸発掘映画祭2022

 

島耕二監督

今日われ恋愛す

第一部 愛慾篇/第二部 鬪爭篇

1949

 

+『今日われ恋愛す』の復元作業

 

解説:

野原あかね

(IMAGICAエンタテインメントメディアサービス)

 

山口博哉

(映画史家)

 

@神戸映画資料館

 

 

参加無料だった

『今日われ恋愛す』の復元作業の

お話を聞く際に、

 

 

山口博哉(映画史家)さんが

作ってくださった

素晴らしい資料を頂きました!!

 

『今日われ恋愛す 第一部 愛慾篇/第二部 鬪爭篇』1949/111分(不完全)/35mm/モノクロ/スタンダード

本作は、田村泰次郎原作の『肉体の門』(マキノ正博、1948年)のヒットに続き、当初は田村・マキノ・轟のトリオで企画されたが、マキノの体調悪化等で、監督を島耕二に変更して映画化された。現存しないと思われていたが、轟夕起子研究で知られる山口博哉氏が2017年に発見し、国立映画アーカイブ「発掘された映画たち2022」で今年公開された。(神戸映画資料館 神戸映像アーカイブ実行委員会 神戸発掘映画祭2022公式サイト”プログラム”より)

 

この映画の特色(執筆=山口博哉)

マキノ正博がスランプ期に関わった作品で、彼が創立した独立プロCAC映画である。これまで再上映やビデオ化、DVD化、テレビ放映などが皆無に近い、日本映画史の珍しい一本。

様々な資料には、『今日われ恋愛す』は『CACと劇団民芸の提携第1作』とあるが、オープニング・タイトルにはCACのクレジットしか出てこない。

(※CAC=シネマ・アーチスト・コーポレーション。MSC(ミュージック・スクリーン・クラブ)の製作部門が独立したもの。

「キネマ旬報」などに掲載されているスタッフ&キャストと、完成作品のそれとは、かなり異なっている。またストーリーも、完成作品とパンフレット記載のものとでは、かなり異なっている。

東京、奈良、大阪にまたがる物語である。戦後の大阪の町並や、近鉄電車、奈良の若草山なども画面に登場する。

(↑以上、全て「復元上映記念」『今日われ恋愛す』特製資料 山口博哉さん作成プリントより一部抜粋。上記写真の一部より)

 

冒頭一言あらすじ

雑誌社の社長・野々宮(森雅之)と、編集長・牛田(宇野重吉)は大学の同窓で、復員後は刹那的な日々を送っていたが、二人はある日、キャバレーの歌手・サリー濱田(轟夕起子)に恋をして・・・

 

感想

まず、

本作を観るにあたり、

 

復元作業が

いかに大変なものだったかを

 

鑑賞後の復元作業のお話で

 

IMAGICA

エンタテインメントメディアサービスの

野原あかねさんと、

 

フィルムを入手された

映画史家の

山口博哉さんから伺い、

 

 

観られることが

もはや奇跡に近い本作!!

 

 

状態がかなり厳しいフィルム

だったようで

 

 

それは本作を観れば

どうしたってわかるほどだが

 

よく一度も止まらずに

再生できたなと思うくらいww

 

 

 

映像はどうしても

傷ついて消えてしまっていたり、

 

結晶化したりと

一部わからないところもあるが、

 

 

それでも音声は

比較的よく聞き取れたし、

 

 

映像も綺麗なところも

結構あったので

 

観られたことそれ自体に

感謝ですね。

 

 

多大なご尽力

有難うございました!!

 

 

 

轟夕起子さんは

黒澤明監督処女作である

 

姿三四郎』(1943)

くらいでしか

まだ観ていませんが

 

 

お顔の感じが

原節子さんに

よく似ておられますね。

 

 

お美しい!

 

 

そして宝塚歌劇出身とのことで

歌と踊りも素敵でした。

 

 

森雅之さん演じる若社長

野々宮の最初の登場は、

 

もはや現代では

セクハラ、パワハラと言われ

 

下手したらストーカー紛いの

犯罪レベルの行動ですがww

 

 

ゲスい色男を演じさせたら

右に出るものはいない!?ww

 

かもしれません・・・ww

 

 

 

森雅之さんは

高峰秀子さんとの共演作の

 

成瀬巳喜男監督の

『浮雲』(1955)や

『女が階段を上る時』(1960)

などの

印象がとても強いので

 

またか〜〜!!!

 

と、思いましたが

 

 

轟夕起子さん演じる

サリー濱田との関係から

行いを正すようになり・・・

 

 

 

お話もただの恋愛話では

終わりません。

 

 

サスペンス的な要素も

後半入ってきて・・・!

 

 

 

山口博哉さん作成プリントにも

書かれていましたが、

 

 

当時の大阪の町並みや

近鉄、奈良の鹿など

 

貴重な情景も

ばっちり映っており、

 

 

当時はこんな風だったのかと

それらも面白かったです。

 

 

このフィルムは現段階で

非常に厳しい状態なので

いつまで持つかわからないそうで・・・

 

 

そんな貴重な機会だったとは知らずに、

観る事ができて良かったです!

 

 

野原さんの復元作業のお話や

 

山口さんの色々なお話も

(衝撃事実の告白もあって!w)

 

とても面白く

 

参加出来てよかったです!!

 

 

ありがとうございました!

 

 

(2022年10月29本目。本年度382本目、映画館207本目)

 

 

 

スタッフ

監督:島耕二

原作:田村泰次郎

製作・企劃・脚本:小川記正 「今日われ恋愛す」(新大阪新聞連載)

撮影:渡辺公夫

美術:北辰雄

録音:長岡憲治

照明:島百味

演出補佐:中川亘、村田武雄

製作主任:森本朴

音響効果:三縄一郎

編集:坂東良治

スチール:荒木吾一

経理担当:丸輝雄

現像:東宝現像所

音楽:齋藤一郎

演奏:東宝交響楽團

主題歌:「今日われ恋愛す」(作詞:佐伯孝夫、作曲:清水保雄、唄:竹山逸郎、野崎整子)、

「恋の雪をんな」(作詞:小川吉衛、作曲:清水保雄、唄:轟夕起子)

ビクターレコード(Novー40197)

(オープニング・クレジットより)

(↑※上記、全て山口博哉さん作成資料より。旧漢字表記出来なかった箇所あり。)

製作:C.A.C.

作品提供:国立映画アーカイブ

 

キャスト

サリー濱田:轟夕起子

野々宮正:森雅之

牛田周二:宇野重吉

明石くみ子:野上千鶴子

紺野千代:月丘千秋

園珠江:利根はる江

江口:石黑達也

志村:藤原釜足

瀬木:村上冬樹

田岡:加藤嘉

大沼:齋藤紫香

部長刑事:佐藤純一

民衆藝術劇場総出演

特別出演:ニュー・パシフィック・オーケストラ、サモア・セヴンス・グループ

【第二部のみ】

駒田五十六:清水將夫

警察署長:林寛

米山刑事:多々良淳

千代の母:北林谷栄

千代の父:瀧沢修

(オープニング・クレジットより)

(↑※上記、全て山口博哉さん作成資料より。旧漢字表記出来なかった箇所あり。)