鑑賞記録(2022.8.17)
エマニュエル・クールコル監督
『アプローズ、アプローズ!
囚人たちの大舞台』
2020@シネ・リーブル神戸
『アプローズ、アプローズ!囚人たちの大舞台』2020/105分/フランス/カラー/シネマスコープ(2.29:1)/5.1ch/DPC
本作は、スウェーデンの俳優ヤン・ヨンソンが1985年に体験した実話をベースにしている。
撮影はフランスに実在するモーショコナン刑務所の協力の元に行われている。
(↑公式サイトより)
アプローズ(applause)”とは、拍手、拍手喝采、称賛という意味
サミュエル・バークレイ・ベケット(Samuel Barclay Beckett )
1906年4月3日 – 1989年12月22日
アイルランドの小説家、劇作家、短編作家、演劇監督、詩人、翻訳家である。成人になってからはパリに住み、フランス語と英語の両方で作品を執筆した。
ベケットの文学と演劇作品は、荒涼とした非人間的で悲劇的な人生体験を特徴としており、しばしばブラックコメディやナンセンスと結びついている。ベケットの作品は、キャリアが進むにつれてますますミニマルになり、より審美的で言語的な実験が行われるようになった。最後のモダニスト作家の一人とされ、マーティン・エスリン(Martin Esslin)は「不条理劇」と称した重要人物の一人とされている。
ベケットは1969年に「小説やドラマの新しい形式の中で、現代人の困窮とその高揚を獲得した彼の執筆に対して」ノーベル文学賞が与えられた。1984年にアイルランドのアオスダーナ芸術家協会選出のサオイに初めて選出された人物でもある。劇中に引用された『ゴドーを待ちながら』は、もちろんベケットによる戯曲で、ウラジーミル(ディディ)とエストラゴン(ゴゴ)の二人の登場人物が、決してやって来ないゴドーを待ちながら様々な議論や出会いを繰り広げるというものである。
『ゴドーを待ちながら』は、ベケット自身がフランス語で書いた原作『En attendant Godot』の翻訳であり、英語版には「2幕の悲喜劇」という副題がついている。
フランス語の原作は1948年10月9日から1949年1月29日の間に書かれた。
ロジェ・ブランの演出による初演は1953年1月5日にパリのテアトル・オブ・バビロンで行われた。英語版は1955年にロンドンで初演された。
1998/99年にイギリスのロイヤル・ナショナル・シアターが実施した投票では、「20世紀で最も重要な英語劇」に選ばれた。諸説あるが、ゴドーは神(God)の暗喩だったのではとの説がある。(公式サイトより)
不条理演劇(ふじょうりえんげき)
人間、特に現代人の不条理性や不毛性を描こうとする戯曲や演劇の手法もしくはその手法に基づく演劇活動そのものを指す。不条理劇とも言われる。
不条理演劇の代表的な作り手には、ベケットやイヨネスコ、ハロルド・ピンターやエドワード・オールビー、ジャン・ジュネ、日本では別役実などの劇作家がいる。
不条理演劇が生まれた背景には、ニーチェ、サルトル、カフカやアルベール・カミュなどによる実存主義思想と、第二次世界大戦でヨーロッパが受けた衝撃と荒廃がある。(ウィキペディアより)
『ゴドーを待ちながら』
2幕劇。木が一本立つ田舎の一本道が舞台である。
第1幕ではウラディミールとエストラゴンという2人の浮浪者が、ゴドーという人物を待ち続けている。2人はゴドーに会ったことはなく、たわいもないゲームをしたり、滑稽で実りのない会話を交わし続ける。そこにポッツォと従者・ラッキーがやってくる。ラッキーは首にロープを付けられており、市場に売りに行く途中だとポッツォは言う。ラッキーはポッツォの命ずるまま踊ったりするが、「考えろ!」と命令されて突然、哲学的な演説を始める。ポッツォとラッキーが去った後、使者の少年がやってきて、今日は来ないが明日は来る、というゴドーの伝言を告げる。
第2幕においてもウラディミールとエストラゴンがゴドーを待っている。1幕と同様に、ポッツォとラッキーが来るが、ポッツォは盲目になっており、ラッキーは何もしゃべらない。2人が去った後に使者の少年がやってくる。ウラディミールとエストラゴンは自殺を試みるが失敗し、幕になる。(ウィキペディアより)
原題
Un triomphe
(Google日本語訳:勝利)
(英題:The Big Hit)
一言あらすじ
売れない中年役者エチエンヌ(カド・メラッド )が講師として行った刑務所で、囚人たちの演技ワークショップから、不条理劇の傑作『ゴドーを待ちながら』を発表することに。クセの強い囚人たちを相手に、皆それぞれ想いを抱え、中々上手く進まない苦難の中、なんとか発表に・・・
感想
サミュエル・ベケットの戯曲
不条理劇の傑作とされる
『ゴドーを待ちながら』
私の大好きな映画
『ドライブ・マイ・カー』(2021)
にも、ほんの少しですが
劇中劇の舞台の演目で
登場しました。
私も本を持っていますが、
延々と繰り返される言葉のやりとり。
話は前に進まず、
ループし続けるかのように
ただひたすらに喋り続け
ゴドーを待つ・・・
正直言って、
難しい・・・!!
本作の囚人たちが
不条理劇って意味不明!!
みたいなことを
稽古を始めた最初の頃は
言い倒していますが、
私もそれを聞いて爆笑!!
そうそう、そう思っちゃうよね〜!ww
しかし、
囚人の彼らが刑務所の中で
ひたすら
外に出られる時を待ち続ける姿は
講師のエチエンヌからすれば、
まさに『ゴドーを待ちながら』の
ウラディ(ジ)ミールとエストラゴン。
以下、ネタバレ含みますが・・・
そして彼らは
当初の困難を乗り越えながら
劇を発表します!!!
その舞台は大成功!!
エチエンヌと囚人たちは
チームとしての結束と
信頼を徐々に深め、
ステージでは喝采を浴びる!
皆、
熱心に取り組みます。
しかし、
公演が終わればまた元の現実で
刑務所に入るには
全身検査を行われ、
プレゼントは捨てられる・・・
そんな繰り返しの中、
おそらく最後の大舞台がやってくる!!
フランス随一の大劇場、
パリ・オデオン座から、
最終公演のオファーが届く!!
そして、その結果は・・・
まさかとは思ったけど・・・
この先は、
絶対に言えません・・・
これがフィクションだったら、
そりゃさすがにないんじゃ〜!?
と言いたくなるけど、
まさかの実話。
”現実は小説より奇なり”
ですね。
その後、どうなったかが気になりますが・・・
個人的には、
シネスコの横長の大スクリーンなので
もうちょい舞台を俯瞰した状態で
彼らの『ゴドーを待ちながら』を
観たかったかな〜!!
というのはありますが。ww
皆が一生懸命に打ち込む姿は
グッときました。
(2022年8月25本目。本年度294本目、映画館152本目)
スタッフ
監督:エマニュエル・クールコル
製作:ダニー・ブーン、ロベール・ゲディギャン
脚本・翻案・台詞:エマニュエル・クールコル、ティエリー・ド・カルボニエ
撮影:ヤン・マリトー
編集:ゲリック・カタラ
音楽:フレッド・アブリル
セットデザイン:ラファエル・マテ
衣装:クリステル・ビロー
エンディング曲:ニーナ・シモン『I Wish Knew How It Would Feel to Be Free』
配給:リアリーライクフィルムズ
他
キャスト
エチエンヌ:カド・メラッド
ムサ:ワビレ・ナビエ
カメル:ソフィアン・カメス
パトリック:ダヴィッド・アヤラ
ジョルダン:ピエール・ロッタン
アレックス:ラミネ・シソコ
ボイコ:アレクサンドル・メドベージェフ
所長アリアンヌ:マリナ・ハンズ
ニーナ:マチルド・クルコル・ロゼ
他