鑑賞記録(2022.8.6)
【生誕90年 映画監督 大島渚】
大島渚監督
『日本春歌考』1967
+上野昻志さんトーク
@シネ・ヌーヴォ
(↓トーク終了時の上野昻志さん)
『日本春歌考』1967/103分/日本/カラー/35mm
セクシャルな妄想と現実との谷間のなかで出口を失う若者たち。国家、共同体、性という大島の問題意識が提出された傑作。インターから反戦歌、そして春歌と「政治の季節」の終焉に、大島の即興演出が冴える。(「生誕90年 映画監督 大島渚」チラシより)
「性の歌は民衆の抑圧された声である」という添川知道のベストセラーの主張に共感した大島渚監督が、即興的な手法で描いた作品。(松竹作品データベースより)
春歌とは
性風俗に関連した猥褻な内容の歌詞を含む楽曲、俗謡のこと。猥歌(わいか)、艶歌(つやうた)、情歌(じょうか)ともいう。(ウィキペディアより)
一言あらすじ
大学受験のため上京した中村(荒木一郎)は、試験場にいたある女学生(田島和子)に魅力を感じる。また教師(伊丹一三)と一緒にいた高子(小山明子)にも興味を覚え・・・。青春のエネルギーと性の欲望を持て余した若者たちを描く。(松竹作品データベースより)
感想
大島渚監督、
今ずっと追いかけて観ている
フランソワ・トリュフォー監督と
同い年(1932年生まれ)
なんですね!!
どちらも生誕90年という特別上映中です。
本作は、
まさに春歌がずっと歌われる!
鑑賞後の
上野昻志さんのトークでも
仰っていたが、
こりゃ日本語わからないと
味わえない!!ww
歌と拍子と内容と・・・
風情というか
日本固有のものだろう。
文化としての理解は
言語が違う外国では
中々伝わりづらいだろう。
まぁとにかく誰かが
大抵何か歌っている本作。
歌によって
場面が次へ次へと
繋がり、変化し・・・
そして
お話が進むにつれ
妄想と現実の線引きが
あやふやになってくる・・・
私はまだ大島渚監督作は
『戦場のメリークリスマス』しか
観たことがないし、
監督のことも詳しく知らないので
あまり特徴を分かっていないが、
(昔よくテレビで見かけたが・・・ww)
演出として
不思議で大胆な画が
結構あったように思う。
独特の世界観。
これは私の勝手な見方だが、
まるで「最後の晩餐」?
と思わせるような
構図があったり・・・
(それはその後に繋がるが・・・)
そして何と言っても
荒木一郎さんの
なんだかわからないけど
なんとも言えない
何処か迫力のある表情。
他の3人の学生とは
明らかに違う、
得体の知れない、
しかし何処か率直な眼差し・・・
あの形容し難い表情が
まさに言葉にならない欲望を
映し出しているような・・・
本人の自覚し切らない
何か・・・
しかし、
そこに確実に
存在している。
そういった生々しさが
即興という形で
表現されているのだろうか。
なんだか難しいけど、
頭で考えるのではなく、
感じる映画なのだろうか・・・
社会性や思想的なものが
強くあるのは分かるが
私にはまだ
拾い切れる感じがしない・・・ww
いろんな面での
勉強不足と知識不足
なんだろうなと
つくづく思う・・・
(2022年8月10本目。本年度279本目、映画館142本目)
スタッフ
監督:大島渚
脚本:田村孟、佐々木守、田島敏男、大島渚
原作:添田知道
撮影:高田昭
音楽:林光
美術:戸田重昌
録音:西崎英雄
照明:中村明
編集:浦岡敬一
製作:中島正幸
他
キャスト
中村豊秋:荒木一郎
藤原眉子:田島和子
大竹先生:伊丹一三(伊丹十三の当時の芸名)
谷川高子:小山明子
上田秀男:岩淵孝次
丸山耕司:佐藤博
広井克巳:串田和美
里見早苗:宮本信子
金田幸子:吉田日出子
池上智子:益田ひろ子