鑑賞記録(2022.4.29)~そしてキアロスタミはつづく~ アッバス・キアロスタミ監督『桜桃の味』1997 U-NEXT

鑑賞記録(2022.4.29)

~そしてキアロスタミはつづく~

アッバス・キアロスタミ監督

『桜桃の味』1997

U-NEXT

 

 

各都市で行われていた

『そしてキアロスタミはつづく

デジタル・リマスター版特集上映』

は、終了しましたが、

 

私は、U-NEXTで鑑賞が続きます。

 

『桜桃の味』1997/99分/イラン・フランス/カラー

第50回カンヌ国際映画祭において今村昌平監督の『うなぎ』と共に作品賞に相当するパルム・ドールを受賞した作品である。(ウィキペディアより)

 

受賞

カンヌ国際映画祭(第50回、1997)

コンペティション部門パルムドール

 

原題

Ta’m-e guilass

(英題:Taste of Cherry

 

一言あらすじ

ひとり車を運転し、何やら物色するように人々を見つめる中年男性・バディ。彼は多額の報酬を渡す代わりに、ある仕事をしてくれる人物を探していた・・・

 

感想

実はスケジュールなどの関係で

 

数日に渡って、

止めながらの鑑賞なので、

ちゃんと一度に通して観ていないけど・・・爆

 

(時間を置いて再度鑑賞が必須ですねw)

 

 

とりあえず

今回も一切情報なしで鑑賞。

 

最初は何も分からないまま

お話がスタートする。

 

 

主人公バディの奇妙な行動に

ある種の異様さを感じつつ・・・

 

 

車を走らす山肌の見えた

乾燥した山道は

 

荒れているにも関わらず

ずっとオレンジ色に輝き

 

美しい。

 

 

(以下、ネタばれ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バディの仕事の依頼内容と

時間の無さや、

(今夜、バディが自殺決行予定)

 

 

受けてくれる人が見つからない

(死んだかどうかの確認をする仕事)

 

 

その焦りからか

バディも依頼相手に

中々強引にお願いする、、、汗

 

 

 

最初に車に乗った若い兵士は

バディが仕事を強要するあまり

逃げ出した・・・

 

 

バディの状態が

尋常ではないのが分かります・・・

 

 

 

最初は、

まず車に乗ってもらえない所から、

 

兵士には

バディの依頼は突っぱねられ

(大抵はそうだろうが・・・)

 

 

しかし

その後段階的に

 

バディの異様な行動や依頼を

一応話は聞いてくれる人物が出てきます。

 

 

兵士の次に乗せたのは

神学生で

 

さすがに仕事を受けてはもらえないものの

バディを拒否したりはしません。

 

(バディは納得しませんが・・・)

 

 

 

そして最後、

ひとりの老人がついに引き受けてくれます。

 

 

しかし、

老人は死ぬことよりも

 

生きることの素晴らしさを

車中で話します。

 

 

自分も自殺を考えたことがあること、

 

本当に助けるというのは

 

自殺の手伝いをするのではなく

 

生きることに

力を貸してあげることだと。

 

 

だから悩みを話をしてほしい、と。

 

 

しかし、

バディは話しません。

 

 

何があったか打ち明けはしないけれど

 

老人の話を聞いて、

バディの中で

 

少し何かが起こった・・・?

 

 

 

彼はその夜現場に行き、

雨が降り始めた暗闇の中、

 

用意していた土穴の中に横たわり

空を見つめます。

 

 

その後どうなったかは

明示されません。

 

 

 

その代わり?に

撮影舞台裏のような

 

ビデオ撮影の場面がラストに挿入され

春の景色が映されています。

 

 

 

そこではバディ役の

ホマユン・エルシャディが

煙草を吹かしつつ

スタッフたちと立っています。

 

 

 

そして

兵士役の面々が休憩しつつ

エンディングの音楽が流れ出す。

 

 

 

あの暗闇の中に消えた

絶望しか見えなかった男の目に

 

 

また春のように明るい景色が

ひっそりと

見えていたのかもしれません。

 

(キアロスタミ監督へのインタビューで)(中略)ヴィデオの部分は、映画全体にパーフェクトにかみ合いつつ、それ以前のシーンの間に距離をおいたものにしたかった。なぜなら、観客の注意がいつまでも主人公に留まって欲しくなかったからです。主人公が死んだか死ななかったかに重きをおきたくなかったし、それは重要ではありません。問題なのは”人生”なのです。

(中略)私の意見では、映画は雨が降る夜の闇で終わっています。それは”生”を喚起させる春※なのです。(※イランでは春に雨が多く降るため、雨は春をイメージするものと考えられている。)雨の後で、映画は終わるべきでした。しかし、春を喚起せずに映画は終われませんでした。だから春のシーンは、映画の他の部分と隔絶されつつくっついているのです。【『そしてキアロスタミはつづく』P.17より(一部抜粋)←このパンフレットは、『桜桃の味』パンフレットより(24-27項)/1994】

 

 

(2022年4月31本目。本年度141本目)

 

 

スタッフ

監督・脚本・製作・編集:アッバス・キアロスタミ

撮影:ホユマン・パイヴァール

録音:ジャハンギール・ミルシェカリ、モハマッド・レザ・デルパック

助監督:ハッサン・イェキタ、バフマン・キアロスタミ

 

キャスト

ホユマン・エルシャディ

アブドルホセイン・バゲリ

アフシン・バクタリ

アリ・モラディ

ホセイン・ヌーリ