鑑賞記録(2022.11.3)
牧野省三プログラム
3本立て
『豪傑児雷也』1921
『逆流』1924
『雄呂血』1925
@シネ・ヌーヴォ
『豪傑児雷也』1921/19分(20fps)/モノクロ/デジタル/活弁入り
児雷也がパッと姿を消したり、ドロンと現れたり、また消えたと思ったら、巨大なガマに変身したり。「目玉の松ちゃん」を有名にしたメリエス的なトリック撮影が存分に楽しめる牧野省三・尾上松之助コンビの末期の作品。すでに大家となった松之助の演技はいささか様式的だが、この役者本来の身の軽さを生かしたリアルなアクションがマキノ映画の源流だ。(シネ・ヌーヴォ公式サイト「時代劇が前衛だった/日本映画の青春期」より)
日本映画の父・牧野省三に見出され、旅芝居の役者から映画界に入り、生涯に約1000本の作品に出演したと言われる、日本で最初の映画スター・尾上松之助の代表作の一つ。歌舞伎はもちろん、講談本や新聞小説にも題材を取り、ありとあらゆる英雄豪傑を演じて人気を博した。特に、トリック撮影を駆使した忍術モノは大人気で、実際にそれを真似て木から飛び降りるなど、怪我をする子供が後を絶たなかった。着ぐるみを登場させ、逆回転や二重露光を多用するなど、VFX全盛期の今から見ればアナログな演出方法だが、当時の製作者の熱意と創意工夫を感じられて、胸が熱くなる。忍術を描く映画は、いつの時代も人々の心を掴んでいたことを証明してくれる1本。(第8回京都ヒストリカ国際映画祭公式サイトより)
あらすじ
児雷也こと尾形周馬は、戦乱の世に幼くして取り残されたが、城主尾形左衛門尉弘澄に救われ育てられた。その後、弘澄が二人の武将の讒言による策略で殺され、周馬は父の仇を討つべく諸国放浪の旅に出る。のち、仙素道人からガマの妖術を授けられた周馬は、児雷也として様々な危難を乗り越え、恋人綱手姫の助けも得て、宿敵・大蛇丸との対決を迎えるのだが…。(第8回京都ヒストリカ国際映画祭公式サイトより)
感想
尾上松之助さんの
歌舞伎調の立ち回りが
そのまま映像になっているので
その点なんとも独特だが、
姿が消えたり現れたりは、
私も観ていて、
メリエス!!
と、思いながら観ていた。ww
妖術とすると
そのトリックも良いですね。w
ガマ蛙、ナメクジ、大蛇??
の三つ巴!?のシーンや、
その後のすったもんだも
なんとも可笑しい。ww
スタッフ
監督:牧野省三
提供:マツダ映画社
製作:日活大将軍撮影所
キャスト
尾上松之助、市川壽美之丞、片岡長正、大谷鬼若、片岡松燕
他
『逆流』1924/発見部分28分(16fps)/モノクロ/デジタル/活弁入り
尾上松之助と決別し、日活を飛び出した牧野省三は、歌舞伎の型を脱したリアルな剣劇、勧善懲悪の旧劇ではない反逆精神が息づく新しい時代劇を創り出す。その推進力となったのが寿々喜多呂九平ら若い脚本家、阪東妻三郎ら若い俳優たちだ。阪妻が落魄していく侍を演じるこの作品は、翌年の『雄呂血』の筋立てを思わせるが、終幕の虚無感はより深い。(シネ・ヌーヴォ公式サイト「時代劇が前衛だった/日本映画の青春期」より)
製作は東亜キネマ等持院撮影所、阪東妻三郎(「阪妻」)主演初期(デビューの翌年)の作品で、マキノ省三の四女・マキノ輝子(後の智子)との初共演作。同年9月5日、宝塚ルナパークで封切られた。この作品で描かれる反逆精神と虚無的な生き方は、阪妻作品に特徴的なものとされ、阪妻主演・二川監督・呂九平脚本のトリオは後に名作『雄呂血』を生むことになる。阪東主演の無声映画でフィルムが現存する稀有の存在である。(ウィキペディアより)
詳しめあらすじ
南條三樹三郎(阪東妻三郎)は、斜陽の南條家を再興しようと、文武両道に励んでいた。剣術の師である倉橋十平太(嵐冠三郎)の娘・操(マキノ輝子)は三樹三郎に同情してやさしい声をかけると、三樹三郎は恋心を起こし、相手も同じ気持ちであると思い込んでしまう。
ある日、三樹三郎の母(中川芳江)は、道を走りすぎた家老の子・早水源三郎(片岡紅三郎)の馬に蹴り殺されてしまう。またある日、三樹三郎は操と源三郎の逢瀬を偶然目撃してしまい、恋心を裏切られたと思い込む。操と源三郎は近々祝言だという。さらに、お城に奉公していた姉・お富美(清水零子)が憂鬱な顔をしているので問い詰めると、源三郎によって陵辱されてしまったのだという。
操と源三郎の祝言の日、激高した三樹三郎は婚礼の場へと乗り込もうとするが、臨席者らによって狂人として門外に追い出された。この騒動により、三樹三郎は藩からも追放され、南條家再興の道は絶たれた。
あれから7年の歳月が経った。酒と喧嘩に溺れ、落ちぶれた浪人の三樹三郎は、村の童からも「乞食侍」と嫌がらせをされる始末。童を追い払いながら浜辺にいると、一艘の舟が浜に着き、あろうことか源三郎と操夫婦ら一行が降りてきて浜辺を歩き出すではないか。恨み重なる源三郎へと殺到する三樹三郎と、押し留めようとする一行。浜辺はたちまち血の修羅場と化し・・・(ウィキペディアより)
感想
阪東妻三郎さん演じる
(以下、阪妻)
三樹三郎がなんとも
踏んだり蹴ったりの様だが、
勘違いやら、武力行使やらで、
ちょっとなんともはや・・・
可愛そうとも言い切れない!?
というような、
点はあって。。爆
しかし、
阪妻の勢いと力強さ!
それとは相反する
三樹三郎の我が身の状況・・・
ここから
『雄呂血』に繋がるんですね!
スタッフ
監督:二川文太郎
原作・脚色:寿々喜多呂九平
撮影:橋本佐一呂
製作:牧野省三
提供:マツダ映画社
製作:東亜キネマ等持院撮影所・マキノ映画
キャスト
南條三樹三郎:阪東妻三郎
早水源三郎(家老の息子):片岡紅三郎
倉橋十平太(剣客):嵐冠三郎
倉橋の娘 操(みさお):マキノ輝子
南條の姉 お富美(おとみ):清水零子
南條の母:中川芳江
山室平内:瀬川路三郎
大工の熊さん:大谷万六
駕籠屋の仁助:中村琴梅
駕籠屋の権太:中村吉松
他
『雄呂血』(おろち)1925/75分/モノクロ/デジタル/活弁入り
マキノから二川文太郎と寿々喜多呂九平が送り込まれた阪東妻三郎プロの第一作。居丈高な家老の息子に「無礼講の酒席で身分の差別で論じるとは、無礼でござろう」と反論する阪妻は、大正デモクラシーの時代を生きる侍といえる。捕り方に囲まれ、体の線も身なりも崩れて前をはだけて闘う阪妻のマゾヒズム的なアクション、その激烈な感情表現が見もの。(シネ・ヌーヴォ公式サイト「時代劇が前衛だった/日本映画の青春期」より)
初め『無頼漢』というタイトルであったが、検閲からのクレームがつき、おびただしいシーンのカットの末、『雄呂血』に改称された。
阪東妻三郎は独立第一作ということもあって、本作のフィルムプリントを手元に保管していた。妻三郎の没後、コレクターが所有していたプリントを弁士の松田春翠が譲り受けて、戦後サウンド版で公開され、ホームビデオやDVDで販売されるようになった。今日、戦前期の剣劇映画の大半が紛失した中で奇跡的に全編残されており、その意味でも貴重な作品である。著作権の保護期間が満了し、現在パブリックドメインにある作品である。
本作のストーリーは社会的メッセージが強く、当時の大正デモクラシーの風潮に呼応して多くの観客の共感を呼んだ。寿々喜多呂九平は「世に無頼漢と称する者、そは天地に愧じぬ正義を理想とする若者にその汚名を着せ、明日を知れぬ流転の人生へと突き落とす、支配勢力・制度の悪ならずや」と字幕を挿入したが、当局の検閲で丸々カットとなっている。
ラスト三巻の大立ち回りは、二十七分間の長丁場を、同じテを二度と使わずに展開するという鬼気迫るもので、「悲壮美の極致」とまで言われた。 この立ち回りは脚本では「半鐘乱打、大立ち回り」と一行あるだけだが、十手、捕縄、六尺棒、熊手、さすまた、袖からみと、ありとあらゆる捕り物道具が動員され、瓦投げ、眼つぶしと、キャメラの長移動やパンを重ね、それまでの悠長な歌舞伎調の型を徹底的に破壊しつくした。眼つぶしで平三郎の眼がくらむ場面では幻覚感を出すためフラッシュ・バック風に黒コマを間に繋ぎ、テクニックに工夫が凝らされた。
(↑ウィキペディアより)
一言あらすじ
正義感の強い若侍・久利富平三郎(阪東妻三郎)は、ひょんなことから誤解を受け、破門になり旅に出るが、その先々でも自分の正義の思いとは裏腹に、いつも誤解を受けて、悪人扱いされてしまい・・・
感想
途中までは、
『逆流』と似たような内容!?
かと思い観ていたが、
ところが後半、
次郎三(中村吉松)が
出てきた辺りから、
特に面白くなりました!!
皆から悪党と言われるが
そんな心は持ち合わせていない
平三郎(阪東妻三郎)と、
皆から慕われて信頼がありながら
その中身は大悪党であるという
次郎三(中村吉松)。
この対比が良いですね!!
全く真逆の人物で、
しかも悪党の方が
悠々自適にやりたい放題で
暮らしている・・・
そこからラストにかけては
見物です!!
圧巻の大立ち回りもあり
大迫力でした!!
ただ、ラストは・・・
真実は
当の本人達を除き、
誰にも知られることなく
消え失せて、
塗り潰される・・・
リアルですが、
む、無念・・・
夫婦に声を上げてほしかった〜ww
でも、面白かったです!
「世人…無頼漢(ならずもの)を称する者、必ずしも真の無頼漢のみに非らず。善良高潔なる人格者と称せらるる者必ずしも真の善人のみに非らず。表面善事の仮面を破り、裏面に奸悪を行う大偽善者。亦、我等の世界に数多く生息する事を知れ…」(ウィキペディアより)
あと、活弁で、
役者の名前を紹介するのが
ちょっと面白かった。w
そういえば、
前にもそんなのを
観たことある気がするけど。
上映ありがとうございました!
(2022年11月5本目。本年度400本目、映画館222本目)
※3作品で1本とカウント
スタッフ
監督:二川文太郎
原作・脚本:寿々喜多呂九平
撮影:石野誠三
舞台装置:河村甚平(弁士:松田春翠)
電機照明 : 奥貫一
字幕 : 坂本美根夫
助監督 : 村田正雄、宇沢芳幽貴
撮影補助 : 稲葉蛟児、岡本勝人
殺陣:市川桃栗
総指揮:牧野省三
提供:マツダ映画社
製作:阪東妻三郎プロダクション・マキノプロダクション
キャスト
久利富平三郎:阪東妻三郎
松澄永山(漢学者):関操
奈美江(永山の娘):環歌子
江崎真之丞(奈美江の夫):春路謙作
浪岡真八郎:山村桃太郎
二十日鼠の幸吉:中村琴之助
ニラミの猫八:嵐しげ代
赤城の次郎三(侠客):中村吉松
薄馬鹿の三太:安田善一郎
町の娘お千代:森静子
他