鑑賞記録(2022.10.26)川和田恵真監督『マイスモールランド』2022 U-NEXT

鑑賞記録(2022.10.26)

川和田恵真監督

マイスモールランド

2022

U-NEXT

 

『マイスモールランド』2022/114分/日本・フランス/カラー

川和田恵真監督・脚本の商業映画デビュー作。

撮影の多くは、クルド人が集住する埼玉県川口市で行われた。

「国家を持たない世界最大の民族」と呼ばれるクルド人。埼玉県には2000人ほどのコミュニティが 存在するが、クルド人が難民認定された例はこれまでないに等しい。そして、本作の企画が動きだした2017年 当時より、出入国管理及び難民認定法(入管法)を巡る状況は、悪化の一途をたどっている……。

この現状を、17歳の少女の目線を通して描いたのは、是枝裕和監督が率いる映像制作者集団「分福」に在籍する新鋭・川和田恵真監督。イギリス人の父親と日本人の母親を持つ監督が、成長過程で感じたアイデンティティへの想いを元に、理不尽な状況に置かれた主人公が大きな問題に向き合う凛とした姿をスクリーンに焼き付け、本作を企画段階からサポートした是枝監督の『誰も知らない』(04)の系譜に連なる“日本の今”を映し出した。

また、主題歌「N e w M o r n i n g」を書き下ろしたのは、注目のアーティストROTH BART BARON。スタッフに『ドライブ・マイ・カー』(21)の撮影・四宮秀俊、美術・徐賢先らが参加。そして、日本初の栄誉となる第72回ベルリン国際映画祭/アムネスティ国際映画賞スペシャル・メンションに輝き、世界からも大きな注目を集めている。

(↑公式サイト”INTRODUCTION”より一部抜粋)

ファッション誌「ViVi」専属モデル・嵐莉菜が繊細な演技を披露。共演陣も抜群の安定感だ。日本の制度が難民に突きつける容赦のない現実を改めて思い知らされる。(U-NEXT本作”見どころ”より)

あらすじ

幼い頃から日本で育った17歳のクルド人・サーリャ(嵐莉菜)。ある日、家族の難民申請が不認定となり、これまでの日常が一変した。埼玉に住むサーリャは、進学のため父に黙って始めたバイト先で出会った、東京の高校に通う聡太(奥平大兼)と自由に会うこともできなくなり…。U-NEXT本作”ストーリー”より)

 

感想

以前に月刊シナリオで

撮影前の稿として掲載されたものを

読んでいた。

 

お話がとても面白く

興味深かったので

 

劇場鑑賞したかったが、

 

結局見逃してしまっていた本作。

 

 

もう数ヶ月前に読んだこともあり、

詳細を忘れてしまっていたから

 

もう一度読み直してから

鑑賞しようと思っていたけど、

 

 

結局時間が作れず、

U-NEXTでの視聴期限も迫ったので

(今回はポイント利用で)

 

読み返さずに鑑賞。

 

 

 

やはり、面白かった。

 

 

クルド人というルーツを持ち

 

幼い頃から日本で暮らす主人公と

その家族たち。

 

 

私の身近には

今のところいないけれど、

 

国際化が進む現代では

このようなことが

今後もっと増えてくるだろう。

 

 

飛行機が

簡単には乗れなかった時代には

 

極東に位置し、

島国である日本は

 

異文化・異人種である

多くの人々が

中々来ることは難しかったが

 

今は、そうではない。

 

 

日本という国は

 

世界的に見れば

特殊な環境と言えるだろう。

 

 

日本に生まれ、住み、育ち、

暮らすということをしているのは

 

いわゆる日本人の顔をした人で、

 

それが日本人であるという認識は

まだまだ強いだろう。

 

 

両親のどちらか一方が日本人で

ミックスだったり、

 

または両親が

日本のルーツを持たなくても

 

生まれも育ちも日本

という人もいるだろう。

 

 

正直、

自分にあまりに知識がなく

 

制度のことも

それで苦労している人のことも

 

何もわかっちゃいないが、

 

 

それでも本作で、

(フィクションだったとしても)

 

似たような思いをしている人が

きっといるんだろうということを

知れたこと自体が

 

とても良かったと思う。

 

 

 

一緒に食卓を囲み、

働き、学び、遊び、

笑ったり泣いたりすることは

 

 

どこにいても

誰といても

 

言葉や肌の色、

見た目が違っても

 

全ての人が生きていく上で

 

皆が感じ、

行うことができるはずだ

 

 

本来なら・・・

 

 

シンプルに

家族一緒に暮らすことが

こんなに困難なこととは・・・

 

 

こういった問題を

解決するには、

 

幾つもの壁があり

中々難しいんだろうが・・・

 

 

 

石ころの話、ラーメンの話、

家族を想うこと・・・etc

 

 

何度もグッとくるシーンがあり、

 

 

映像の色合いも美しい

と思いました。

 

 

そして

キャストの皆さんも

素敵でした。

 

 

月刊シナリオでの

掲載のシナリオは

 

川和田監督の希望で

撮影前の稿を

掲載してほしいとのことで

 

本編とは

違っている箇所がありました。

 

 

監督はシナリオがお好きだそうで

 

”(中略)映画を見てからシナリオを読んだり、またその逆もたくさんした。興奮したのは完成した映像とシナリオの間にある相違点を見つけた時だ。だから今回は敢えて、掲載は撮影前に書いた稿にして欲しいとお願いをした。この脚本を持って撮影に臨んだので、違いがあるところは現場か、編集で変更した”(中略)

(2022年月刊シナリオ6月号 脚本・監督ノート『マイスモールランド』「私たちのシナリオ」川和田恵真 P.50より一部抜粋)

 

とコメントされており、

 

 

シナリオに対する

愛情が伝わりますね!!

 

 

シナリオも

とても面白かったですが

 

 

そこから少し変更があり

完成した本作。

 

その点も興味深く

観させて頂きました。

 

 

変更点などは、

色々な想いや

考えがあってのことと思います。

 

 

自分の知らない世界を

教えてくれる

 

貴重で

心に沁みる作品だと思いました。

 

(2022年10月33本目。本年度386本目)

 

 

スタッフ

監督・脚本:川和田恵真

撮影:四宮秀俊

照明:秋山恵二郎

音響:弥栄裕樹

美術:徐賢先

装飾:福岡淳太郎

衣裳:馬場恭子 中村祐実

ヘアメイク:那須野詞

編集:普嶋信一

音楽・主題歌:ROTH BART BARTON

カラリスト:アレクサンドラ・ポケ

ダビングミキサー:グザヴィエ・トュラン

キャスティング:森万由美

クルド監修:ワッカス・チョーラク

助監督:森本晶一

制作担当:藤原恵美子

製作:河野聡、小林栄太朗、潮田一、是枝裕和、依田巽、松本智

エグザクティブプロデューサー:濱田健二

プロデューサー:森重宏美、伴瀬萌

企画プロデューサー:北原栄治

共同プロデューサー:藤並英樹、渋谷悠、アントワーヌ・モラン

アソシエイトプロデューサー:西川朝子、加倉井誠人、大古場栄一

ラインプロデューサー:田口聖

キャスト

チョーラク・サーリャ:嵐莉菜

崎山 聡太:奥平大兼

チョーラク・マズルム:アラシ・カーフィザデー

チョーラク・アーリン:リリ・カーフィザデー

チョーラク・ロビン:リオン・カーフィザデー

太田 武:藤井隆

崎山 のり子:池脇千鶴

小向 悠子:韓英恵

原 英夫:板橋駿谷

西森 まなみ:新谷ゆづみ

野原 詩織:さくら

ロナヒ:サヘル・ローズ

山中 誠:平泉成

MEMO

フランスとの共同制作 日仏共同制作である本作。監督は2021年10月から渡仏し、約2カ月滞在して、画の色を1枚1枚調整するグレーディングと、音の仕上げ作業となるダビングをおこなった。日本では、グレーディングもダビングも、基本的にメインスタッフと呼ばれるカラリストやミキサーが事前にかなり仕込んだ上で、監督に確認してもらうという流れになる。しかし、今回は撮影の四宮秀俊と録音技師で音響の弥栄裕樹もパリに行き、フランスのカラリストやミキサーと一緒にコラボレーションすることになった。「日本だと通常3~5日でやる作業を、グレーディングで1ヵ月、ダビングで1ヵ月と、かなり時間をかけてやらせていただきました。四宮さんも今回は、色をどう組み立てるか、というところから参加できたので、とても喜んでいましたね」(伴瀬プロデューサー)

(↑公式サイト”フランスとの共同制作”より一部抜粋)