鑑賞記録(2022.5.4)西川美和監督『すばらしき世界』2021 U-NEXT

鑑賞記録(2022.5.4)

西川美和監督

『すばらしき世界』2021

U-NEXT

 

『すばらしき世界』2021/126分/日本/カラー

(中略)これまで一貫して自身の原案、オリジナル脚本に基づく作品を発表してきた西川監督が、直木賞作家・佐木隆三のノンフィクション小説「身分帳」に惚れ込み、長編映画としては初の原作ものに挑んだ。小説の時代設定を現代に置き換え、実在の人物をモデルとした主人公の数奇な人生を通して、人間の愛おしさや痛々しさ、社会の光と影をあぶり出す問題作である。(中略)(本作チラシより)

 

西川美和監督作品

2002年 蛇イチゴ (監督・脚本)

2005年  female「女神のかかと」 (監督・脚本)

2006年 ゆれる (監督・脚本・原案)

2007年 ユメ十夜「第九話」 (監督・脚本)

2009年 ディア・ドクター (監督・脚本)

2012年 夢売るふたり (監督・脚本・原案)

2016年 永い言い訳 (監督・脚本・原作)

2021年 すばらしき世界 (監督・脚本)

(ウィキペディアより)

 

受賞

第56回シカゴ国際映画祭

観客賞

インターナショナルコンペティション部門 ベストパフォーマンス賞:役所広司

 

一言あらすじ

人生の大半を刑務所で過ごし、最終的に殺人罪で刑務所にいた三上(役所広司)は、13年ぶりに出所してきたが、元犯罪者で、まっすぐだがカッとなりやすい性格の彼が、社会で暮らしていくには、あまりに困難の連続だった。そんな中、少数ながら支えてくれる人たちと出会うが・・・

 

感想

西川美和監督作品

久しぶりの鑑賞。

 

 

 

生い立ちから

厳しい環境で生きてきた

主人公・三上。

 

 

社会という枠の中に

入ることが出来なかった彼が、

 

 

出所して、

今度こそは刑務所に戻らないよう

なんとかその糸口を見出そうとする。

 

 

 

しかし

一度社会をはみ出した者に対して

 

(彼の場合、生まれた時から戸籍もなく、

社会に入れてもらえていないようにも思うが)

 

社会は決して優しくはない。

 

 

 

彼の頭に血が上りやすい性格も災いして、

余計に物事がうまくいかない。

 

(これも生来の性格なのか、

環境などによる後天的なものなのかは不明)

 

 

 

曲がったことを放っておけず、

真正面から向き合う真っ直ぐな性格が

 

結果、

暴力となって現れてしまう。

 

 

 

 

(以下、ちょいネタばれ??かも)

 

 

 

 

 

後半、

 

三上が少しずつ、

 

自分の感情を抑え、

自分を殺し、

 

社会に同調するように

必死に振る舞う。

 

 

 

社会の中で生きていくには

そうするより他ないからだ。

 

 

 

適当に他人を見過ごせるほうが

世の中を上手く渡っていける・・・

 

 

 

自分の感情を殺し、

 

笑えないことに笑い、

 

それでもこの世界で生きていくため、

自分のスペースを確保するため、

 

 

自分が正しいと思うことを

振り払いながら

 

必死に踏ん張る。

 

 

 

 

それが生きるということなのか?

 

 

 

 

何らかの仕事、少しのお金、

切り詰めた食事。

 

 

なんだかとても切なくなった。

 

 

 

しかし、

 

そんな中でも

彼がラッキーと言えるのは

 

 

昔から彼を見守ってくれる人や

新たに出会う人たちが

彼を応援してくれることだ。

 

 

 

彼はそういった人たちが

たまたまいたが、

 

 

 

もしそんな人がひとりもいなかったら?

 

 

 

 

正直、

この社会の中で

生きていけるとは思えない。

 

 

 

ひとりでなんとかなることなんて

たかが知れているし、

 

 

彼らの場合、

すでに社会の中で暮らす人の

手助けなしに

(あっても困難なのに)

なんとかなるようには思えない。

 

 

 

 

犯罪者の再犯が多いのは

それがすべてでないにせよ、

 

現在の社会構造にも

原因のひとつはあると思う。

 

 

 

敗者復活が出来ない世の中は

 

格差を広げ、

失敗は許されなくなってしまう。

 

(犯罪を肯定するわけではない)

 

 

 

さらには、

社会的に成功していると言われる人たちが

 

どれだけ幸せを感じているかどうかも

 

正直、わからない。

 

(幸せは、個人が思うことだから基本計れないが)

 

 

 

罪は犯さないに越したことないが、

 

自分の行動に責任を取り、

後悔し、

やり直したいと願うなら、

 

出直すチャンスは

もう少し何かあってもいいのかな

 

(これも犯した罪の程度や状況など、

判断が難しいか)

 

と思うが、

 

 

それには

受け入れる人間も社会も、

 

大きな懐が必要となる。

 

 

 

また過酷な状況が待ち受けることで

失敗するかもしれない彼らを

 

それでも受け入れ続ける

寛容さが。

 

 

 

 

笑いポイントとしては、

 

刑務所での生活が長くて

体に染みついているのか

 

運転免許の教習所での振る舞いが

完全に所内違い!!爆

(ギャグかと思ったが、リアルにあるのかな??)

 

 

同乗する若者のたじたじさにも

ウケた!ww

 

 

 

冷たく厳しい、

 

だけじゃない

 

温かさも感じつつ

 

 

何か心にささくれのような

ひっかかりも残す作品でした。

 

 

役者陣も

皆さん素敵です。

 

 

 

(2022年5月3本目。本年度147本目)

 

 

スタッフ

脚本・監督:西川美和

原案:佐木隆三『身分帳』

音楽:林正樹 撮影:笠松則通 照明:宗賢次郎 音響:白取貢

美術:三ツ松けいこ 編集:宮島竜治 衣装デザイン:小川久美子

ヘアメイク:酒井夢月 キャスティング:田端利江 音響効果:北田雅也

助監督:中里洋一 制作担当:横井義人 ラインプロデューサー:奥泰典

製作:川城和実、潮田一、池田宏之、依田巽、角田真敏、鈴木貴幸、堤天心

エグゼクティブプロデューサー:濱田健二、小竹里美

プロデューサー:西川朝子、伊藤太一、北原栄治

企画協力:分福 配給:ワーナー・ブラザース映画

制作プロダクション:AOI Pro.

製作:「すばらしき世界」製作委員会(バンダイナムコアーツ、AOI Pro.、ワーナー・ブラザース映画、ギャガ、講談社、フィルマークス、U-NEXT)

 

キャスト

三上正夫:役所広司

津乃田龍太郎:仲野太賀

庄司勉:橋爪功

庄司敦子:梶芽衣子

松本良介:六角精児

井口久俊:北村有起哉

下稲葉明雅:白竜

下稲葉マス子:キムラ緑子

吉澤遥:長澤まさみ

西尾久美子:安田成美