鑑賞記録（2022.12.4）
黒澤明監督
『醉いどれ天使』1948
『醉いどれ天使』1948/98分/日本/モノクロ/スタンダード/東宝製作・配給
戦後の闇市を舞台に、飲んべえの医者と肺病病みの若いヤクザの交流を描いた人間ドラマ。三船敏郎の黒澤映画初出演作であると共に、志村喬の黒澤映画初主演作でもある。（U-NEXT
本作”見どころ”より）
第22回キネマ旬報ベスト・テン第1位（ウィキペディアより）
あらすじ
闇市に住む人々を診る町医者の眞田（志村喬）は、口は悪いが心根は優しく腕も一流。そんな眞田の元に、闇市の顔役・松永（三船敏郎）がピストルの傷の手当てを受けにやって来る。眞田は松永が肺を病んでいることを知り何かと世話を焼くが、血気盛んな松永は聞く耳を持たず…。（U-NEXT
感想
先日、東京の
国立映画アーカイブにて
『脚本家 黒澤明』の
展覧会に行ってきて、
黒澤明監督作を
観よう観ようと思っていながら、
全然観れていなかったので
なるべく黒澤明監督作を
観ておこうと思い、鑑賞。
公式図録も購入したけれど、
自分がまだまだ
作品を観ていなさ過ぎて
公式図録に掲載の作品は
映画を鑑賞してから
読もうと思っている。
（↓『脚本家 黒澤明』公式図録）
脚本家・黒澤明とあって、
お話が一番大事！という巨匠。
これは、もう
本当にその通りですね。
本作も、
個性的なキャラクターたちと
複数の人物が入り組んでいき
お話が出来ていますが、
本作の題名
”醉いどれ天使”
というのは、
本作の主人公
半分アル中！？な
町医者・眞田（志村喬）。
飲んだくれで、やや口は悪いですが、
自分が診た患者のことは
何よりも気になって仕方がない
心優しき町医者です。
そこへやってくる
ヤクザ稼業の松永（三船敏郎）
ふたりの存在感は
やはり凄いですね！
女優陣も皆さん
とても素晴らしいです！
皆さん素敵ですが、
やっぱり飯田蝶子さん！ww
面白いです。w
戦後の闇市付近が舞台とあって、
ドス黒く汚い沼が象徴的。
どんどん状況が変わっていくと、
それに応じて、周囲の対応も
掌を返すように変わっていく・・・
人間とは
なんとも利己的な生き物ですね。
しかし、
それとは違い、
利他的に生きる
飲んだくれ町医者・眞田。
途中、挿入される
『ジャングル・ブギ』の
作詞も監督自ら手掛けています。
ワ〜オ！w
公式図録によると、
本作の
初稿と決定稿のエンディングは
全く異なっているとのこと。
（↓”内、ネタバレあり）
（中略）CIE（民間情報教育局）による検閲の影響を最低限に抑えるため、結核に打ち勝とうとする少女の道徳的なエピソードを最後に据えたと思われる。（『脚本家 黒澤明』公式図録P.56 48「醉いどれ天使」改訂稿（1948年） 槙田寿文氏所蔵 より ）
とのこと。
公式図録で
初稿のラストが
チラッと書かれてあり、
それによると
初稿の方が決定稿より
かなり尖った筋書きで
個人的には
そちらの方が好きな感じですが、
当時は検閲など、
色々不自由があったんですよね・・・
まだまだ他の作品も
観ていきたいと思います！
ぜひ、ご覧ください！！
（2022年12月4本目。本年度430本目）
スタッフ
監督：黒澤明
脚本：植草圭之助、黒澤明
撮影：伊藤武夫
美術：松山崇
録音：小沼渡
演出補佐：小林恒夫
照明：吉沢欣三
音響効果：三縄一郎
編集：河野秋和
特殊効果：東宝特殊技術部
音楽：早坂文雄
挿入歌：「ジャングル・ブギ」（作詞：黒澤明、作曲：服部良一、歌：笠置シヅ子）
ギター演奏：伊藤翁介
演奏：東宝交響楽団、東宝モダンニャーズ
製作：本木荘二郎
現像：東宝フィルムラボラトリー
他
キャスト
真田：志村喬
松永：三船敏郎
岡田：山本礼三郎
奈々江：木暮実千代
美代：中北千枝子
ぎん：千石規子
ブギを唄う女：笠置シヅ子
高浜：進藤英太郎
親分：清水将夫
ひさごの親爺：殿山泰司
セーラー服の少女：久我美子
婆や：飯田蝶子
チンピラ：生方功
ヤクザの子分：谷晃
ギターの与太者：堺左千夫
ヤクザの子分：大村千吉
花屋：河崎堅男
花屋の娘：木匠久美子
ダンサー：川久保とし子、登山晴子、南部雪枝
姉御：城木すみれ
他
