鑑賞記録(2022.2.14)約100年前の、観るべき歴史的大作!カール・テオドア・ドライヤー監督『裁かるゝジャンヌ』1928 @元町映画館

鑑賞記録(2022.2.14)

カール・テオドア・ドライヤー監督

『裁かるゝジャンヌ』1928

@元町映画館

 

(↑今回のチラシ)

 

 

”奇跡の映画 

カール・テオドア・ドライヤーセレクション”

にて、上映4作品

『裁かるゝジャンヌ』『怒りの日』『奇跡』『ゲアトルーズ』

 

19世紀末にデンマークで生まれ、常に独創的で革新的な作品を生み出しながら、一貫して人間、特に女性の心の真髄をフィルムで捉え続けた孤高の映画作家カール・テオドア・ドライヤー。ジャン=リュック・ゴダール、フランソワ・トリュフォー、イングマール・ベルイマンなどの巨匠たちからアルノー・デプシャン、ギャスパー・ノエといった現代の先鋭たちにまで多大な影響を与え世代を超え敬愛されています。79年の生涯で長編14作品を発表、モノクロームの世界を巧みに操り、新たな映画芸術の可能性を示し続けました。今回は、ゴダールが『女と男のいる舗道』で引用したことでも有名な『裁かるゝジャンヌ』と後期3作品がデジタルリマスタリングされ、スクリーンに甦ります。(チラシより抜粋)

 

前売り券を事前にゲットしておいたので

お得に鑑賞(4回券4000円)

ポストカードもらいました。

 

 

 

 

今回は、

『裁かるゝジャンヌ』

を鑑賞。

 

 

『裁かるゝジャンヌ』1928/97分/フランス/モノクロ・スタンダード(2Kレストア)・無声映画(音楽あり)

本上映は2015年にゴーモン社によってデジタル修復された素材によるもので、伴奏音楽はオルガン奏者カロル・モサコフスキによって作曲・演奏、リヨン国立管弦楽団のコンサートホールのオルガンを用いて録音されました。(チラシより抜粋)

原題

La Passion de Jeanne d’Arc

 

一言あらすじ

百年戦争で祖国フランスを解放に導くジャンヌ・ダルクは、捕虜となり敵国で異端尋問を受ける。その質疑応答からジャンヌの最期までを映す。

 

感想

ほぼ100年も前に

 

 

これほどの映画が既にあったのか・・・

 

 

今までに観たことのないものが、

100年も前に存在していた・・・・

 

 

 

ほぼ人物の表情のアップで

画が進んでいくのだが

 

無声映画だから、

台詞は聞こえず、

 

ちょこちょこ入る字幕が

台詞となっている。

 

 

 

しかし音声はなくとも

その表情で見事にお話を語っていく。

(伴奏の音楽はあるが、先にも記したが後付け)

 

 

 

個人的には

教会の司教や聖職者達の表情が

特に素晴らしいと思った。

 

 

 

それぞれに思いがあるようだが

疑う者、追いつめる者

ジャンヌに同情する者、、、

 

 

神に仕えるはずの司教が、

悪魔的に映ったり、、、、

 

 

 

さらに後半、

自分の死を受け入れて

覚悟を決めてからの

ジャンヌの表情も凄い。

 

 

 

生々しいというか・・・

 

 

 

怖くなるほどの”生”が

そこに存在する・・・

 

 

 

 

「神の恩寵を受けていたことを認識していたか」

と尋問されたときの

ジャンヌ・ダルクの超有名台詞(返答)も

バッチリ入っています。

「もし私が恩寵を受けていないならば、神がそれを与えて下さいますように。もし私が恩寵を受けているならば、神がいつまでも私をそのままの状態にして下さいますように。もし神の恩寵を受けていないとわかったなら、私はこの世でもっともあわれな人間でしょうから。」 — 『奇跡の少女ジャンヌ・ダルク』 86-87頁(ウィキペディアより)

 

↑※この尋問はジャンヌに仕掛けられた神学的陥穽だった。教会の教理では神の恩寵は人間が認識できるものではないとされていた。ジャンヌが尋問に対して肯定していれば自身に異端宣告をしたことになり、否定していれば自身の罪を告白したことになるのである。(ウィキペディアより)

 

 

 

話のスケールがあまりにも大きく

本当に圧倒される。

 

 

人間とは、

宗教・信仰とは、

尊厳とは、

生と死とは、

愛とは、、、、

 

 

歴史に基づく作品だけに、

自分の歴史観や知識の浅さに

焦りを感じるが、、、汗

 

 

 

歴史的バックボーンを知っていると

さらに楽しめることは間違いないだろう。

 

 

撮影の仕方も

かなり独特で、

それがまた素晴らしい。

 

 

 

先にも述べたが、

顔のアップの連続、

聖職者たちの顔を横にずーっとスライドしていく様

 

ジャンヌ目線の下からのショットの多様

かと思うと、

神目線かともとれる上からのショット

 

はたまた、

天地逆転の逆さの画。

(これなんかは最近よく見かけると思っていたが100年前に既にあったんだと確認)

 

 

話のスケールは

歴史的にも超大作だし、

 

撮影方法も斬新で

相当計算されているように思う。

 

 

”素晴らしい”という言葉が

陳腐な程に

 

映画のスケールを感じます。

 

 

 

衝撃の映画です。

 

 

スクリーンで観ることが出来て

とても嬉しいです!!

 

ありがとうございます!

 

(2022年2月15本目。本年度合計51本目、映画館12本目)

 

スタッフ

監督・脚本・編集:カール・テオドア・ドライヤー

歴史考証:ピエール・シャンピオン

撮影:ルドルフ・マテ

 

キャスト

ジャンヌ:ルネ・ファルコネッティ

司教コション:ウジェーヌ・シルヴァン

ジャン・デスティヴェ:アンドレ・ベルレイ

ニコラ・ロワズルール:モーリス・シュッツ

ジャン・マシュー:アントナン・アルトー

ギヨーム・エヴラール:ジャン・ディドゥ

ジャン・ボーペール:ルイ・ラヴェ