鑑賞記録(2022.9.23)セリーヌ・シアマ監督『秘密の森の、その向こう』2021@シネ・リーブル神戸

鑑賞記録(2022.9.23)

セリーヌ・シアマ監督

秘密の森の、その向こう

2021

@シネ・リーブル神戸

『秘密の森の、その向こう』2021/73分/フランス/カラー/ビスタ/5.1ch

幼きネリーとマリオンには、これが映画初出演となる双子のジョセフィーヌ&ガブリエルのサンス姉妹。

撮影中に方向性を見失った時、シアマ監督はいつも「宮崎駿監督ならどうする?」と自分自身に問いかけたと打ち明け、「どちらに進むか迷った時、私たちはいつも子供たちが好きだと思う方を選んだ。でも、それは最も過激で詩的な近道を選ぶということだから、簡単なことではなかった。子供たちが映画やドラマを見る時、私たち大人のように文化的背景や歴史的背景にとらわれないわ。今現在の感覚だけで見るから、新しいアイディアや物語に反応するの。スタジオのアニメーション作品は、完全にこのことを理解していると思う」と分析し、スタジオジブリの作品にもインスパイアされたことを語っている。さらに、シアマ監督は、「細田守監督の『おおかみこどもの雨と雪』にも大いにインスパイアされた」と話す。(中略)(Production Notes『迷った時は、「宮崎監督ならどうする?」』より)

(↑公式サイトより)

 

セリーヌ・シアマ CÉLINE SCIAMMA (監督・脚本・衣装)

1978年、フランス、ヴァル=ドワーズ生まれ。フランス文学で修士号を取得後、ラ・フェミス(フランス国立映像音響芸術学院)の脚本コースで学ぶ。2004年、脚本家としてデビュー。2007年に卒業制作を発展させた長編『水の中のつぼみ』が、カンヌ国際映画祭「ある視点部門」に正式出品され高い評価を受ける。続く『トムボーイ』(11)はベルリン国際映画祭のパノラマ部門のオープニング作品として上映され、テディ賞を受賞。さらに、カンヌ国際映画祭監督週間オープニング作品となった『ガールフッド』(14/未)が、セザール賞有望若手女優賞、音楽賞、音響賞にノミネートされ、自身も監督賞にノミネートされ、ストックホルム国際映画祭でグランプリを受賞する。また、脚本で参加した『ぼくの名前はズッキーニ』(16)でセザール賞脚色賞を受賞する。そして、『燃ゆる女の肖像』(19)でカンヌ国際映画祭脚本賞とクィア・パルム賞に輝き、ゴールデン・グローブ賞と英国アカデミー賞の外国語映画賞にノミネートされ、世界的な名監督としての地位を不動のものとする。その他、ジャック・オーディアール監督の『パリ13区』(21)の脚本も手掛ける。

クレア・マトン CLAIRE MATHON(撮影)

1975年生まれ。パリ国立高等鉱業学校で映画を学び、1998年に卒業。以降数多くの短編映画、ドキュメンタリー、長編映画の撮影に携わる。2013年に『L’inconnu du lac(原題)』(未)でセザール賞にノミネートされる。続く『モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由』(15)でリュミエール賞にノミネート。さらにカンヌ国際映画祭グランプリ受賞作品『アトランティックス』(19)では、ロサンゼルス映画批評家協会賞を受賞。そして、『燃ゆる女の肖像』(19)でセザール賞を始め数多くの受賞とノミネートを果たし、オリジナリティ溢れる映像を生み出す撮影監督として認められる。その他の作品は、『南へ行けば』(09/未)、『黒いスーツを着た男』(12)、『今さら言えない小さな秘密』(18)、『スペンサー ダイアナの決意』(21)など。

ジャン=バプティスト・ドゥ・ロビエ JEAN-BAPTISTE DE LAUBIER(音楽)

1979年、フランス、オルレアン生まれ。アーティスト名Para Oneとしても知られる、エレクトロニックプロデューサーであり、作曲家。映画音楽では、セリーヌ・シアマ監督とのコラボレーションで知られ、同監督の『トムボーイ』(11)、セザール賞にノミネートされた『ガールフッド』(14 / 未)、『燃ゆる女の肖像』(19)を手掛ける。

(↑公式サイトより)

 

原題

Petite maman

一言あらすじ

最愛の人を失った8歳のネリーは森の中で少女と出会う。それは”8歳のママ”だった・・・公式サイトより)

 

感想

本作を観るつもりで、

 

セリーヌ・シアマ監督の

燃ゆる女の肖像』(2019)

を先日鑑賞したが、

 

 

本作はそれとはまた

打って変わった作品だ。

 

 

 

予告編を映画館で観て、

 

ファンタジー的な

不思議な物語なんだなぁ〜

 

なんて思っていたが、

 

 

 

子供が主役になって進むと、

それは紛れもなく

現実と化したように見える。

 

 

 

不思議の国のアリスのように

不思議な現象は起こっているが、

 

 

彼女らの過ごす時間は

 

決してまやかしでも夢でもなく、

想像の世界でもない。

 

 

 

子供って、

あった事をそのままストレートに

受け入れるから、

 

 

摩訶不思議な出来事も

すんなり事実として受け入れる。

 

 

 

その素直な心は

とても美しく、

 

観ていて微笑ましく、

素晴らしい。

 

 

 

彼女たちは、

 

二度とこの時は訪れないと

誰に教わるでもなく

 

感覚的に理解していて、

 

 

ふたりが1日

一緒に過ごすことを選ぶ。

 

 

大切なものを見逃さず、

しっかりと手に取る。

 

 

そんな中で、

 

母に対する

 

思いや現実、

不安な事実など、

 

 

子供とは言えないほどに

 

しっかりと向き合いながら

とても大事な時間を生きる。

 

 

 

主人公となる

幼いネリーとマリオンを演じるのは

 

双子のサンス姉妹。

 

 

とってもキュートなふたり。

 

 

2人でクレープを作るシーンは

最高にキュートだ。

 

 

ふたりで

大自然に繰り出す時間も

 

思い出に残ったことだろう。

 

 

 

大人顔負けの

 

事実や物事を受け入れる強さ、

率直な意見、

大切なことを見極める目。

 

 

 

彼女たちの言葉に

ハッとさせられる瞬間が

度々あった。

 

 

子供のおとぎ話と侮るなかれ。

 

 

大人こそ、

 

もしなにか出来事が起こった時

 

一度はまず素直に受け入れる器が

 

必要かもしれない。

 

 

(2022年9月31本目。本年度345本目、映画館183本目)

 

 

スタッフ

監督・脚本・衣装:セリーヌ・シアマ

製作:ベネディクト・クーブルール

撮影:クレール・マトン

編集:ジュリアン・ラシュレー

音楽:ジャン=バティスト・デ・ラウビエ

 

キャスト

ネリー:ジョセフィーヌ・サンス

マリオン:ガブリエル・サンス

ネリーの母(マリオン):ニナ・ミュリス

ネリーの祖母:マルゴ・アバスカル

ネリーの父:ステファン・ヴァルペンヌ