鑑賞記録(2022.10.29)伊藤大輔監督『忠次旅日記 第三部 御用編』1927@シネ・ヌーヴォ

鑑賞記録(2022.10.29)

伊藤大輔監督

忠次旅日記 第三部 御用編

1927

@シネ・ヌーヴォ

 

『忠次旅日記 第三部 御用編』(ちゅうじたびにっき)1927/111分(16fps)/日本/サイレント/白黒/デジタル復元版

1959年のキネマ旬報で日本映画六〇年のベストワンに選ばれた傑作。失われたと思われていたフィルムが1991年に発見され、復元された。病に伏せた忠次の傍らで、子分の中の裏切り者をあぶりだすために、伏見直江が一人一人の名前を呼ぶシーンが見事。子分の顔が次々と現れ、緊迫感が高まる。画面ですべてを語りつくす伊藤大輔の映画術が詰まっている。(シネ・ヌーヴォ公式サイト『時代劇が前衛だった/日本映画の青春期』より)

第1部「甲州殺陣篇」、第2部「信州血笑篇」、第3部「御用篇」の三部からなる。「忠次三部作」「忠次三部曲」と総称される。

現在フィルムが残っている「復元版」の大半は、この第3部からなっている。

「国定忠次は鬼より怖い。にっこり笑って人を斬る」と歌われた幕末の上州(現群馬県)の侠客国定忠次は、悪代官をこらしめ農民を救う英雄として講談、浪曲や大衆演劇で人気を集め、大正時代には澤田正二郎演じる新国劇の舞台や尾上松之助主演による映画化が行われていた。

1926年(大正15年)に日活に入社した伊藤大輔は、同年の時代劇映画『長恨』でコンビを組んだ第二新国劇出身の若手俳優、大河内傳次郎を使って従来の颯爽とした英雄忠次像を廃し、子分に裏切られて破滅していく人間くさい忠次像を映画化しようとした。だが、経営陣は、松之助が演じた従来の忠次像にこだわり許可しなかったので、止む無く伊藤は第1部「甲州殺陣篇」でヒーローとしての忠次を描き、続く第2部、第3部で本来のテーマを表現した。伊藤大輔はのちに「無頼漢の忠次とは何事だと横槍が出て、仕方なしに『血笑篇』と『御用篇』のテーマは残して、最初に『甲州殺陣篇』と言う無意味な立ち回りを撮ったんです。その立ち回りが当たったんで、松之助さんも病没したことではあるし、まあ続けてあともやれということで……そんな時代の産物でしたよ、あの忠次は」と回想している。

(↑ウィキペディアより一部抜粋)

伊藤 大輔

1898年(明治31年)10月13日 – 1981年(昭和56年)7月19日

時代劇映画の基礎を作った名監督の一人であり、「時代劇の父」とも呼ばれる

1926年(昭和元年)、日活太秦撮影所に移り、まだ新人だった大河内傳次郎とコンビを組み、『長恨』、『流転』などの時代劇作品を監督、激しい乱闘シーンやアメリカ・ドイツ・ソ連など外国映画の影響を受けた大胆なカメラワークで注目を浴びる。さらに1927年(昭和2年)、映画史上に残る「金字塔」と称される傑作『忠次旅日記』三部作を発表。一躍映画界を代表する存在になり、後世に大きな影響を与えた。この年監督した河部五郎主演の『下郎』も名作に数えられ、撮影の唐沢弘光と初めてコンビを組んだ。『忠次旅日記』で伊藤大輔、大河内伝次郎、唐沢弘光の3人が初めて顔を合わせ、ここに「ゴールデントリオ」が生まれた。(中略)

戦後、GHQの規制で時代劇の製作ができなくなり、スランプが続くが、1947年(昭和22年)に「剣戟の無い時代劇」として、 封建制度の秩序維持の為に、無辜の若者に無実の罪を着せようとする幕府の陰謀に立ち向かう男のドラマとして山内伊賀亮を描いた 『素浪人罷通る』を、阪東妻三郎主演で演出し、スランプを脱出する。(中略)

移動撮影(レールを敷き、カメラマンとカメラを載せた台車がレール上を移動させて撮影する方法)が非常に好きな監督であり、姓名を捩って「イドウダイスキ(移動大好き)」と渾名された。また、サイレント期の作品ではフラッシュや多重露光など当時としては斬新な撮影技法を使い、巧みな話術で物語を展開した独特な作風で知られ、批評家の間では「伊藤話術」と呼ばれた。(中略)(ウィキペディアより一部抜粋)

大河内 傳次郎(おおこうち でんじろう、新字体:伝次郎)

1898年(明治31年)2月5日(戸籍上は3月5日)- 1962年(昭和37年)7月18日 本名は大邊 男(おおべ ますお)。

戦前を代表する時代劇スターの一人であり、阪東妻三郎、嵐寛寿郎、片岡千恵蔵、市川右太衛門、長谷川一夫とともに「時代劇六大スタア」と呼ばれた。サイレント期は、伊藤大輔監督・唐沢弘光撮影のトリオで『忠次旅日記』『新版大岡政談』などの名作を生んだ。悲愴感ただよう演技とスピード感あふれる殺陣で、従来の時代劇スターの定型を破り、人気を不動のものとした。当たり役は丹下左膳で、トーキー時代の作品では地元の豊前なまりで「シェイハタンゲ、ナハシャゼン(姓は丹下、名は左膳)」と言う決めゼリフで人気を得た。戦後は大物の助演者として活躍した。京都に大河内山荘を造営したことでも知られる。(ウィキペディアより一部抜粋)

あらすじ

忠次(大河内伝次郎)は沢田屋の番頭になりすまし身を隠していたが、正体がばれ捕り手に追いかけられてしまう。中風が悪化した忠次は利き手が動かず、左手一本で応戦し、何とか逃げおおせる。子分たちに助けられ国定村に帰った忠次だったが、またもや捕り手に囲まれてしまうのだった…(allcinema 解説より)

感想

シネ・ヌーヴォさんにて

立て続け鑑賞の3本目。

 

 

本編上映前に

 

フィルムについての情報が

字幕と映像で流れ、

 

 

オリジナル、レストア版、レストア染色版と

(だったと思う・・・)

 

違いを見せてくれ

まずそこで感動!!ww

 

 

デジタル修復され

綺麗になる過程を

垣間見ることが出来ました!!

 

 

これは嬉しい特典映像!!

 

 

テンション上がりました。ww

 

 

 

本作の前情報は入れずに鑑賞。

 

 

伊藤大輔監督作は

 

私は以前に

鞍馬天狗 黄金地獄』(1942)と

女と海賊』(1959)しか

観たことがありませんが、

 

 

どちらもトーキーなので

サイレント作品は初めて。

 

 

本作の前に観た

 

衣笠貞之助監督の

狂った一頁(1926:全編字幕なし)

十字路(1928:英語字幕のみ)

は、日本語字幕なしだったので、

 

 

結構想像力を使いながら

観ましたが

 

 

本作は

日本語の字幕があるので

それを読みながら鑑賞。

 

 

逆に2作より

字幕での情報が結構多く、

 

私が読むのが遅くて

読んでる途中で

次に進んじゃう時などありましたが、w

 

 

大体の状況は

わかったかなと思います。

 

 

 

特に印象的だったのは、

 

越後長岡の造り酒屋澤田屋の

大樽!!!

 

 

これ、『女と海賊』?でも

(だったかな?違ったかな?)

 

観たような!?

(記憶が定かでないですが・・・)

 

 

 

以前観た時も、

かっこいいと思ったんですよね〜!

 

 

ここで既に

登場していたんですね!!

 

 

あの巨大な大樽は大迫力で

 

しかも

普通にない光景だし、

かっこいいです

 

 

そして、

 

主人公の忠次が

人間臭く、

 

いわゆるザ・ヒーローでない

っていうのは面白いですね。

 

 

 

大河内傳次郎さんの

眼力ならぬ顔の力が凄い!!w

 

 

苦痛と苦悩に歪む顔ったら

ありゃしません!ww

 

 

話は飛んで

 

お粂演じる沢蘭子さんが

とてもお美しい。

 

 

さらに

お品演じる伏見直江さんの

切れ者っぷり!!

 

 

まさかのピストルまで

出てきてビックリ!!

 

 

昔は完全に

ハッピーエンドが好きでしたが、

 

歳を重ねてくると

そうは問屋が卸さないラストも

 

人生における

リアルさが伴うように感じ

 

結構好きに

なってきている私です。

 

 

 

爽快さはないかもしれませんが、

 

いい意味で

心に引っ掛かりを残しますね。

 

 

私が観た

大河内傳次郎さん主演作では

 

山中貞雄監督の

丹下左膳余話 百萬両の壺』(1935)と

 

清水宏監督の

小原庄助さん』(1949)しか

観たことがありませんが、

 

 

小原庄助さんと

同一人物とは思えず

ビックリ!!ww

 

 

本作でも途中、突如!?

コメディーっぽいシーンが登場し、

(しゃっくりと竹槍?w)

 

急に雰囲気が変わって

面白かったですがww

 

 

そうかと思えば、

ガッツリシリアスな

緊迫した場面も結構あり

 

多くの御用の提灯に

追われる様子が描かれます。

 

 

まだまだ昔の作品、

知らないものだらけなので

徐々に観ていきたいと思います。

 

 

(2022年10月40本目。本年度393本目、映画館217本目)

 

スタッフ

監督・原作・脚本:伊藤大輔

撮影:唐沢弘光

助監督:由川正和

製作:日活大将軍撮影所

配給:日活

キャスト

国定忠次:大河内傳次郎

澤田屋喜兵衛:磯川元春

倅銀次郎:村上英二

お粂:沢蘭子

遊女信夫:秋月信子

野々村宗兵衛:浅尾与昇

捕手勇作:中村梅之助

老僕嘉十:中村時五郎

横川の勘八:尾上多摩蔵

野呂松:市川左雁次

鷲津の音蔵:尾上華丈

勘太郎:中村英雄

お釈迦の源次:尾上卯多五郎

三つ木の文蔵:阪本清之助

壁安左衛門:中村吉次

板割の浅太郎:岡崎晴夫

松井田の喜蔵:本田繁太郎

足利の権蔵:市川正之助

成家の三代太郎:石井貫治

保積の卯之助:浅見勝太郎

高崎の重吉:市川百々之助

清水の岩鉄:中村紅果

お茶を運ぶ老人:嵐亀三郎

中山精一郎:嵐璃左衛門

お品:伏見直江