鑑賞記録(2022.8.26)トッド・スティーブンス監督『スワンソング』2021@シネ・リーブル神戸

鑑賞記録(2022.8.26)

トッド・スティーブンス監督

スワンソング』2021

@シネ・リーブル神戸

 

(↓シネ・リーブル神戸さんの掲示板)

 

『スワンソング』2021/105分/アメリカ/カラー/ビスタ/5.1ch

スワンソング。白鳥の歌。

白鳥がこの世を去る際に、最も美しい声で歌うとされる伝説から生まれた、この言葉。アートや技に身を捧げた者たちが、人生の最後に残した作品、最後のパフォーマンス、つまり有終の美が「スワンソング」と表現されるー。

(↑本作チラシより)

パトリック・ピッツェンバーガーは実在の人物がモデル。監督のトッド・スティーブンスは17歳の時にオハイオ州サンダスキーのゲイクラブでミスター・パットが踊っているのを見て、衝撃を受けたという。映画の道へ進んでから、いつか同郷のこの人気ヘアメイクドレッサーを題材にしたいと思い続け、その念願を叶えたのだ。自身もゲイであるスティーブンス監督による本作は、エイズが蔓延した1990年の時代から現在に至るゲイカルチャーを真摯に見つめ、ゲイカップルの描き方にも愛が満ちあふれている。社会的な立ち位置や相続問題などリアルなトピックも物語に取り込むことで、LGBTQ+映画の一本として、この『スワンソング』は誠実な仕上がりが達成された。

「あなたしか見えない」という日本語のカバー曲も生まれた、メリッサ・マンチェスターの「哀しみは心に秘めて(Don’t Cry Out Loud)」をはじめ、ジュディ・ガーランド、シャーリー・バッシー、ダスティ・スプリングフィールドなどの名曲が使われるのだが、その歌詞がストーリー、およびパットの心情に見事にシンクロしている。観終わった後も、歌詞とメロディが頭の中でリフレインするという、ニードルドロップ(既存の曲を映画音楽に使用すること)の成功例と言える一作だ。

多くの意味で、パットというキャラクターは私自身です。自分が愛することをするのに遅すぎることはないと私に語り掛けてくれるのです。(トッド・スティーブンス監督インタビューより)

 1984年、私は初めて故郷の小さな町にあるゲイバー、“ザ・ユニバーサル・フルーツ・アンド・ナッツ・カンパニー”に足を踏み入れた。そこに彼がいた。ダンスフロアでキラキラ輝いている。フェザーボアを首に巻き付け、柔らかなフェルトのつば広帽をかぶり、お揃いのパンツスーツを着た“ミスター・パット”・ピッツェンバーガー。まるでボブ・フォッシーの世界から抜け出したような動きで踊っている。17歳の私にとって、パットは神のごとく輝いていた。(トッド・スティーブンス監督メッセージより)

(↑本作公式サイトより一部抜粋)

 

原題

Swan Song

 

一言あらすじ

かつてヘアメイクドレッサーとして名を馳せたパット(ウド・キアー)。今は全てを失い、老人ホームで一人暮らす日々。そんなところへ、かつての一番の顧客リタ(リンダ・エヴァンス)が、遺言で「パットに死化粧を」と遺して亡くなったと知らせを受ける。しかし、リタとは仲違いしたまま疎遠になっており、パットは依頼を断るが・・・

 

感想

今にも踊り出したくなるような

素敵な音楽たち。

 

 

キラキラ光る照明や

色鮮やかな衣装に宝石。

 

 

かつて輝いていた

現役時代の思い出と栄光。

 

 

そんな過去を歩いてきたパットが

 

今や老人ホームで着る

グレーのスウェットが物語るように

 

心にも色鮮やかさは見られない。

 

 

 

もう随分昔に、

 

仕事は引退し、

愛する人を失い、

家も無くし、

お金も無い。

 

 

 

ただただ日々をやり過ごす。

 

 

そんなところに

かつての顧客で友人のリタから遺言が。

 

 

「パットに死化粧をしてほしい」

 

 

彼女とは過去に仲違いしたまま、

 

しかも仕事は随分昔に引退、

 

引き受けられないと返事をするが・・・

 

 

 

気になって気になって

仕方ないパット。

 

 

 

それは、どこかで

 

もう一度やりたいという思いと、

もうできないという不安や怖さと

親友リタへの思いと・・・

 

 

 

いろんな感情が

 

いろんな過去と記憶が

 

入り混じり、

 

 

過去なのか、現実なのか、

 

記憶なのか、妄想なのか・・・

 

 

 

老人ホームの外へ飛び出したパットは

まぁまぁ無茶な行動を起こしつつ、ww

 

 

そして巡り合う人たちに

少しずつ助けを借りながら、

 

 

しかし飄々と

悠々自適!?に

 

自分らしく、

我が道を行く!!

 

マイペーース!!

に!!!ww

 

 

 

昔とは変わった風景、

昔とは違う自分、

 

 

でも

 

過去とは違う

新しい自分を再発見し、

 

今ある限りの力を尽くし、

 

今を生きる。

 

 

 

 

 

ちょっと個人的に、

 

超〜細かいですが、

 

 

「あ〜、ここのタバコの灰落ちてほしい!・・・ポトッ」

「あ〜、シャンデリアが・・・・キラキラ(揺れる)」

 

 

という欲しいところに

欲しいものがキタww

 

 

っていう監督の演出

ピッタンコでした。ww

(本筋に全然関係ないけどww)

 

 

LGBTQとか関係なく

 

誰しもいつか訪れる

人生の終焉。

 

 

最も美しい声とは、

 

 

自分に偽ることなく

素直に思いのまま

出し切った声こそが

 

 

そう呼ばれるのかもしれない。

 

(2022年8月37本目。本年度306本目、映画館159本目)

 

 

 

スタッフ

監督・脚本:トッド・スティーブンス

撮影:ジャクソン・ワーナー・ルイス

美術:カサンドラ・デアンジェリス

衣装:ショーナ=ノバ・フォーリー、キティ・ブーツ

編集:スペンサー・シリー、サンティアゴ・フィゲイラ・W

音楽:クリス・スティーブンス 

音楽監修:ジェリー・ガーシュマン

製作:エリック・アイゼンブリー、ティム・カルテネッカー、レット・トファム、スティーブン・イスラエル、トッド・スティーブンス

製作総指揮:レット・トファム、ジェイ・ファレリー、ドリュー・スカラー

 

キャスト

パトリック・ピッツェンバーガー:ウド・キアー

ディー・ディー:ジェニファー・クーリッジ

リタ・パーカー・スローン:リンダ・エヴァンス

ダスティン:マイケル・ユーリー

ユーニス:アイラ・ホーキンス

スー:ステファニー・マクベイ

ウォルター・シャンロック:トム・ブルーム

ミス・ベルマ:ジャスティン・ロンサム

ガブリエル:トム・ヒルトン

Ro Ro:シャネッサ・スウィーニー

ライル:ブライアント・キャロル

イヴィー:シェルビー・ギャレット

ジャニー:キャサリン・アルバース

ジョサイア:デイブ・ソルボロ

ショーンデル:ローション・トーマス

ミス・ガーティ:アニー・キトラル

デヴィッド:エリック・アイゼンブレイ

トリスタン:ジョナ・ブレックマン

看護師:ティム・マレー

フィリス:シェリル・タリー=シャープ

スコッティ:レイ・ペリン