鑑賞記録(2022.3.16)小津安二郎監督 唯一の東宝作品 & 原節子とのラストタッグ『小早川家の秋』1961 NETFLIX

鑑賞記録(2022.3.16)

小津安二郎監督

唯一の東宝作品

原節子とのラストタッグ

 

『小早川家の秋』1961

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『小早川家の秋』(こはやがわけのあき)1961/102分/日本/カラー・スタンダード・モノラル

兵庫県宝塚市に存在した宝塚映画制作所(宝塚映像)の創立10周年記念作品として、巨匠・小津安二郎を招聘した作品である。

松竹を拠点にしてきた小津が、東宝(製作は宝塚映画)で監督した唯一の作品で、大阪や京都など純粋に関西を舞台にしている点でも貴重な一本である。

小津が東宝で映画を製作することとなったのは、表向きは『秋日和』で、当時、東宝専属だった原節子と司葉子が松竹に出演したことの見返りとなっているが、実際は小津の大ファンだった藤本真澄プロデューサーをはじめとする東宝首脳陣の小津招聘作戦が功を奏したものだったという。

小津は既に松竹以外の他社では、新東宝で『宗方姉妹』(1950年)を、大映で『浮草』(1959年)を撮っていたが、五社協定が厳しかった時代に、小津のような松竹を代表する巨匠が東宝で映画を撮ることは稀有なことであった。

五社協定(ごしゃきょうてい)は、日本の大手映画会社5社(松竹、東宝、大映、新東宝、東映)が1953年9月10日に調印した専属監督・俳優らに関する協定。後に日活が加わり、新東宝が倒産するまでの3年間は六社協定となっていた。1971年をもって五社協定は自然消滅した。 (中略)名目は映画会社同士の専属監督・俳優の引き抜きの禁止だったが、真の目的は、日活による俳優引き抜きを封じることであった。(中略)

主な内容は次の通りであった。

  1. 各社専属の監督、俳優の引き抜きを禁止する。
  2. 監督、俳優の貸し出しの特例も、この際廃止する。

本作品は新珠三千代、宝田明、小林桂樹、団令子、森繁久彌、白川由美、藤木悠ら東宝スター総出演となっている。

本作は原節子とのコンビ最終作ともなった。

小津は松竹からスタッフを1人も連れて行かずにこの作品を撮った。東宝は小津を招くということで、当時の東宝を代表する一流のスタッフを揃えた。撮影の中井朝一は黒澤明作品の常連であり、照明の石井長四郎は成瀬巳喜男作品を支えてきたスタッフである。そのため、小津の他の松竹作品とは違った独特の緊張感が漂っている。ただし、編集に関しては、自分の生理にあったフィルムの繋ぎにこだわるあまり1コマを半分に切ることまでする小津の要求に応えることは困難を極め、最終的には松竹から小津の長年のパートナーである浜村義康が急遽呼ばれることとなった。

(ウィキペディアより抜粋引用)

 

一言あらすじ

小早川家は造り酒屋。長女・文子(新珠三千代)の夫・久夫(小林桂樹)に店を任せ隠居した万兵衛(中村鴈治郎)は、このところしょっちゅう出掛けている。亡き長男の未亡人・秋子(原節子)と、末娘の紀子(司葉子)の貰い手を探す話も出ているところ、万兵衛が・・・

 

感想

この度も、

万兵衛演じる中村鴈治郎さん!!

 

最高です!!

 

 

『浮草』でも最高でしたが、

 

私の好み的には

本作でさらにグレードアップ!!!

 

 

 

とぼけさせたら天下一品ですね。ww

 

 

あの飄々とした表情や動き。

 

たまりませんね!!

 

いや~、しかし、

 

中村鴈治郎さんだけではなく、

本当にすべての役者さんが素敵です。

 

 

 

『彼岸花』で

しゃべり倒す京都人のおばさん役で出演していて、

 

本作では、

佐々木つねを演じる浪花千栄子さんも

安定の良さ。

 

 

そして確か、

成瀬巳喜男監督の

『女が階段を上る時』(1960・東宝)で

共演していた、

 

中村鴈治郎さんと団令子さんの

やりとりもここでまた再見!

 

 

 

杉村春子さんも、

やっぱりこれですよね!!

 

 

『お早よう』(1959)の

ちょいとヤな感じもしっくりですが、ww

 

 

これくらいの塩梅(役の性格)

最高です!!!

 

 

 

お話は、

いつもの小津節を含めながらも

ひと味違う雰囲気が。

 

 

個人的にはとても好き。

 

 

ネタばれになるので、

あまり詳しくは書きませんが、

 

 

終盤の

 

”煙突の煙” と ”カラス” と ”音楽”

 

などの演出が

 

めちゃくちゃ印象的。

 

 

 

あと、超~細かいが、

『秋日和』(1960)の時の

原節子さんのネイルが、

 

白いパールのような色で

しかもちょっと長いので

やたらと目立って気になっていたが、、

 

 

 

今回は、

控え目なものになっていて

原節子さんにしっくりくる感じになっていて

勝手にほっとしたwww

 

 

まぁとにかく

本作、小津的には

ちょいと変化球なのかもしれませんが

(基本のストーリーは、やはり小津&野田)

 

 

かなり好きです!!

 

 

ぜひご覧ください。

 

(2022年3月22本目。本年度93本目)

 

スタッフ

監督:小津安二郎

脚本:野田高梧、小津安二郎

製作:藤本真澄、金子正且、寺本忠弘

撮影:中井朝一

美術:下河原友雄

編集:岩下広一

録音:中川浩一

音楽:黛敏郎

整音 : 下永尚

 

キャスト

小早川秋子(長男の未亡人):原節子

小早川紀子(次女):司葉子

小早川文子(長女):新珠三千代

文子の夫・久夫:小林桂樹

寺本忠:宝田明

北川弥之助(万兵衛の義弟):加東大介

佐々木百合子:団令子

佐々木つね:浪花千栄子

中西多佳子:白川由美

番頭・山口信吉:山茶花究

店員・丸山六太郎:藤木悠

加藤しげ(万兵衛の妹):杉村春子

農夫:笠智衆

農夫の妻:望月優子

北川照子(万兵衛の亡妻の妹・弥之助の妻):東郷晴子

ホステス:環三千世

文子の息子・正夫:島津雅彦

林清造(万兵衛の弟):遠藤辰雄

医者:内田朝雄

磯村英一郎:森繁久彌

小早川万兵衛:中村鴈治郎