鑑賞記録(2022.4.23)
~そしてキアロスタミはつづく~
アッバス・キアロスタミ監督
『オリーブの林をぬけて』1994
各都市で行われていた
『そしてキアロスタミはつづく
デジタル・リマスター版特集上映』
は、終了しましたが、
私は、U-NEXTで鑑賞が続きます。
『オリーブの林をぬけて』1994/103分/イラン・フランス/カラー
『友だちのうちはどこ?』(1987)、『そして人生はつづく』(1992)に続く、コケール・トリロジー(ジグザグ道三部作)完結編。
本作は映画内映画の作りで、現場では監督(役含め)が3人いることに!
1.実際に撮影しているキアロスタミ監督本人(本作『オリーブの林をぬけて』を撮影中)
2.ケシャヴァーズ演じるキアロスタミ監督役(『そして人生はつづく』を撮影中の役)
3.ケラドマンド演じるキアロスタミ監督役(『そして人生はつづく』に登場する役)
原題
Zīr-e Derakhtān-e Zeytūn
(英題:Through the Olive Trees)
一言あらすじ
『そして人生はつづく』のワンシーンで登場した、地震の翌日に結婚した若い夫婦。夫役を演じた青年ホセインは、妻役タヘレに以前実際にプロポーズして断られており、そのことを知ったキアロスタミ監督は、この話を基に映画を作ることにする・・・
感想
映画の舞台裏を
撮影したような本作。
今回は、冒頭で
「私は監督役の
モハマッド=アリ・ケシャヴァーズ」
とまず自己紹介が入った!
確かに
この映画(『オリーブの林をぬけて』)内で、
映画(『そして人生はつづく』)の
撮影をしているところを撮っているから、
この説明はほしいですね!w
これなかったら、きっと理解が大変ですww
さて、お話は
『そして人生はつづく』における
若い夫婦役の2人についてのお話。
現実と、虚構の境界線が、
本当に曖昧で・・・
一体、どこからどこまでが
創作なのだろうか・・・
毎度同じことを言い続けているが
本当にキアロスタミ監督の作品は、
フィクションとドキュメンタリーの境が
毎度分からない。
それだけリアルとも言える。
実際にそこにある”なにか”が
確実に存在している。
本当に”生きた”人々が居る。
本作は、
『そしてキアロスタミはつづく
デジタル・リマスター版特集上映』
パンフレットP.15によると、
(↑のパンフレットは、
「奇蹟の映画作家 アッバス・キアロスタミ」
パンフレットより(22頁)となっている)
シナリオはあったのでしょうか?(という質問に対し、)
”15ページほどのレジュメを書いて、私の協力者たちに見せました。彼らはまったく意味不明だと言ってきましたが、私にとってはすべて非常に明確でした。(中略)”(キアロスタミ監督)
とあります。ww
なので、
いわゆるシナリオはなかったようですね。
そして、
監督の素人俳優やスタッフに対する
丁寧な接し方が
パンフレットに書かれていました。
キアロスタミ監督は
俳優たちやスタッフなど
全体をよく観察し、
彼らの今日の状態を見て、
どの場面から撮影するか決めるよう。
しっかり話し合ったりもする。
こういった配慮や気遣いもあって
素晴らしい瞬間を
捕えて行くのですね。
そして本作で
『友だちのうちはどこ?』の
主人公の少年アハマッド君が
ちょっと成長して本作に登場している。
数年でだいぶお兄ちゃんになってますww
オリーブの木々のグリーン色と
オレンジ色の道なき道。
そして象徴的なジグザグ道
素朴で
とても美しいです。
そしてラストのロングショット。
(中略)このテイクは素晴らしい出来となりました。このシーンで起こっていることは現実のものです。(キアロスタミ監督)
(↑※パンフレットP.15より。このロングショットは最初のテイクは気に入らず、監督がホセインとタヘルとそれぞれ話をして、その後撮り直したらしい。)
長回しの超ロングショット!!
最後、表情などは見えないですが、
ホセインの行動から、きっと・・・
笑みがこぼれますね。ww
そしてキアロスタミ監督作品の鑑賞は
まだ続きます・・・
(2022年4月26本目。本年度136本目)
スタッフ
監督・脚本・編集・製作:アッバス・キアロスタミ
撮影:ホセイン・ジャファリアン、ファルハッド・サバ
音楽:マハムード・サマクバシ
ミキシング:チャンギス・サイヤッド
助監督:ジャファール・パナヒ
他
キャスト
ホセイン・レザイ
タヘレ・ラダニアン
モハマッド=アリ・ケシャヴァーズ
ザリヘ・シヴァ
ファルハッド・ケラドマンド
他